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とある獣医師の独り言13

私の住んでいるところは今年の雪は例年より少なく、国道の通行止めもまだ一度もなく平和な冬を過ごさせていただいておりますが、皆さんの住んでいるところはいかがでしょうか?春が待ち遠しいですね。


写真 1 趾間過形成

さっそく趾間の病気についてお話していきます。まずは趾間過形成(しかんかけいせい)です。趾間結節(しかんけっせつ)とも言われます。内外側の軸側の蹄壁とくっついている皮膚には小さな襞(ひだ)があり、それが慢性的に刺激され続けると皮膚が肥厚し盛り上がってきて写真1のような状態になるのが過形成です。ですから盛り上がっているのは皮膚の一部なので趾間皮膚過形成といってもいいと思います。その刺激の原因として趾間に糞や異物が詰まる事や趾間の軽度の細菌感染にあります。そのため蹄浴や蹄の洗浄で趾間をきれいに保つ事がもっとも大切です。


写真 2 過形成の切除

治療法は小さい過形成であれば削蹄により趾間の隙間を広げてあげることで徐々に小さくなりますが、大きな過形成の場合には写真2のように外科的に切除する必要があります。

次に趾間腐爛(しかんふらん)についてです。これは趾間がFusobacterium necrophorumという菌 (日本語では壊死桿菌(えしかんきん)と言われます)に感染にすることにより起こります。この菌は空気のあるところでは増殖できないので、まず趾間に傷ができることが発端です。たとえば木の枝や石によってできる小さな傷、または物理的に趾間が広げられてできた裂け傷などから菌が侵入しそこで増殖することで趾間腐爛が発症します。ですから成乳牛のみならず公共牧場で預託されている育成牛でもよくみられます。急激に跛行を示す牛が増えた時には趾間腐爛かPDDを疑うべきでしょう。特に長雨の後では要注意です。雨で放牧地の表面の土が流れ、尖った石が趾間を傷つけることにより複数頭に趾間腐爛の発症が見られることもよく有ります。


写真 3 趾間腐爛による蹄冠の腫脹


写真 4 趾間腐爛による趾間皮膚の裂け目

趾間腐爛の特徴は写真3で見られるような蹄冠部の腫脹です。発症初期は小さな傷なので蹄を挙げても趾間腐爛だと気付かない事も有ります。少し時間がたつと中に溜まった膿が自潰(じかい)し写真4のようになります。


写真 5 趾間過形成と趾間腐爛の合併症

また趾間過形成と合併して起こるようなことも有ります。過形成と趾間の間にできる擦り傷から壊死桿菌が感染し写真5のような二次的な趾間腐爛が出来上がります。
趾間腐爛の治療としては早期の場合は抗生物質が非常に有効です。ペニシリンの全身投与を数日実施するのが一番です。それと同時に趾間の壊死組織(えしそしき)の除去と消毒をおこなうのがよいでしょう。ただし、発見が遅くなった場合には壊死桿菌が趾間から軸側の蹄壁へ侵入し蹄球部から蹄底へ化膿が波及する場合も有ります。その場合は抗生物質の全身投与と並行して、蹄底潰瘍と同様に浮いている角質をすべて削切する必要があり、治癒には時間がかかることになります。特に蹄関節へ腐乱が侵入した場合には予後は非常に悪くなります。すべての病気に言えることですが、早期発見、早期治療が肝です。

次回は趾間の病気のPDDについてお話します。


今回の写真も牛のフットケアガイドから引用させていただきました。

by とある獣医師

One Response to “とある獣医師の独り言13”

  1. sugaWara

    気づけば早いもので13回!
    忙しい中いつも有難うございます。



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