北北海道を牛柄トラックで駆ける牛削蹄所。菅原道北削蹄所のオフィシャルサイトです。

とある獣医師の独り言41

今年も半分が終わってしまいましたね。歳を取ると一年が過ぎるのが年々早くなる気がしませんか?老いも若きも一年は同じ365日に変わりはないはずなのに不思議ですね。以前にその原因は一日の過ごすときの脳の働きに原因があると聞いたことがあります。小さいころは見るもの聞くもの全てが新鮮で覚えることがたくさんあるため、記憶の整理に時間がかかり長く感じてしまうそうです。反対に歳を取ると、一日の行動の中で新しいことを覚えることも少なくなり、今まで長い時間かけて覚えた感覚だけで日々を過ごしていけるようになります。そうすると頭は記憶の整理が必要なくなり、時間が短くなったような錯覚に陥ると言われています。毎日記憶に新しい出来事があれば時間が長く感じられるようになるんですかね。日々を漫然と過ごさないようにしたいものです。では本題です。今月もSARAで起きる病気についてお話しします。

◎JHS(Jejunal Hemorrhage Syndrome ジェーエイチエス)
日本名では出血性腸症候群と呼ばれています。HBS(Hemorragic Bowel Syndrome エイチビーエス)と略されることもあります。このJHSは何らかの原因で小腸から出血を起こし、そこから出た血液と腸内の消化物が混ざることで血液凝固物(写真1)を作りそれが腸に詰まる(腸閉塞を起こす)ことで発症する病気です。症状としては非常に急性な経過をたどり、治療が行われないと85%の牛が36時間以内に死亡すると言われています。発症した牛が見せる症状は①突然の乳量の減少・停止 ②著しい目の凹み(眼球陥凹) ③腹部の膨満(消化物の通過障害による) ④激しい腹痛(疝痛) ⑤タール様便(写真2) ⑥脱力、場合によっては起立不能(写真3) があげられます。
JHSの原因は大きく分けて二つあるとされています。
まず一つは飼料に生えるカビです。粗飼料が何らかの原因(水分過多、鎮圧不足など)でカビることにより、マイコトキシンと言われる毒素が発生し、それを牛が摂取することにより小腸の粘膜に出血を起こしJHSが発症します。
そして、もう一つの原因が腸内細菌の一つクロストリジウム属の異常増殖です。クロストリジウム属の細菌は腸内で増えることにより小腸の腸壁を攻撃する毒素を産生し、腸管の粘膜より出血を起こしJHSを発症します。この異常増殖の背景にSARA(亜急性ルーメンアシドーシス)があります。SARAは何度もお話ししていますが、センイ不足とデンプン質過剰で起こります。SARA時のルーメン内容物はもちろんルーメン内にとどまるわけではなく、四胃を経て小腸へと流れ出ていきます。この酸性度の高い内容物が小腸の壁を傷つけ、センイの少なさが小腸内の乳酸菌を減らしクロストリジウム属といういわゆる悪玉菌の異常増殖を招くことによって小腸粘膜の出血を起こすのです。野菜を取らないと大腸がんの危険が増す人間と同様に、JHSにもルーメンでは消化されないセンイが重要ということです。
 JHSの治療法に教科書上は手術と書いてありますが、私の経験上手術で助かったのは一頭もいません。また、早期に発見し内科療法で一度は回復しても数日後再発し死亡する場合も何件かありました。やはり発症させないような飼養管理が重要です。
 今月は以上です。ありがとうございました。
 
今月の写真もテレビドクター3から引用させていただきました。

byとある獣医師


とある獣医師の独り言40

早いものでもう6月です。関東では梅雨入りしたそうです。昔は北海道には梅雨がないなんて言われていましたが、最近は蝦夷梅雨と言われ長雨がよく見られます。ここ数年宗谷では6月に天気が続いた記憶がありません。今年こそは晴天が続いてほしいものですね。
今月はCVCTについてお話しします。聞きなれないと思いますが、スプラッター映画のような出血を起こす病気です。


◎CVCT(Caudal vena caval thrombosis、シーブイシーティ)
日本名は後大静脈血栓症です。簡単に言えば後大静脈(心臓に戻る直前の一番太い静脈)にできた血栓(けっせん)が血液に乗り肺の毛細血管に詰まって破裂することにより、大量出血する病気です。
上の写真がCVCTを発症している写真です。なかなか強烈な写真ですよね。(この写真はテレビ・ドクター3から引用させていただきました。)左の写真は出血が少量なのでまだ生きていますが、右の写真は出血多量で死亡しています。CVCTの原因は諸説ありますが、SARAが要因だとも言われています。

 

 まずは血液の流れをおさらいしてみましょう。(心臓の構造を参照してください)。牛の心臓の図がネット上になかったので、人の心臓の図を拝借して説明します(ちなみに牛も人も心臓の構造にほとんど違いがありません。牛で言う後大静脈は人では下大静脈になります。)全身から集まった血液は前・後大静脈を経由して右心房から心臓に入り、右心室で拍出されて肺動脈を経て肺へ送られます。肺でガス交換(二酸化炭素と酸素を交換)をした後、肺静脈を経由し左心房から再度心臓へ入り、左心室で拍出されて全身へ回るという経路を取ります。思い出しましたか?これは中学の二年生で習うそうです。
CVCTは血栓が肺に詰まると言いましたが、血栓は何でできるのでしょうか? CVCTの血栓は細菌性血栓と言われています。つまりは膿瘍とほぼ一緒です。後大静脈に膿瘍ができるということは全身が細菌に侵される、つまり敗血症(はいけつしょう)になっていなくてはなりません。先月SARAはルーメンの絨毛をはがすことで血液に微生物を漏らし肝臓に化膿巣をつくるとお話ししましたが、肝膿瘍で収まらなければ細菌は全身をめぐり敗血症を起こすのです。

では、なぜ後大静脈に血栓ができるのでしょうか?それは血液の流れの速さに原因があります。左心室から拍出された血液は各臓器を回り最終的に後大静脈に戻ってきます。ですから一番血液の流れが遅いため血栓ができやすくなってしまうのです。
一度できた血栓はさらに血流を阻害するためだんだん大きくなります。そして大きくなった血栓は一部が剥がれ血流に乗り心臓へ向かいます。心臓へ入った血栓は右心室で拍出され肺動脈へ入り、肺の末梢の血管を詰まらせます。詰まった血管は血液が流れなくなり、後ろから拍出されてくる血液によりどんどんと膨らみ、そこには動脈瘤が出来上がります。その動脈瘤がいつしか圧力に耐えられなり破裂し、その血液が気管を通り鼻や口から噴出することでCVCTが発症するのです。
もちろん敗血症の原因はSARAだけではないので、CVCT=SARAではありません。CVCTの原因としてほかによく見られるのが、寝起きが悪く全身性の褥瘡(じょくそう)や化膿性の関節炎を持っている牛です。著しく痩せているような慢性的な炎症を抱えている牛は要注意と言えるかもしれませんね。
今月は以上です。来月もまたよろしくお願いします。

byとある獣医師

とある獣医師の独り言39

5月ですが寒い、とにかく寒いです。ここ数年、春が来るのが遅い気がしませんか?北海道ではゴールデンウイークに雪が降るのは珍しいことではないのかも知れませんが、それにしても寒すぎです。道南では桜の開花情報も聞こえてきましたが、こっちではいつ咲くものやら…。道北の桜の標準木はソメイヨシノではなく寒さに強いエゾヤマザクラだそうですが、宗谷では桜が咲かなかった年もあるそうです。今年はそんなことがないように祈るばかりです。では、本題です。
今月もSARA(亜急性ルーメンアシドーシス)が起こす病気を具体的に説明していきます。

◎肝膿瘍














上の写真は屠場に搬入された牛の肝臓の写真です。白く玉状に写っているのはすべて膿です。あまり気持ちのいい写真ではないですね。下の健康な肝臓と比べると異常は一目瞭然です。では膿とは何でしょうか。それは細菌と白血球の死がいの塊です。つまり肝臓で白血球と細菌が戦った証が肝膿瘍になるわけです。なぜこのようになるかをお話ししていきます。SARAになるとVFA(揮発性脂肪酸)を吸収するルーメンの絨毛は酸で焼けてくっついていきます。くっついた絨毛は機能しなくなり、やがてはがれ落ちてそこに傷ができます。ルーメンの中には発酵に有益な菌のみがいるわけではなく、フソバクテリウムなどの化膿菌の仲間も多数生息しており、それらがルーメンにできた傷から血流に乗ります。以前に牛の消化のところでお話しした通り、ルーメンから吸収されたVFAは血流に乗り最初に肝臓に入りブドウ糖に合成されるわけですから、傷から吸収された化膿菌も当然肝臓に一番先に入ります。そこで膿が形成されるわけです。肝臓の役割はブドウ糖の合成のほかに、消化を助ける(胆汁の合成)や、解毒、栄養の貯蔵など様々あり、生体の中で非常に重要な臓器です。それが写真のようになってしまっては肝機能の低下は避けられません。また、肝臓は生体防御にも大きく関わっており、肝機能が低下すれば細菌の感染にも抵抗できなくなり、肺炎や乳房炎などの感染症に罹るリスクも高くなり生命の危機に陥る可能性が高くなります。余談ですが人が肝膿瘍になることはまれですが、アルコールやウイルスによって肝硬変を起こせば肝膿瘍と同様です。気を付けたいですね。今月は以上です。
さて、今月28日は浜頓別で29日は名寄で第三回のフットケアミーティングが開催されます。講師を引き受けてくださった皆さま、お忙しい中大変だとは思いますがよろしくお願いいたします。また、このコラムを読んでいただいている方でお近くにお住まいの方は、是非ご参加ください。よろしくお願いします。

byとある獣医師

削蹄通信Vol.11号発行しました!



お待たせしました。
年2回発行の当社削蹄通信Vol.11を発行しました。

今回も牛の情報から当社の紹介まで充実の内容です。
順次畜主様、関係機関へお渡しとなりますのでよろしくお願いします!

by RIMU

2016-4-28 Category コラム, 当社 | Leave a Comment

削蹄通信Vol.11号発行しました!



お待たせしました。
年2回発行の当社削蹄通信Vol.11を発行しました。

今回も牛の情報から当社の紹介まで充実の内容です。
順次畜主様、関係機関へお渡しとなりますのでよろしくお願いします!

by RIMU

2016-4-28 Category 最新情報 | Leave a Comment

平成28年度 北海道牛削蹄師会 通常総会開催

平成27年4月22日(金) 札幌のTKPガーデンシティーにて行われました。
総会前の削蹄研修会では、『ホルスタイン種の長命性を左右するのは肢蹄』と題しまして、
一般社団法人日本ホルスタイン登録協会北海道支局 審査部長 千葉義博様より講演がありました。
総会終了後の懇親会結びの挨拶は、当社の大野雄也くん!!
初めての挨拶で、緊張してましたが、しっかりと勤め上げました!

















byRIMU

2016-4-24 Category コラム, 削蹄師会 | Leave a Comment

とある獣医師の独り言38

4月です。めっきり春めいてきましたね。今年は雪が少なかったせいか、牧草地がところどころ見えてきています。毎日少しずつ日が長くなっているのを実感するとなんだかやる気になります。だからと言って何をするわけでもないんですけどね。では、本題です。
先月まではSARA(亜急性ルーメンアシドーシス)の発生要因についてお話してきましたが、今月からはSARAが起こす病気についてお話ししていきます。今回は下痢です。下痢は病気というよりは糞(ふん)が柔らかくなるという状態の一つですが、SARAの場合多くに見られる症状のため、最初に取り上げることにします。
通常、胃と小腸で栄養と水分を除かれた食べ物の残りかすは、大腸でさらに水分を吸収されることで硬くなり、糞として排泄されます。しかし何らかの原因で水分過多の状態で排泄された場合を下痢と称します。その下痢の原因は大きく感染性と非感染性に分けられます。感染性の下痢の原因はサルモネラや病原性大腸菌などの細菌やノロウイルスやコロナウイルスなどのウイルス、コクシジウムやクリプトスポリジウムなどの原虫など微生物の感染にあります。これは微生物が作る毒素やウイルスが腸の壁を直接障害するために起こる下痢です。一方でSARAの下痢の原因は非感染性です。ルーメンで過剰に作られた乳酸は四胃を通過し小腸を通り大腸へと流れていきます。通常、大腸は水分を吸収し糞を固くしていきますが、乳酸が大量に含まれたまま腸を通過すると酸によって腸管に炎症をひきおこされるため、逆に水分を分泌して酸を希釈し炎症を抑えようと体が反応をします。これが下痢の原因です。急性のルーメンアシドーシスでは乳酸の量も大量のため、腸管から分泌される水も大量になり水のような下痢をしますが、SARAの場合は写真のような泡立つ下痢が見られることが多くなります。このような糞をする牛が散見されるようになったら、SARAを疑ってみるのもありかもしれません。
更にみなさんも経験があると思いますが下痢はお腹が痛くなります。そして乳酸は腸壁をチクチクと刺激するため慢性的な腹痛に襲われるそうです。腹痛が長期にわたると牛も人と同じで落ち着きがなくなり、痛みでイライラするため、気性が荒くなります。牛がうるさいというのもSARAが引き起こす症状の一つと言えるかもしれません。
今月は以上です。お付き合いありがとうございました。

byとある獣医師

とある獣医師の独り言37


三月です。今年はあまり荒れた天気にならないなんて言っていたら、ついに先日やられました。このコラムの中にも~猿払大荒れの天気~として写真付きで紹介されていましたが、スーパー爆弾低気圧が道北を直撃しました。まさにホワイトアウトそのものでした。その時の強烈な東風のおかげと言ってはなんですが、わが村でもようやく流氷がやってきました。まだ接岸とまではいきませんが、この流氷が様々な栄養を運んでくれるため、オホーツクの海は豊かだと言われています。ようやく日差しも春めいてきました。春までもう少しの辛抱です。
本題です。先月は乳酸を中和するための反芻についてお話ししましたが、今月は反芻が減少することによる中和障害のSARAについてお話ししていこうと思います。
 数年前までは牛は配合飼料の多給と配合飼料の給餌のタイミング(分離給与の場合、配合飼料の給餌の前には粗飼料を与えるなど)さえ間違えなければSARAにはならないと言われていました。ですから、飼料設計されたTMR給与ではSARAは起こらないと信じられていました。しかし、近年センイ不足により反芻が低下し、SARAが発生することが注目されるようになってきました。牛は反芻することによって唾液を一日に150から200ℓ出すと言われていますが、それを重曹に換算にすると1から1.5㎏になります。この重曹によって中和されたルーメン内では、乳酸利用菌が元気に働き乳酸をプロピオン酸へと変換し、変換されたプロピオン酸はルーメンの絨毛(じゅうもう)から吸収され、肝臓でブドウ糖へと変換され全身で利用されます。しかし、反芻が減少し重曹が流れてこなくなったルーメンでは、酸に弱い乳酸利用菌が次々と死滅し、乳酸は分解されずにどんどんとルーメン内に蓄積されることでさらにルーメンの酸性度を下げSARAの発症へとつながっていきます。ですから、前回お話しした『反芻を触発するセンイの長さ』や『精神的な安静』は牛に生命にとって非常に重要な要素になっています。

図1正常なルーメンのイメージ


図2SARAのルーメンのイメージ

三回にわたりSARAの発生原因についてお話してきましたが、一般的にはSARAの症状の重さは乳酸の産生される量に比例するので、乳酸を処理できない場合のSARAの方が重症にはなりますが中和障害の方も決して症状が軽いわけではありません。
現代の牛は泌乳を求めるがため、より多くの配合飼料を食べさせられています。さらに、乾草のような消化に時間がかかる飼料は乳量にならないとして嫌われる傾向があります。しかし牛は一番必要なものは、配合飼料ではなく、栄養価が高く良質のセンイを多く含んだ粗飼料であることは間違えありません。
今月は以上です。来月からはSARAが招く様々な病気についてお話ししていきます。今月もお付き合いありがとうございました。

by とある獣医師

~猿払大荒れの天気~

発達中の低気圧の影響で、北日本を中心に雨や雪を伴って風が強まり、ところによって猛吹雪となっていました。
2/29この日は猿払の現場で午前中は穏やかな天気でしたが、午後になるにつれて風が強まり、雪が激しくなってきました。
このままでは、帰れなくなると判断し現場を途中で切上げ名寄に帰宅中 猿払の国道238号線が通行止めに・・・
帰ろうにも猛吹雪の影響で各道路が通行止めなり、全く身動きがとれなくなってしまいました。
猿払道の駅に停車し一向に良くならないまま6時間が経過した時に、パトロール隊の方が来られて鬼志別の役場に避難する事になり、1日役場で過ごす事となりました。
その一部を写真でご紹介します。


↑国道238号線通行止めの様子


↑配給の様子


↑就寝の様子

猿払村役場の方々大変お世話になりました。
ありがとうございます!!

by RIMU

2016-3-4 Category コラム, 当社 | 2 Comments

とある獣医師の独り言36

2月です。今年は暖冬と言われながら沖縄でも観測史上初めて雪が降ったそうです。アメリカやヨーロッパでも大寒波が発生し、暖かい冬なんだか寒い冬なんだかよくわかんないですね(笑)。そんな中、私の住んでいるところは特に雪も多くもなく寒さも例年通りです。苦手な冬も実質あと二か月。大荒れになることもなく無事過ぎていくことを祈るばかりです。
本題です。先月はSARA(亜急性ルーメンアシドーシス)になる要因の一つ、乳酸をプロピオン酸に変換できなかった場合についてお話ししましたが、今月からはもう一つのSARA要因、乳酸を中和できなかった場合についてお話ししようと思いますが、その前にその中和にどうしても欠かせない反芻についてお話ししようと思います。
当たり前かもそれませんが、酸を中和するのはアルカリです。化学物質としてアルカリ性のものは沢山ありますが、生体内でアルカリ性を示す物質と言えば唾液に含まれる重炭酸しかありません。ですから、ルーメンでできた乳酸を中和するためには、唾液をたくさん出すことが必要で、そのためには反芻という行動が必要になるわけです。そこで今月は反芻の発生に必要なこと見ていきましょう。


図1 反芻発生のメカニズム

◎反芻をさせるために
①センイの長さ
反芻を引き起こすには一胃の中と二胃のヒダにある特定の部分(正確には上皮受容体(じょうひじゅようたい)と言います)に物理的な刺激が必要になります。具体的には平均5mm以上の粗飼料のセンイが通過しようとすると、牛の脳は消化できないと判断し、第二胃から収縮を起こし一胃へと連動する一連の反芻が発生するわけです。ですから5mmに満たないセンイが通過しても反芻が起こりません。混ぜすぎたTMRではこの長さには満たず反芻は減少し、高水分のサイレージでもルーメン内では微生物により早くに分解されてしまうため反芻が起きなくなってしまうのです。この5mm以上という長さが非常に重要です。一方、センイが長すぎてもヒダを通過できないため、刺激が起きず反芻がおこりません。その場合はルーメン内を長くただよい、微生物の分解を待たなくてはならないため消化に時間がかかるわけです。

②精神的な安静
反芻は脳で起こします。ですから、精神状態によって反芻の発生に大きな差が生まれます。つまり、興奮状態や過度のストレス下では反芻は起きにくくなります。具体的に、居心地の悪いストールや汚れた環境、暑熱、過密などは反芻の減少の大きな要因になります。また、毎日行っている飼養管理作業を規則正しい時間に、決められた手順で行うことも牛の精神的な安定には重要な要素です。

牛は反芻獣と言われるくらいですから、反芻が生きていく上で最も重要な行動です。より良い反芻をさせてあげることが牛を飼う上で最も重要な管理です。

今月は以上です。来月は反芻の減少が及ぼす中和障害によるSARAについてお話しします。

今月もありがとうございました。

2024 菅原道北削蹄所|北北海道を幅広くエリアカバーする牛削蹄所です . | Blue Weed by Blog Oh! Blog