北北海道を牛柄トラックで駆ける牛削蹄所。菅原道北削蹄所のオフィシャルサイトです。

牛のげっぷへの課税をめぐる動き


牛のげっぷへの課税をめぐる動き

昨年10月、ニュージーランド(NZ)のアーダーン首相(当時)は、温室効果ガス(GHG)であるメタンの排出量を削減するための政策の一環として、2025年までに家畜が出すGHGの量に応じて農家に課税する方針を発表した。この方針について、アーダーン首相は、NZの生産者が農業排出ガスの削減をこれまでにない世界初の仕組みで挑戦することを意味し、さらに、NZの最大の輸出品(年間464億ドル相当)に世界的な競争力を与えるとともに、2030年のメタンガス削減目標の達成に向けた取り組みを軌道に乗せ、排出量の削減の取り組みにおいてNZの生産者は世界で一番になるだけでなく、世界のために最善を尽くすことが出来、NZ経済にとっても良いものであると述べた。このニュースは生産者からの批判の声とともに世界中で大きく報道されたが、方針の発表後6週間に渡って行われた国民からの意見聴取を踏まえて、方針の修正が12月に発表されると、関係者からは概ね好感を持って受け止められた。今年1月、アーダーン首相の突然の辞意によって新たに首相となったヒプキンス氏は、インフレ対策などを最優先課題として「政策の優先順位を見直す」としている。ただ政府は、農業排出ガスへの課金導入について、実施方法についてはまだ決定していないが、2025年に予定通り実施する方向であることを報道が伝えている。

引用記事:Jミルク

2023-11-13 Category コラム, 牛コラム | コメントは受け付けていません。

牛乳を飲むことで睡眠の改善


必須アミノ酸の1つであるL-トリプトファンは、1980年ごろから睡眠改善効果について調べられています。いくつかの研究で、L-トリプトファンを就寝前3g以上投与すると寝つきが良くなることが確からしいとされています。
ただし、L-トリプトファンを3g以上と多量に摂れる食材は存在しないため、就寝前におけるL-トリプトファンを含有する食材の一過性の摂取では睡眠改善効果はありません。しかし、習慣的なL-トリプトファンを含む食材の摂取による睡眠改善効果についてはさまざまな報告があります。
例えば、大学生249名の調査では、朝の時間帯(6~9時)に牛乳を飲む学生は朝型で、休日の起床時刻が早いという結果が報告されています。また、牛乳を週5回以上飲む学生は熟眠型と中間型のみでしたが、それ以下の頻度の学生では熟眠型が少なく不眠型の学生も見られました。イライラする頻度も、牛乳の摂取頻度の低い学生で多かったことが分かっています。さらに、2~5歳の幼児613名を対象にした調査では、毎日牛乳を摂取する習慣のある幼児は、摂取しない幼児より朝型でした。
朝型の子のほうが夜型の子より睡眠の質が良いことが明らかになりました。
これらの研究は、トリプトファンを多く含む牛乳乳製品の時間帯を考慮した常用が、睡眠を質的に改善する可能性のあることを示唆しているものです。朝の牛乳乳製品の習慣的な摂取が睡眠を改善する可能性があります。夜の睡眠においてはメラトニン、セロトニン、トリプトファンなどが必要になってきますが、それを朝に摂取することによって夜に十分に供給されるためではないかと考えられます。

引用記事:Jミルク
写真素材:フリー素材.COM

2023-10-23 Category コラム, 牛コラム | コメントは受け付けていません。

効果的な蹄浴による費用の低減と跛行の減少

効果的な蹄浴による費用の低減と跛行の減少
オルトゥロ・ゴメス博士、獣医師
ジンプロコーポレーション

農場において、趾皮膚炎やヒゲイボとして知られている感染性の蹄病によって引き起こされる経済損失は、大きなものとなっています。これら感染性蹄病の新規発生の予防と、慢性病変をコントロールするために、蹄浴が一般的に行われています。趾皮膚炎はすぐに病態が変化していく疾病です。わずか10日間で小さな潜在性の病変(直径2cm以下)から進行性の急性潰瘍病変(直径2cm以上)に進行してしまいます。アメリカでは治療のために$300/頭かかるとされているために、予防が非常に重要です。

忘れてはならない蹄浴の目的
蹄浴の目的は感染性の蹄病の予防とコントロールであることを決して忘れないでください。臨床症状が出ている牛の治療のために蹄浴を用いるわけではありません。農場において、すでに趾皮膚炎治療のために相応のお金をかけているとしても、効果的な蹄浴プログラムを確立することで、慢性病変が再度臨床病変に進行することを防いだり、健康牛の新規罹患を予防することが期待されます。蹄浴プログラムの中で、デザイン、設置場所、管理を最良にするよう注力することで、蹄浴を行う頻度を減らしたり、治療費用を大きく減らすことが出来ます。

牛の肢蹄の問題を予防する上でデザイン、設置位置、管理方法が重要
蹄浴は農場において、個別の牛1頭1頭に対して行う処置ではなく、群全体に対する対策として扱われます。蹄浴に用いる薬剤の検討よりも、蹄浴槽のデザイン、設置位置、管理方法がより重要な検討項目です。

蹄浴の効果を高めるために忘れてはいけないポイント
・パーラーの戻り通路のように、牛が日常的に通過する場所の水平な地面に蹄浴槽を設置する。全頭の全肢が、蹄浴槽全体を使って薬液に浸かることを確認する。

・蹄浴槽は長さ3〜3.7m、幅0.5〜0.6m、深さ25cmのものが推奨される。

・薬剤が好発部位に十分に付着するために、薬液の深さは最低でも10cm以上とする。

・下肢の衛生スコアに基づいて、各週で日を開けずに蹄浴を行う。下肢の衛生スコアは、蹄浴頻度を決める目安となる。汚れている牛が多い場合、より蹄浴頻度を増やさなければならない。

・現在多くの農場において、一般的には100〜300頭が通過したら蹄浴の薬液を交換している。牛体の衛生状態や天候、薬剤の種類や濃度によって、薬液の交換頻度は異なる。

・新しい薬液を補充するタイミングを調整し、各群の牛たちが新鮮な薬液に肢を浸けることが出来るようにする

・新しい薬液を投入する前に、古い薬液を完全に排水し、水で蹄浴槽を洗う

・蹄浴槽を通過後、清潔で乾燥した場所を歩かせる

・薬液を用いない日でも、石鹸浴(水100リットルに対して、洗剤1リットルを投入)を行うことで、衛生状態を保つ。

・固定式の蹄浴槽を用いる場合、蹄浴を行わない日は、蹄浴槽上を歩かない迂回路を設けることが推奨される。

上記のポイントを満たす様に蹄浴槽のデザイン、設置場所、管理方法を検討する事が、最良で効果的な蹄浴プログラムを運用する事に繋がります。それによって趾皮膚炎のような感染性の蹄病の予防及び治療にかかる費用を共に減らすことが出来ます。

引用記事:ZINPRO

2023-10-2 Category コラム, 牛コラム, 蹄病・消毒 | コメントは受け付けていません。

第29回北海道ブロック牛削蹄競技大会

令和5年年9月4日・5日の2日間にわたり北海道酪農学園大学にて開催された。北海道ブロック牛削蹄競技大会。
フォトで大会の様子をお伝えします。










































































単独保定の部(写真左から)
優勝  渡部祐太 北見市
準優勝 佐野正 北見市
3位  中原翔太 北見市
4位  竹内秀二郎 北見市
(4位まで全国大会出場)
5位  吉田 羽矢人 北見市 



各部門優勝者の記念撮影です。
単独保定の部 優勝 北見市 渡部 祐太 (写真左) 
枠場保定の部 優勝 名寄市 吉田 新(写真右)



当社吉田が枠場保定の部優勝!!しました!!
単独保定の部1位~4位の選手は11月の茨城で行われる全国大会に出場できます。

皆様お疲れ様でした。

byRIMU

2023-9-17 Category コラム, 削蹄師会 | コメントは受け付けていません。

牛の品種と一頭当たりの価格について


食文化は世界中で多様であり、その多様性の一つが畜産業界から提供される牛肉です。この美味な食材の背後には、品種ごとの肉質、重さなどが価格と大きく関係しています。畜産業界の奥深さを探りながら、牛の品種別に重さと一頭あたりの料金に焦点を当ててみました。

牛の品種ごとの特徴と価格:

畜産業界は、黒毛和種、交雑種、ホルスタイン種など、さまざまな品種の牛を育てています。これらの品種ごとに、肉質や育成条件、価格に大きな差異があります。

黒毛和種(和牛)
その美しい大理石模様の肉質と希少性により、最も高価な品種とされています。肥育牛(お肉になるまで育てている牛)の相場は150万円以上で、ブランド和牛では300万円~400万円にも達することもあります。一頭から取れる肉量は約300kgで、贅沢な食体験を約束します。

交雑種
オスの和牛とメスのホルスタインをかけ合わせて育てられる牛です。価格帯は80万円以上で、肉質は和牛に近く、食べやすい特徴を持ちます。レストランからスーパーまで幅広い需要を満たす存在です。

ホルスタイン種
主に乳牛として育てられ、乳を生産することが目的です。そのため、肉質はやや劣りますが、価格はお手頃で、一頭45万円以上です。また、メスのホルスタイン種は、乳牛としての価値も高く、80万円以上することも。

ブランド牛の魅力と価格:

さらに、ブランド牛として知られる神戸牛や松阪牛にも注目してみましょう。これらのブランド牛は、その極上の肉質と独自の飼育方法により、一頭当たり500万円以上の高価格がつくこともあります。神戸牛や松阪牛は、肥育期間や飼育環境に厳しい基準を設けられており、その希少性が高級食材としての価値を引き上げています。これらの牛肉は、極上の肉質と豊かな風味を楽しむために、高値で取引されています。

牛の重さと利用可能な部位:

一頭の牛の重さは700kgから1,000kg程度であり、その内訳はお肉として利用可能な部位は約300kg程度です。残りの部分は骨や皮、血液などが占めています。ここで気づくべきは、一頭買いと一頭から得られるお肉量の関係。一頭の重さに比べて利用できるお肉は限られていることがわかります。

結びつける畜産業の努力と価格:

価格だけではなく、畜産業界における努力と熱意も牛肉の価値を形作っています。高級な和牛の背後には、長年の育成技術の向上や飼育環境への投資、肉質向上への取り組みがあります。これにより、高品質なお肉が生み出され、その価格が反映されているのです。
牛の品種ごとの肉質や価格の違いは、消費者にとって選択肢の豊かさを提供しています。黒毛和種の贅沢な食味、交雑種の食べやすさ、ホルスタイン種の手ごろな価格、そしてブランド牛の極上の風味―それぞれの品種には、独自の魅力が詰まっています。牛肉の魅力を存分に楽しむためには、品種の特性を理解し、価格や肉質を考慮して選ぶことが大切です。

イラスト素材:vecteezy

2023-8-16 Category 牛コラム | Leave a Comment

牛という動物の多様な顔――日本と世界の文化と宗教による牛へのアプローチ


牛という動物は、世界中の様々な文化や宗教において、その重要性や役割が異なるだけでなく、象徴する意味合いも多岐にわたります。牛は人々の生活に密着し、地域や信仰によって異なる扱いを受けてきました。
以下に様々な国における代表的牛へのアプローチの違いをまとめました。

インド――神聖なる存在としての牛

インドでは、ヒンドゥー教において、牛は母なる存在として尊重されてきました。インドの農業社会では、牛が耕作や農作業に活用され、豊かな収穫と繁栄をもたらすパートナーとして大切にされてきました。そのため、牛を神聖な存在として崇拝する文化が根付いています。
仏教の開祖であるお釈迦様の元の名前でもある「ゴータマ」という名前は、「最上の牛」という意味を持ち、それだけ牛の存在を重要視していたことが伺えます。
また牛の糞や尿、乳さえも聖なるものとされ、日常生活にも密着しています。

イスラム圏――ハラールな牛肉

イスラム教徒の中でも特に、イスラム圏では牛肉の扱いに厳格なルールがあります。牛肉は「ハラール」(許された)とされますが、特定の宗教的な処置を施された牛の肉のみが食べられます。コーランには「死肉、血、豚の肉」が禁じられたとの記述があり、それに従い牛肉を摂取する際にも特別な注意が払われます。牛肉の消費は一般的ですが、その取得と処理には宗教的な規定を満たす必要があります。

欧米――食肉としての牛

欧米の多くの国々では、牛は食肉として扱われることが一般的です。牛肉はステーキ、焼き肉、ローストビーフなど、様々な料理に使われ、食文化に根付いています。牛を食べることは宗教的に問題視されることはありませんが、イスラム教徒のコミュニティやヒンズー教徒の多い地域では、牛肉を提供するレストランや食品会社に配慮が求められることもあります。

日本――農耕の相棒としての牛

日本の文化においても、牛は古くから農耕の相棒として重要な存在でした。耕作や農作業に用いられ、人々の生活に密着していました。また、仏教や神道においても牛に対して特別な意味があります。仏教の物語「水牛と猿」においては、忍耐と受け流す力の大切さが説かれています。日本では牛を食べることは一般的で、牛肉料理は人気のある食べ物となっていますが、特にヒンズー教徒のコミュニティや文化的なイベントでは、配慮が求められることもあります。

さらに、世界的な視点で見ると、牛は農業や畜産業のみならず、環境への影響や持続可能な開発の観点からも注目されています。牛の畜産には温室効果ガスの排出が関連しており、持続可能な農業や環境保護の視点から、畜産業の改善や代替食品の開発にも取り組まれています。

牛の姿や扱いには、地域や文化、宗教の背後に深い意味があります。それぞれの文化や宗教に根ざした牛へのアプローチを理解し、尊重することは、異なる文化間の共感と相互理解を促進する上で重要な要素となります。牛を通じてさまざまな文化とのつながりを感じ、共存のための努力を重ねることで、より豊かな世界を築いていくことができるでしょう。

写真素材:フリーイラストクラシック

2023-8-9 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

牛の知能に迫る – 感情表現やコミュニケーションの一端を垣間見る


牛は私たちが想像する以上に知能の高い動物であり、感情を豊かに表現し、コミュニケーションを行っていることが最近の研究によって明らかになっています。これまでに牛の知能に関する興味深い実例が数多く報告されており、以下ではその一部を紹介します。


個別の声でコミュニケーションを行う牛

オーストラリアの牧場で行われた研究では、放し飼いにされている若いホルスタインの牛の群れを対象に、牛たちの声によるコミュニケーションを調査しました。結果として、牛たちは個々のユニークな声の特徴を持っており、それを異なる状況下でも使い分けていることが明らかになりました。
例えば、発情期や食事時などのポジティブな状況では喜びや満足を表現するような声を発し、一方で食事を与えられない、仲間から隔離されるなどのネガティブな状況では悲しみや不安を示す声を発することが観察されました。これらの声の特徴を使い分けることによって、牛たちは自分の感情や意図を仲間に伝えていると考えられています。(出典:学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」)

脱走行動を示す牛たち

牛は自分の環境や状況に不安を感じたり、ストレスを受けると脱走を試みることがあります。ドイツのソーセージ会社の畜舎から逃げ出した牛や、他の動物園や屠殺場から脱走した牛たちの報告があります。これらの脱走行動は、牛たちが自らの命を守る意欲や知恵を持っていることを示しています。
特に、ドイツのソーセージ会社の牛(イボンヌさん)は、ソーセージになることを恐れて10ヶ月も逃亡を続け、人間の手による保護が話題となりました。彼女の逃走行動は、牛たちが自らの運命を変える意思を持っている可能性を考えさせるものでした。(出典:YouTube – Clever Girl、Cow escapes sausage maker – pretends to be deer – Odd News | newslite.tv)

牛の友情と思いやり

牛たちは社会的な動物であり、群れを作って生活しています。彼らは同じ群れの仲間に対して思いやりを持ち、お互いを助け合うことがあります。例えば、若いホルスタインの牛が他の仲間の不安を静めるために寄り添ったり、逃げ出した仲間を探して救出したりする姿が報告されています。
また、牛の中でも特に個別の声でコミュニケーションを行うことが観察され、牛たちは異なる状況で声の特徴を使い分けており、それによって自分の感情や意図を仲間に伝えていると考えられています。これらの友情や思いやりの行動は、牛たちが社会性を持った知的な生き物であることを裏付けるものとされています。(出典:アトラス・オブスキュラ、シドニー大学のグリーン氏)

これらの実例から、牛が知能や感情を持ち、社会性を持った動物であることがわかります。彼らは個々の個性を持ち、喜怒哀楽を感じ、仲間との絆を大切にしています。農場や動物園などの環境では、牛たちが自然な行動を発揮できるような配慮が必要であり、彼らの福祉を向上させることが重要です。牛の知能と感情を理解し、共感することで、より良い共生社会を築くために努力することが大切です。

写真素材:著作者:kotkoa/出典:Freepik

2023-8-2 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

「地球温暖化の救世主? 海藻を餌にしてメタン削減を目指す牧畜業界の挑戦」


地球温暖化の問題が深刻化する中、私たちは地球環境を守るために新たなアプローチを模索しています。特に、牛が地球温暖化に与える影響が大きいことが認識され、その対策が急務となっています。牛は胃の中で特殊な微生物の働きによってメタンという温室効果ガスを生成し、これが大気中に放出されることから、農業部門におけるメタンの排出削減は環境保護において重要な課題となっているのです。

そんな中、環境に配慮した牧畜業界の取り組みが注目を集めています。その中でも特に興味深いのは、海藻を牛の餌に混ぜる取り組みです。海藻は数多くの種類がありますが、中でも特に紅藻カゲキノリ(Asparagopsis taxiformis)が研究の焦点となっています。

紅藻カゲキノリには特別な性質があり、牛の消化管内に入ると、そこで反芻動物の胃内細菌のメタン生成を抑える働きが確認されています。具体的には、カゲキノリに含まれる特定の成分がメタン生成に関与する微生物を減少させ、結果として牛が排出するメタン量を削減する効果があるのです。この成果により、牧畜業界における地球温暖化対策の一石を投じる可能性を秘めているのです。

実際に行われた研究では、紅藻カゲキノリを牛の餌に加えることで、メタン排出量を最大で80%も削減できるとの報告があります。この驚異的な削減効果は、環境問題への対策として非常に有望であるとされています。

さらに、海藻を牛の餌に取り入れることで、環境への負荷を軽減するだけでなく、肉の品質や味にも影響を及ぼさないという利点があります。これにより、消費者にとっても環境に配慮した選択肢として受け入れられやすくなるでしょう。

ただし、この取り組みにはまだ課題も残っています。海藻を実際に牛の餌として与える際の実現性や、大規模な生産体制の構築など、さまざまな側面からの検討が必要です。また、牧畜産業が抱える他の環境問題や動物倫理の問題も解決しなければなりません。

海藻を餌にする取り組みは有望なアプローチであり、環境負荷を軽減する上で重要な役割を果たす可能性が高いとされています。ただし、これだけで牧畜産業の問題が完全に解決するわけではなく、引き続き多角的なアプローチが求められることも忘れてはなりません。海藻を餌にした牛肉が将来的に一般的になるかどうかは、さらなる研究と取り組みの成果次第と言えるでしょう。地球温暖化という深刻な課題に向き合う中で、私たちは環境に優しいイノベーションを進めることの重要性を改めて感じるところです。

写真素材:公益法人黒潮生物研究所

2023-7-25 Category 牛コラム | Leave a Comment

誰かに話したくなるお肉の豆知識


明治時代から私たちの生活に徐々に浸透していった食肉文化。現代では日々の食卓ですっかりおなじみとなった肉について、あなたはどれくらい知っていますか?今回は知ると誰かに話したくなる豆知識を牛肉、豚肉、鶏肉に分けて紹介します。

豆知識①
「国産牛」イコール「和牛」は間違い
国産牛と和牛、この2つの言葉の意味には明確な違いがあります。国産牛は、品種や生まれた土地に関係なく、生まれてから出荷までの間、最も長く日本で飼育された牛のことを指します。一方の和牛は、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種と、これら4品種の間での交雑により生まれた牛のことを指します。そして、日本で出回っている和牛の約98パーセントは黒毛和種です。但馬牛、神戸ビーフ、特選松阪牛、米沢牛などの有名ブランド牛もこの黒毛和種という品種なのです。

豆知識②
「こま切れ」と「切り落とし」の違い
さまざまな料理に使えて便利な「こま切れ」と「切り落とし」ですが、その違いはご存じでしょうか?一般的に「こま切れ」とは、肉を整形する際に出るさまざまな部位の切れ端を集めた商品を指します。そのため、厚さや大きさもバラバラにカットされており、主に焼きそばや野菜炒めなどの具材として使用されます。
一方、「切り落とし」は特定の部位の肉をスライスした際に出る切れ端の商品を指します。厚さは均一ですが、大きさはバラバラにカットされており、主にすき焼きやしゃぶしゃぶなどに使われます。

豆知識③
ステーキの焼き加減の由来は「ゆで卵」
ステーキを注文する際、焼き加減に「レア(rare)」「ミディアム(medium)」「ウェルダン(well-done)」などの呼び方があります。その中の、レアとウェルダンという言葉は、卵のゆで加減を表現した言葉に由来するそうです。レアという言葉は、半熟卵を意味する英語の古語から生まれました。ウェルダンは、硬ゆで卵を指す「well(正しく)done(調理された)」が由来だとか。卵と同じく、肉も加熱時間が長くなるほど、固くなります。それでは、厚さ2センチメートルのヒレ肉での焼き加減を紹介します。

レア
(英)rare
内部温度55度から65度以下
片面を強火で30秒焼き、弱火にして1分焼く。返して同様に焼く。表面は焼けているが、中心部は生で、肉汁が多い。

ミディアムレア
(英)medium rare
内部温度約65度
片面を強火で30秒焼き、弱火にしたら1分30秒焼く。返して同様に焼く。レアより火は通っているが、中心部はまだ生の状態。切ると赤い肉汁がうっすらとにじみ出る。

ミディアム
(英)medium
内部温度65度から70度
片面を強火で30秒焼き、弱火にしたら2分焼く。返して同様に焼く。中心部にちょうど良い状態に火が通り、薄いピンク色。肉汁は少ししか出ない。

ウェルダン
(英)well-done
内部温度70度から80度
片面を強火で30秒焼き、弱火にしたら2分30秒ほど焼く。返して同様に焼く。肉汁はほとんど出ない。それよりしっかり焼けば、ベリーウェルダン。


文献引用:農林水産省
写真素材:onikuimage

2023-7-18 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

乳牛にも原戸籍と住民票がある??


乳牛の住民票?「個体識別番号」
 先日、筆者の野暮用で、「住民票」と「戸籍謄本」が必要となり、役所へ行きました。かなり以前、あるバラエティトーク番組を見ていた時に、現在でも歌手や相撲評論家としてご活躍されているマルチタレント・デーモン閣下がご出演しており、『吾輩も、世の仮の姿(つまりノーメーク状態、素の姿)になって、役所へ行き、住民票を取りに行くこともあるよ。でないと、生活できないもの!』と発言し、周囲の爆笑を誘っている場面がありました。閣下のような紀元前生まれ?を自称している大人物や、筆者やこの記事をお読み下さっている皆様も、(彼が言うように)、この世の中を生きている以上は、必ず1度は役所へ赴き、費用を支払い、住民票などをもらう行為は不可欠であります。

 乳牛の世界では、住民票や戸籍謄本と言うべき代物があるのか?勿論ございます。我々人間が管理している以上、食物を提供してくれる牛などの家畜動物にも管理システムがございます。に別記事で「乳牛の血統登録」について紹介させて頂きましたが、血統登録事業によって記録される登録証明書は、乳牛の血筋が記されていますので、人間の世界で比喩すると、「原戸籍」と「戸籍謄本」になると思います。
 乳牛の住民票に相当するのが、『個体識別番号』となります。人間と違うのは、人は、其々の姓名で住民登録されていますが、乳牛の場合、文字通り、其々の個体番号によって、牛個体の生年月日、母牛番号・飼養者氏名・所在地などがデータ登録されます。
 「番号で管理する」という意味では、我々住民票を有する日本国民が、2015(平成27)年10月から通知され始めた12桁の数字から成る「個人番号(通称:マイナンバー)制度」と酷似していると言えるかもしれません。因みに乳牛の個体番号は10桁の数字で構成されています。

個体番号を管理する機関と耳標
 日本国内で飼養されている全ての生体牛(乳牛・肉牛)は、国産牛・輸入牛問わず、10桁から成る個体識別番号が振り分けられ、その個体番号によって国内の飼養牛の来歴・経歴は、農林水産省から業務委託されている独立社団法人・家畜改良センター(所在地:福島県)によって管理されます

 先述の如く、国内で、誕生・飼養されている乳用・肉用の牛は、全て10桁の個体識別番号によって、各々の生産者と家畜改良センターに管理されますが、その番号は、牛の両耳に装着する『耳標(じひょう・別名:耳タグ)』に記入されており、この標識を生産者が、分娩や購入などで入手した新規牛個体の耳に取り付けます。
 生産者が手元で、飼養している牛に耳標を装着する事は、家畜改良センターより義務付けられていますが、生産者自身も、様々な管理面で、外見では判別が困難な牛たちを、両耳に付いている其々の個体番号(耳標)を一目で識別できる利点を持っています。
生産者は、入手した新規牛個体に「耳標」を取り付ける義務を果たすと共に、更に家畜改良センターには『届出』もしなくてはなりません。即ち、分娩で仔牛が誕生したなら『出生報告』、他所から牛個体の購入や導入した場合は『転入報告(逆の場合は転出)』、飼養していた牛が運悪く死亡した場合は『死亡報告』、といった上記の発生状況に応じて報告をする事も義務付けられています。
 我々も役所に子供が誕生した場合は「出生届」、引っ越しした場合は「転出入」など、様々な届出を役所で行いますが、牛の場合も同様で、牛の家畜役所の責務は家畜改良センターが担っています。

 因みに、生産者が万一、自分が飼養している牛の耳標装着や「出生などの届出」の義務を怠った場合は、日頃の管理にも大きな支障を来し、未届出の牛が産出した牛乳や肉の出荷販売は許されません。また耳標は、牛の両耳に装着されるのが義務付けされていますので、未装着や片耳のみ装着状態では、他所への運搬(出荷)も禁止されています。

引用文献:酪農と歴史のお話し

2023-3-6 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

2024 菅原道北削蹄所|北北海道を幅広くエリアカバーする牛削蹄所です . | Blue Weed by Blog Oh! Blog