上田削蹄師、冬の北海道上陸
12月6日~14日まで上田指導級にお手伝いいただきました。
過酷な冬の北海道での削蹄、忙しい中有難うございました。
そんな中でのヒトコマ
photo by sugaWara
とある獣医師の独り言45
12月になってしまいました。フットケアミーティングの準備を言い訳にこのコラムを一か月さぼってしまいました。申し訳ありません。今月からまた一か月に一度更新できるように頑張っていきますので、お付き合いお願いします。
さて今月からは削蹄所のホームページにふさわしく、SARA(亜急性ルーメンアシドーシス)が引き起こす蹄への悪影響についてお話しします。蹄の疾患は様々ありますが、どの蹄病にも多かれ少なかれSARAは影響を与えます。その理由として考えられることは、1、栄養失調になること。2、ルーメン微生物の死滅による血行障害が起こること。3、ルーメン微生物のバランスが崩れること。4、軟便(下痢)になることがあげられます。
◎蹄に対するSARAが及ぼす悪影響
1、栄養失調
正常な牛はルーメンに生命維持に必要なエネルギー(ブドウ糖)の約70%とたんぱく質の約50%を依存しています。蹄を構成している主成分はたんぱく質であり、蹄を生成するための細胞分裂に必要なエネルギーはブドウ糖であることから、SARAになればまともな蹄を形成できなくなり、蹄疾患へとつながります。
2、ルーメン微生物の死滅による血行障害
SARAはルーメン内が酸性化することにより、酸に弱い菌が大量に死滅します。死亡する菌の中には大腸菌の仲間も存在するために、血液中にエンドトキシンと言われる毒素が流出します。この毒素の特徴は血管を詰まらせることで血液の流れを阻害します。血液が流れなくなれば、蹄でまともな角質が作られることはなくなり、蹄疾患へとつながります。
3、ルーメン微生物のバランスが崩れる事
ルーメン内で酸に弱い菌が死滅し続けると、酸に強い乳酸産生菌:ストレプトコッカスボビス(レンサ球菌の一種)が増えていきます。この菌は大腸菌の仲間とは違いエンドトキシンは産生しませんが、エキソトキシンという別な毒素を産生します。難しい話は置いておいて、この毒素は角質と真皮の結合を破壊します。破壊された部分は出血を起こすことで様々な蹄病を引き起こします。
4、軟便(下痢)を起こす
SARAは消化管内で腸管を刺激するために下痢を引き起こします。牛群全体が下痢をすれば牛床は糞でドロドロとなり、蹄は水を吸い柔らかくなります。柔らかくなった角質では牛は正しく体重を支えることができず、蹄病の発生を招きます。さらにSARAの牛の便からPDDの菌が検出されたという報告もあります。ですから、SARAはPDDの蔓延にも大いに影響します。
このようにSARAと蹄病は密接な関係があることはわかっていただけると思います。
今月は以上です。来月から蹄の構造と蹄病の発生原因のおさらいをしながらSARAとの関係を見ていきたいと思います。
今月もお付き合いありがとうございました。
by とある獣医師
Year-end party 12/10
12月8日今年も片山削蹄所、菅原道北削蹄所、合同忘年会が中華料理 彩叶で開催されました。
PENTAX WG-3 GPS
Photo by 彩叶スタッフ
第58回全国牛削蹄競技大会
平成28年11月10日(木)茨城県水戸市鯉淵学園農業栄養専門学校様で
第58回全国牛削蹄競技大会が開催されました。
競技大会の成績は以下のとおりです。
『総合順位』
最優秀賞
武藤 稔貴(福島県装削蹄師会)
優秀賞
小川 和孝(鳥取県削蹄師会)
第3位
高田 和弘(北海道牛削蹄師会)
『 部門賞』
判断競技 優賞
小川 和孝(鳥取県削蹄師会)
牛削蹄競技 優賞
武藤 稔貴(福島県装削蹄師会)
選手はじめ関係者の皆様、大変お疲れ様でした。
by RIMU