北北海道を牛柄トラックで駆ける牛削蹄所。菅原道北削蹄所のオフィシャルサイトです。

年末のご挨拶

今年もお蔭様で、大きな怪我もなく、忙しい中にも充実し、皆がまた少し成長できた一年になりましたこと、皆様に感謝いたします。
各地域で参加させて頂いた研修会、講習会で学んだことを、今後も牛の為に活かしていきたいと思います。
来年もスタッフ一同、より一層の心をこめた 『牛の喜ぶ』 削蹄に努めてまいりますので、
変わらぬご愛顧を頂けますようお願い申し上げ、年末のご挨拶とさせていただきます。
皆さまの2015年が幸多き年となりますように・・・

菅原洋充


2014-12-30 Category コラム, 当社 | Leave a Comment

牛の胃の中には??


牧場に放牧されている牛は、磁石を飲み込んでいるってご存知ですか?
牛はどういうわけか、キラキラ光る金属が大好きみたいで。牧場に落ちている釘や金物を拾い食いしてしまいます。こんなことして、おなかが痛くならないのでしょうか? 
釘などで胃を傷つけたらたいへんです。そこで、牛用に特別に作られた長さ6cmくらいの「カウマグネット」という磁石を、特殊なパイプを使って胃の中に入れて、飲み込んだ釘などが胃を傷つけないようにします。
さて、たくさん釘などを引き寄せたこの磁石を取り出すのは、どうするのでしょうか?実は、もっと強力な磁石を胃に入れて引っ張り出すのだそうです。磁石には特殊なコーティングがされていて、牛にとって安全なものみたいです。

写真素材:GATAG|フリーイラスト素材集
参考文献:雪印メグミルク株式会社
by RIMU

2014-12-17 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

とある獣医師の独り言22

12月ですね。師走は何をするにも慌ただしくて、個人的にはあまり好きではありません。今年はまだ積雪には至っていないのが救いですね。このまま雪が積もらないで春になってくれればと虫の良い事を願っている毎日です。では本題です。
草食動物は植物の線維をエネルギー源として利用しますが、人や他の肉食動物と同様に線維を分解する特別な酵素を持っているわけではなく、微生物に棲息可能な場所を作り、そこで微生物によって線維を分解してもらいエネルギーとして利用するという画期的な体を作り上げてきました。単胃動物であるウマやウサギは、盲腸を大きくしてそこに微生物を住まわせました。一方牛を含めた反芻獣は人で言うところの胃の前に食道を変形させることにより3つの部屋を作り、その中で一番大きな場所を細菌に提供することによってエネルギーを得ることにしました。それがルーメンです。このルーメンですが、生まれてきてすぐ機能しているわけではなく、むしろ牛は生まれてすぐは我々人間と同様に胃(牛では四胃)に頼って成長していきます。今月からはこのルーメンの発達の仕方と発達に影響を与える要因についてお話ししていこうと思います。

ルーメンの発達
   ルーメンの発達には大きく二つあります。一つは胃全体に占めるルーメンの容積割合が大きくなる事。もう一つはルーメンの絨毛が伸長することにより栄養の吸収が可能になる事です。

1、容積割合

写真 1 出生直後の胃全体


写真 2 49日齢の胃全体


写真1は生まれたばかりの牛の胃です。この時期の一胃は四胃と同じかむしろ小さいくらいの大きさしかありません。しかし7週齢(49日齢)経った時点のルーメンは明らかに他の胃よりも大きくなっています。(写真2)成牛の胃の中で一胃の占める割合は80%と言われていますので、生後7週齢でほぼそれに近い割合になっていることが分かります。

2、絨毛の伸長

写真 3


写真3は写真1と写真2のルーメンを切り取った内部で、左側が0日齢、右側が49日齢です。0日齢は色が白く表面は若干の凹凸がある程度ですが、49日齢では、色が黒ずみ表面に明らかな突起物が見られます。これがルーメンの絨毛です。牛はこの絨毛から細菌が作り出した酢酸、プロピオン酸、酪酸などのVFA(揮発性脂肪酸)を吸収してエネルギーとします。そのため絨毛が長ければ長いほど表面積が広くなりより多くのエネルギーを吸収できるわけです。ですから、将来的に乳量が出るか出ないかはこの時期の絨毛をいかに発達させるかにかかっているとも言われています。
 来月は飼料によってどうルーメンが発達するかについてお話していきたいとおもいます。(今月の写真はルーメン8 ~いつでも、誰にでも、基本は基本~から引用させていただきました。)

このコラムを読んでくださっているみなさん、一年間ありがとうございました。来年もさらに皆さんの興味の沸くような話をできるだけわかりやすくお話ししていけたらと思っております。またよろしくお願いします。少し早いですがよいお年を!

by とある獣医師

北海道酪農技術セミナー2014 参加

2014年11月5日~6日
北海道帯広市で開催され今年も猿払の塚田獣医師と参加してきました。
獣医師、生産者、関係者、削蹄師、500名もの参加者!
今年も勉強になりました。


photo by sugaWara

2014-12-1 Category コラム, 講習会 | Leave a Comment

牛乳を飲んで・・・・



カルシウム不足の日本人ですが・・・
日本人の成人1日あたりのカルシウム推奨量は、600mg〜800mgと言われています。
しかし、現代の日本人の平均摂取量は531mgと、大変低い数値になっています。
これは主に、肉料理やインスタント食品中心の食生活が原因として考えられています。
カルシウム不足になると、身体は様々な症状を引き起こします。

1)骨や歯がもろくなる

2)イライラする

3)骨粗そう症

4)十分に成長しない

などの症状が現われるみたいです。
牛乳 コップ1杯(200g), 220mgのカルシウムの摂取ができます。
一日に牛乳を3杯~4杯飲むと一日のカルシウム摂取量に達することができますね!!
ちなみに私は毎朝欠かさず牛乳を飲んで健康な体づくりを心掛けています。

写真素材:イラストポップ

by RIMU

2014-11-29 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

削蹄通信Vol.8号発行しました!




お待たせしました。
年2回発行の当社削蹄通信Vol.8を発行しました。

今回も牛の情報から当社の紹介まで充実の内容です。
順次畜主様、関係機関へお渡しとなりますのでよろしくお願いします!

by RIMU

2014-11-21 Category 最新情報 | Leave a Comment

第56回全国牛削蹄競技大会

26年11月13日木曜日の水戸市鯉淵学園農業栄養専門学校様で
第56回全国牛削蹄競技大会が開催されました。

競技大会の成績は以下のとおりです。

『総合順位』
最優秀賞
宅見 慎吾 (北海道牛削蹄師会)

優秀賞
小角 慶三 (山形県牛削蹄師会)

第三位
中野目 正明 (福島県牛削蹄師会)

『 部門賞』
判断競技 優賞
岩渕 孝幸 (岩手県装削蹄師会)

牛削蹄競技 優賞
宅見 慎吾 (北海道牛削蹄師会)


実技の牛削蹄競技では
東海林選手(江別の久津間装蹄所)が三位

弊社から出場の倉口 亮太は四位と大健闘でした。

選手はじめ関係者の皆さん大変お疲れ様でした。

応援して頂いた皆さん、ありがとうございました。




北海道牛削蹄師会 左から倉口選手(名寄)、佐野選手(北見)、宅見選手(七飯)、東海林選手(江別)


判断競技の様子


全国大会競技委員の久津間指導級(左)と道見指導級(右)



最優秀賞の宅見選手


余裕の倉口選手




sony rx-100
photo by sugaWara


2014-11-15 Category コラム, 削蹄師会 | 2 Comments

とある獣医師の独り言21

冬ですね…。これから日は短くなるし、寒さは厳しくなるし、雪は積もってくるし、いやなことばっかり考えてしまいます。これから先の楽しみは忘年会ぐらいしかないですかね(笑)。
今月は牛の消化のまとめです。牛はルーメン発酵で生命を維持している事は何度もお話してきましたが、発酵とはそもそも何でしょうか?一般に肉や野菜、穀物などの有機物は死滅すると微生物の影響を受けて分解・転換されます。この産生物が人にとって都合が良ければ“発酵”と都合が悪い場合は“腐敗”と言われます。つまり発酵と腐敗は同じ事が起こっているわけです。具体的に発酵によってできるものは、ビール・ウイスキー・ワインなどの代表されるアルコールが生成される発酵や、醤油・味噌・キムチ・チーズなどアミノ酸(うまみ成分)が生成される発酵、ヨーグルトなど酸が生成される発酵など多種多様に存在します。人は太古の昔から試行錯誤重ね、微生物の助けを借りて発酵させる事のより食料の長期保存を実現させてきたのです。同じように発酵は酪農の分野でもサイレージとして活用されています。サイレージとは植物を刈り取り低酸素状態で保存することで、植物が元から持っている乳酸菌が発酵を起こしpHを下げることにより、タンパク分解菌などの腐敗菌の増殖を防ぎ長期保存を可能にしたものです。このように酪農は発酵とともにあると言っても過言ではありません。
そしてさらにこの発酵の究極な形が“ルーメン発酵”だと言えるかもしれません。その理由としてすべての発酵がルーメンという限局された場所で起こり、その生成物はすべてルーメンの持ち主である牛が利用できるようになっているからです。ルーメン発酵の最終産物は揮発性脂肪酸(VFA)でこれが牛のエネルギー源である事は何度もお話してきました。牛はVFAで全体の7割のエネルギーを得ていると言われています。馬やブタはルーメンを持たない代わりに大腸で発酵しています。そこで生成されたVFAはそれぞれ5割と2割程度の生命維持エネルギーとなり、不足分は人と同じように小腸からのブドウの吸収に頼っています。それを考えると牛はいかにルーメン発に頼っているかが分かると思います。表1に解剖データによる動物別の発酵が可能な消化管の容積の割合を載せてみました。


これをみると牛や羊などの反芻獣がいかにルーメンに依存しているかが一目瞭然です。さらに発酵によって増殖した微生物は小腸に流れ込み重要なタンパク源になります。一方馬やブタでは大腸で発酵するため増殖した微生物は糞として排泄されるだけのため、無駄でしかありません。この事を考えてもやはりルーメン発酵は究極の発酵システムと言えると思います。またウサギやモルモットも盲腸で発酵させることによりVFAを利用しますがその割合は5割程度に過ぎません。他は小腸からの吸収ももちろんありますが、食糞する事によって貴重な栄養源を再利用します。通常はころころの糞をしますがときどきねっとりとした盲腸便と言われる糞をします。これをもう一度食べることによって無駄をなくしているわけです。立派なリサイクルですね。ただし、お尻から直接食べるのであまり見たことがないとは思いますが。ちょっとした余談でした。
これまで数回にわたって牛の消化とくにルーメンに重きを置いてお話ししてきました。線維不足や穀類の多給によって引き起こされるルーメンアシドーシスは発酵ではなく腐敗です。ルーメンが腐敗していてはエネルギー不足になるのはもちろん様々な感染症を起こしさらには突然死を引き起こすリスクも高まります。乳量を追うために穀類を多給することは牛に腐ったご飯を与えるのと同じ事です。人は腐ったものは決して口にはしないはずです。冒頭に発酵と腐敗を決めるのは人の都合だと言いましたが、せめてルーメンの発酵くらいは人の都合で決めるのではなく牛の都合できめてあげたいものですね。
今月もお付き合いありがとうございました。


byとある獣医師

毛を剃ったら……

ウシは地肌にも黒い模様があります。
たいていの動物は、毛と皮膚の色素が違うので、毛皮に模様があって地肌には模様がないのですが、ウシの場合は、皮膚にも毛と同じ色素があろうと考えられています。

では、その他の毛が白と黒の動物はどうなんでしょう??
パンダやシマウマにも、体毛に白と黒の模様があるが、毛を剃ってしまったらどうなのだろうか?やっぱりシマウマは白と黒のシマ模様のままなのだろうか?
実際にパンダやシマウマの毛を剃ってみると、パンダの皮膚はピンクっぽい色で、シマウマは灰色であった。人間も髪の毛は黒いが、肌の色は黒くない。年をとって白髪になっても、皮膚の色は変わらない、それと同じだということである。
毛の色は、毛の毛根にある色素細胞で決まるものである。だから、皮膚の色と毛の色とは、全く関係がないものなのである。では、なぜシマ模様や、はんてん模様の動物がいるのどろうか?
このシマ模様や、はんてん模様は、保護色というものであり、身の安全を守るために、敵にみつからないようにしたり、獲物に気づかれないようにしたりするために、周りの色に合わせて模様が決まっている。
例えば、シマウマの場合は、林の木立のなかでは木立にまぎれてしまう。パンダも、中国の奥地で、雪が積もったり、解けたりしたときの、山肌の様子にとけ込んでしまうように白と黒の模様なのである。

参考文献:Zoo-Animal
参考文献::雑学・豆知識情報室
写真素材:かわいいフリー素材集 いらすとや


by EITARO(sato)

2014-10-15 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

とある獣医師の独り言20

寒いですね。ここ数年は9月でも夜に外でバーベキューなんかできましたが、今年は本来の北海道に戻ったようですね。その割にはオホーツク海の水温が高く釣りはいまいちの結果が続いています。今年の釣りも楽しめるのはせいぜいあと一カ月、何とかいい思いをしたいものです。
では本題です。今回は前回少しだけ話をしたMUNについて、もう少し詳しくお話したいと思います。



①MUNとは
Milk Urea Nitrogenの頭文字で乳中尿素窒素の事です。牛が採食したタンパク質は一胃で分解されやすい分解性タンパク質(RDP)と非分解性タンパク質牛(UDP、バイパスタンパクとも言われます。)に分けられます。UDPは直接四胃に流れ小腸で吸収されますが、分解性タンパクは前回もお話した通り、一胃の細菌により最終的にアンモニアにまで分解され、できたアンモニアから自らの菌体タンパクを合成し、牛はその菌体タンパクをタンパク源として利用しています。その過程にはエネルギー源として炭水化物が必要となります(図1)。このタンパク質の分解の過程でできたアンモニアは非常に毒性が強く牛の体に害を与えるため一胃の表面から吸収されたアンモニアは速やかに肝臓で無毒化され尿素体窒素(BUN)として血液中を流れます。牛乳は血液から作られるので乳汁中にもBUNが入り込んできます。それがMUNです。
②MUNと乳タンパク率の関係   乳量旬報や乳検速報に記載されているMUNと乳タンパクを利用することで牛群の栄養状態を知ることができると言われています。下の表はバルク乳でのMUN・乳タンパクと飼料のエネルギー・タンパク質バランスの関係を表しています。
◎MUNの上昇の原因
1)アンモニアの過剰生産
   タンパク質飼料の多給で起こります。また放牧初期の牧草はタンパク質が高い為MUNが上昇することがよく見られます。



2)一胃の細菌不足
ルーメンアシドーシスによって細菌の絶対数が減少するとアンモニアが利用されずMUNの上昇が見られます。言いかえると炭水化物の多給によってアシドーシスとなりMUNが上昇することがあります。
3)エネルギー不足
一胃の細菌がアンモニアを利用するためにはエネルギーとなる炭水化物が必要です。ですからエネルギー不足ではMUNの上昇が見られます。
   
◎MUN低下の原因
タンパク質特に分解性タンパクの給与不足で起こることがあります。しかし実際には低下が問題になる事は少なく、乳タンパクが正常範囲であればMUNが一桁の値だとしてもなんら影響はありません。逆に一胃での細菌の増殖が盛んである証拠とも言えるのです。
 
MUNはアンモニアの利用状況を反映しています。アンモニアは非常に毒性が強く胚の早期死滅による受胎率の低下や、アンモニアの解毒のために肝機能障害を起こします。またタンパク不足に陥るため牛は痩せてきます。
最近は飼料設計がしっかりしているためタンパク過剰によるMUNの上昇は起こりにくいと言われています。むしろルーメンアシドーシスによるアンモニアの利用障害による上昇の方が問題です。ですからMUNの数値のみで判断するのではなく、乳タンパクを含めた乳成分(特に繊維の採食状況に関係する乳脂肪)、糞の状態、反芻の回数、ボディコンディションなど総合的な判断が必要とされています。
今月もお付き合いありがとうございました。

byとある獣医師

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