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とある獣医師の独り言22

12月ですね。師走は何をするにも慌ただしくて、個人的にはあまり好きではありません。今年はまだ積雪には至っていないのが救いですね。このまま雪が積もらないで春になってくれればと虫の良い事を願っている毎日です。では本題です。
草食動物は植物の線維をエネルギー源として利用しますが、人や他の肉食動物と同様に線維を分解する特別な酵素を持っているわけではなく、微生物に棲息可能な場所を作り、そこで微生物によって線維を分解してもらいエネルギーとして利用するという画期的な体を作り上げてきました。単胃動物であるウマやウサギは、盲腸を大きくしてそこに微生物を住まわせました。一方牛を含めた反芻獣は人で言うところの胃の前に食道を変形させることにより3つの部屋を作り、その中で一番大きな場所を細菌に提供することによってエネルギーを得ることにしました。それがルーメンです。このルーメンですが、生まれてきてすぐ機能しているわけではなく、むしろ牛は生まれてすぐは我々人間と同様に胃(牛では四胃)に頼って成長していきます。今月からはこのルーメンの発達の仕方と発達に影響を与える要因についてお話ししていこうと思います。

ルーメンの発達
   ルーメンの発達には大きく二つあります。一つは胃全体に占めるルーメンの容積割合が大きくなる事。もう一つはルーメンの絨毛が伸長することにより栄養の吸収が可能になる事です。

1、容積割合

写真 1 出生直後の胃全体


写真 2 49日齢の胃全体


写真1は生まれたばかりの牛の胃です。この時期の一胃は四胃と同じかむしろ小さいくらいの大きさしかありません。しかし7週齢(49日齢)経った時点のルーメンは明らかに他の胃よりも大きくなっています。(写真2)成牛の胃の中で一胃の占める割合は80%と言われていますので、生後7週齢でほぼそれに近い割合になっていることが分かります。

2、絨毛の伸長

写真 3


写真3は写真1と写真2のルーメンを切り取った内部で、左側が0日齢、右側が49日齢です。0日齢は色が白く表面は若干の凹凸がある程度ですが、49日齢では、色が黒ずみ表面に明らかな突起物が見られます。これがルーメンの絨毛です。牛はこの絨毛から細菌が作り出した酢酸、プロピオン酸、酪酸などのVFA(揮発性脂肪酸)を吸収してエネルギーとします。そのため絨毛が長ければ長いほど表面積が広くなりより多くのエネルギーを吸収できるわけです。ですから、将来的に乳量が出るか出ないかはこの時期の絨毛をいかに発達させるかにかかっているとも言われています。
 来月は飼料によってどうルーメンが発達するかについてお話していきたいとおもいます。(今月の写真はルーメン8 ~いつでも、誰にでも、基本は基本~から引用させていただきました。)

このコラムを読んでくださっているみなさん、一年間ありがとうございました。来年もさらに皆さんの興味の沸くような話をできるだけわかりやすくお話ししていけたらと思っております。またよろしくお願いします。少し早いですがよいお年を!

by とある獣医師

2 Responses to “とある獣医師の独り言22”

  1. 素朴な閲覧者より

    一年間勉強させてもらいました!
    来年は、蹄の病気シリーズなんていかがでしょうか?
    お世話になりました。



  2. とある獣医師

    いつも読んでいただきありがとうございます。
    貴重なご意見ありがとうございます。実は最近コラムの内容に困っておりました。ぜひ参考にさせていただきます。

    来年もよろしくお願いします。



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