北北海道を牛柄トラックで駆ける牛削蹄所。菅原道北削蹄所のオフィシャルサイトです。

とある獣医師の独り言7

今回は蹄の内部構造とその役割を簡単に話していきたいと思います。

上の蹄の構造を見ながら話を進めていきます。蹄の内部構造は3つの趾骨と蹄骨(第三趾骨)を支える伸腱と屈腱の2本の腱、歩行の衝撃から蹄を守る蹄球枕、さらに腱を滑らかに動かすためのとう骨ととう嚢そしてそれらの構造物が合わさった蹄関節からできています。それぞれについて説明します。


蹄骨
 我々の指でいえば中指と薬指が内側蹄と外側蹄の蹄骨です。蹄骨の前面は蹄壁に蹄葉を介してしっかりと付着していますが、蹄踵方向では蹄鞘とは付着していません。また蹄骨はアーチ状をすることにより下からの荷重に強い構造になっています。人の足の土ふまずがアーチ状であるのと同じ原理です。


蹄球枕
 固い蹄骨と蹄鞘が受ける地面からの衝撃を吸収するためのショック吸収材の役割をしています。



 肢を曲げ伸ばしするために必要な線維で、骨に付着するため筋肉の先端部が細くなったものが腱です。腱は蹄球枕とともに衝撃吸収の役割も担っているため、強靭でなくてはいけません。ご自身のアキレス腱をイメージすると分かりやすいかもしれません。腱は2本あり蹄を曲げるために必要な腱が屈腱で伸ばすために必要な腱が伸腱です。


とう骨
 腱を動かすため滑車の役割をする骨です。遠位種子骨とも言われます。この骨によって腱の引っ張る方向を変えるという重要な役割があります。


蹄関節
 基本的には蹄骨と第二趾骨の間の関節ですがこれにとう骨ととう嚢が組み入れられたのが蹄関節です。


以上が蹄の内部構造です。後ほど蹄病のところでも述べますがここで少し蹄底潰瘍の話をしてみたいと思います。

【図1】

前述したとおり蹄骨は蹄鞘の前面は蹄葉を介し付着していますが蹄踵側では蹄鞘と離れており、腱でぶら下がり蹄球枕に浮かんでいるような状態です。

そこで何らかの原因により蹄骨のぶら下がりが弱くなり蹄骨が沈下した場合、蹄真皮に血行障害がおこり蹄鞘の再生が阻害され蹄底潰瘍が起こるわけです。また蹄骨は蹄踵までの3/4までの長さしかないため、図1の場所によく発生します。さらに蹄鞘と蹄骨の付着の強度は外蹄より内蹄の方が強くなっているため、内蹄より外蹄の方が蹄底潰瘍の発生が多くなってしまいます。

せっかく蹄の構造のはなしに触れたのでもう少し潰瘍の話を掘り下げると、蹄底潰瘍がより悪化しさらに深部感染となると球節が赤く腫れあがり、牛は肢をつくことができなくなることがあります。そこで蹄底を削っていくと潰瘍から膿が浸み出し穴の奥から白い線維性のものが出てくることがあります。

これは屈腱の一部です。これは蹄関節に感染が及んだためです。さらに腐った骨のかけらが取れることがありますが、それは蹄骨の一部です。さすがにここまでの深部感染が起こると断趾(蹄)するしかありません。こうなる前に定期的な正しい削蹄を行い、感染のひどい牛は獣医師に適切な治療をしてもらう必要があります。

今回は以上です。次回は話が重複すると思いますが蹄葉炎についてまたお話ししたいと思います。

by とある獣医師

第20回北海道ブロック牛削蹄競技大会レポート

平成25年8月26日・27日の二日間にわたり湧別町(株)ウエダファームで開催された、第20回北海道ブロック牛削蹄競技大会。
フォトで大会の様子をお伝えします。


1日目の様子です。


まずは消毒を念入りに行います。




昨年度全国チャンピオン、武田守さんによる模範削蹄の様子です。




続いて削蹄枠による実演が行われました。






翌日の削蹄判断競技の勉強会です。


















その後場所を移し懇親会が行われました。






















明日の大会エントリーはくじで決定します。














そして2日目。競技当日を迎えました。
雲の多い天気でしたが雨のない天候で安心しました。


昨年度優勝者による優勝カップの返還です。
単独保定の部優勝の北見市武田守さん(左)、そして枠場保定の部優勝の当社倉口です(右)。


選手宣誓は北見市渡部祐太さんです。












単独保定の競技です。






































枠場保定の競技です。












削蹄判断競技です。














場所を移し、審査集計の間講習会が行われました。




結果発表です。


枠場保定の部(写真左から)
優勝 紋別市 眞田 昌一
2位 帯広市 田村 孝彦
3位 富良野市 沖田 太一(沖田さん欠席のため写真はライズ吉澤さんです)








当社倉口が審査員特別賞を受賞しました!





単独保定の部(写真左から)
優勝 北見市 佐野 正
2位 七飯町 宅見 慎吾
3位 七飯町 渡辺 晃大
4位 名寄市 菅原 洋充
5位 江別市 東海林 優

当社菅原が4位入賞しました!
1位から4位までの選手が10月に行われる全国大会へ出場できます。



皆様おつかれさまでした。

by WASHIMI

2013-8-29 Category コラム, 削蹄師会 | Leave a Comment

アイスクリームの種類は?

暑い夏は、やはりアイスクリーム食べますね。
コンビニの売り場には、いろいろなアイスが並んでいます。
ラベルを見ると、一見同じ様な商品でもアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスと記載されています。
さっそく調べてみました。

食品衛生法にもとづく「 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」略して乳等省令にょって定められています。
アイスクリーム類とは、乳、乳製品を主原料として凍結させたもので乳固形分( 乳の水分以外の成分 )を3.0%以上含むものの総称で、含まれる乳固形分と乳脂肪分の量によってアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの3つに分類されています。

・アイスクリームは乳固形分15%以上乳脂肪分8%以上
・アイスミルクは乳固形分10%以上乳脂肪分3%以上
・ラクトアイスは乳固形分3%以上乳脂肪分規定無し

牛乳を使っている量によって同じ様な商品でもきちんと分類されているんですね!

by SAGA

2013-8-22 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

とある獣医師の独り言6

それでは今月は先月説明した蹄の名称に引き続きもう少し掘り下げて、蹄の形成の仕方やそれぞれの部位がどのような機能をしているかについて説明していきたいと思います。

まずは蹄の外側の固い部分、蹄鞘(ていしょう)および白線について説明します。先月も書きましたが、蹄鞘は蹄縁角皮・蹄壁・蹄底・蹄踵からなっています。それでは、それぞれがどこで作られるのか説明しましょう。

蹄縁角皮
 蹄縁角皮は蹄壁と皮膚を分けている部分であり、蹄鞘の前面に水分を与えることにより蹄の柔軟性を保っています。蹄縁角皮は老化や乾燥で機能が低下します。これによって蹄壁にひびが入る裂蹄が起こることがあります。



蹄壁
 蹄壁は蹄冠のすぐ下にある蹄真皮の中の真皮乳頭と言うところで形成されます。ここで聞いたことがある人もいるかと思いますが、ケラチンという物質を含んだ角質を作ります。ケラチンは髪の毛や爪、歯のエナメル質などに含まれる固い物質です。
真皮乳頭で作られたケラチンは一カ月に5ミリの速度でゆっくりと蹄の外面を伸びていきます。成牛の蹄の長さがおよそ75ミリですから、一度作られた蹄壁は15カ月も残り続けるということです。後ほど蹄病のところでもお話しますが、牛が何らかの原因で栄養失調になると蹄壁に亀裂やくぼみが入ることが良くありますが、それが蹄冠から何ミリのところにあるのかを測れば、不調だった時期が推測できます。

 また蹄壁は蹄骨と強力に接着していなければならない反面、歩行によるいろいろな衝撃を吸収するためにそれなりの可動性を持っていなくてはなりません。そこで蹄葉といわれる構造が必要になります。魚の鰓(えら)のような構造(写真1のA)が蹄葉です。重ねた波板がスライドするのをイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれません(図2)。入り組んで密着しているため左右にずれることが無く、それでいて上下に稼働する感じです。ここに炎症がおきて腫れることにより起きるのが蹄葉炎です。腫れによって波板が上下に稼働しなり歩くたびに激痛を引き起こします。





蹄底
 蹄底の角質は蹄底の真皮乳頭から蹄壁と同じようにケラチンを含んだ角質を作ります。蹄底の角質は蹄壁とは違い真下に伸びます。蹄底には蹄葉がなく蹄壁の角質と蹄底の角質の結合部は白線(図3の赤線)となります。白線は結合している部分の為、ケラチン化が不完全でありしばしば解離しそこに異物が侵入することにより白線病が起こります。



蹄踵
 蹄踵は蹄縁角皮の続きでやわらかい角質によって覆われた部分であり、柔軟性があるので圧迫されると形態が変わります。このことが蹄鞘の固い部分との間にひずみを生じ白線病の発生原因に繋がります。したがって蹄踵の固さの違いにより図3の番号順に白線病が発生しやすくなってしまいます。(1→4の順番に蹄底の固さが増すため。)

蹄の内部構造についてのお話は来月に回します。またお付き合いをお願いします。

by とある獣医師

牛の蹄は偶蹄類


牛の蹄をよく見ると2つに分かれています。
この蹄をもつ哺乳類を偶蹄類と呼びます。

四肢の指の数が二本または四本で、蹄(ひづめ)を持ちます。
肩高30センチメートルのネズミジカから3.6メートルのキリンまで種類が多く、角をもつものもあります。
多くは草食性です。

イノシシ科
ペッカリー科
カバ科
ラクダ科
マメジカ科
シカ科
キリン科
プロングホーン科
ウシ科


の9科に分けられます。
調べると偶蹄類は種類が多いですね!

by EITARO(sato)

参考文献:weblio辞書 偶蹄類 より

2013-7-30 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

スタッフ勉強会を開催しました

今年4月にJR名寄駅前にオープンした駅前交流プラザ「よろーな」。
なよろ観光まちづくり協会や名寄商工会議所事務所が入居、そして会議室や野外交流スペースなども整備されている複合施設です。

昨日7/24に定例のスタッフ会議、そしてスタッフ勉強会を「よろーな」にて開催しました。




削蹄の基本や用語の解説が行われスタッフの共通認識と技術向上を高めました。
そして来月8月湧別町で開催される「北海道ブロック牛削蹄競技大会」の削蹄判断競技についての勉強会も行われました。


日々現場での技術指導と座学による知識向上で、より良い削蹄を目指してゆきます!

by WASHIMI

2013-7-25 Category コラム, 当社 | Leave a Comment

片山削蹄所 エビ祭り2013


7月11日木曜日 晴天なり
片山ファミリー 海老祭り2013 に参加させて頂きました。
北海しまえびは今が旬!その量は何と12㎏!!
北海道に住んでいても中々見る量ではありません(笑


片山ファミリーと菅原、18人で25分で完食!


これで終わる片山削蹄所ではありません!
結構な満腹感の中、こんどは焼き肉大会!
仕事もできるが、食も太い!さすがカタヤマ軍団!!

次の日は、上渚滑で削蹄を一緒にさせてもらい、有意義で勉強になった2日間となりました!



2013-7-17 Category コラム, 講習会 | Leave a Comment

根室牛削蹄師会の講習会に出席しました


7月6日に開催された根室牛削蹄師会主催による講習会に、当社菅原、佐藤、建部が出席しました。




各削蹄所の所有する削蹄枠が並びます。


根室牛削蹄師会からの挨拶です。


来月8月に湧別町で開催される北海道ブロック牛削蹄競技大会に向けて、競技種目である削蹄判断の講習です。
判断ポイントを牛を使い確認し、解答用紙に記入してゆきます。








牛の蹄を様々な角度からチェックします。


次に帯広市眞鍋削蹄所の指導級認定牛削蹄師、眞鍋氏の削蹄実演です。






次に別海町酒井削蹄業の橋本氏による削蹄実演です。




削蹄技術の向上となる貴重な講習会でした。
正しい技術と知識をあらためて吸収し、日々の業務に反映してゆきます。
根室牛削蹄師会の皆様ありがとうございました!

by EITARO(sato)

2013-7-15 Category コラム, 講習会 | Leave a Comment

名寄市で講演を行いました

動物用医薬品の開発・製造・輸入・販売を行っている日本全薬工業株式会社”ZENOAQ”(以下ゼノアック)。
ゼノアックでは2008年より日本経営品質賞委員会の提唱する経営品質向上プログラムを導入し、全社的な経営品質向上活動を開始しています。
そして2012年度の日本経営品質賞 経営革新推進賞を受賞しました。

先月6月26日名寄市グランドホテル藤花にて、ゼノアックによる「他業種企業交流を通して経営品質活動に生かす」をテーマとした経営品質向上活動が行われ、当社菅原が講演を行いました。


講演内容は「牛が喜ぶ削蹄のいろは」です。
当社の紹介にはじまり、削蹄の種類、削蹄作業の流れ、削蹄の必要性と効果を資料と映像で講演しました。


そして経営品質向上活動として、従業員の仕事に対するモチベーションが高い理由や顧客満足度が高いことへの質疑応答が行われました。

by WASHIMI

2013-7-12 Category コラム, 講習会 | Leave a Comment

とある獣医師の独り言5

先月まで4回に分けてアシドーシスについてお話してきましたが、やはり蹄の構造と名称を知らないと蹄の成長や形成、蹄病の発生原因や治療方法を理解しづらいかとも思いますので、順序は多少前後しますが、今回からはそこを説明したいと思います。


もう皆さんもご存じだとは思いますが牛の蹄は外蹄と内蹄の二つの蹄からできています。ここでは右の後ろ蹄を例に話をしていきましょう(図1)。

まずは蹄の外観の名称について説明します。内蹄、外蹄のそれぞれの内側の蹄壁を中心(軸)に近いという意味で軸側(蹄)壁、外側を反軸側(蹄)壁と言います。さらに内外蹄の間を趾間隙(しかんげき)と呼び、これによって内外の蹄球(ていきゅう)を分けています。

蹄底と蹄壁の接合部を白線と呼びます。余談ですが基本的に後ろ肢においては外蹄が、前の肢においては内蹄が大きくなっています。これは後肢は外蹄に、前肢は内蹄により体重がかかっているためです。



次は側面から右後蹄をみると(図2)つま先側を前方、かかと側を後方、蹄底側を腹方、関節の方を背方と呼びます。

そして毛の生えていないやわらかい角質の帯状の部分を蹄縁角皮(ていえんかくひ)と呼び、皮膚と蹄を分けています。またその境目を蹄冠(ていかん)と呼びます。



そして牛の二つの蹄は人間の手に例えると(図3)中指と薬指が変化したものです。人差し指と小指はそれぞれの副蹄に相当し、親指は完全に消失していると思ってください。




更に蹄壁は人間の爪に、趾骨の三つ(基節、中節、末節骨)は人の指の骨三つにあたります(図4)



続いて蹄の内部構造を見ていきましょう。蹄は蹄鞘(ていしょう)・蹄真皮(ていしんぴ)・蹄骨および関連の構造の三つの基本的な組織から構成されています。それぞれ簡単に説明します。(図5)

蹄鞘とは蹄の外側の角質の固い覆いであり、さらに蹄縁角皮、蹄冠角質、蹄底角質、蹄踵(ていしゅ)角質に分けられます。

蹄真皮は神経と血管が豊富で、蹄鞘形成と蹄骨に栄養を送る役目を担い、蹄縁真皮、蹄冠真皮、蹄葉真皮、蹄底真皮に分けられます。

蹄骨および関連の構造は基節骨、中節骨、末節骨、遠位種子骨(とう骨)、蹄球枕(ていきゅうちん)などから形成されています。


専門用語ばかりで非常に頭に入りづらいと思いますが、今後の蹄病に説明には必要なので分からなくなった時点でもう一度見直して、ぜひ覚えていただけたらと思います。

来月は蹄の形成や成長の仕方をできるだけ分かりやすく説明するつもりですのでまたお付き合いをお願いします。

by とある獣医師

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