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とある獣医師の独り言8

今回は蹄葉炎で起こる蹄の変化について話したいと思います。
蹄葉炎という用語は本来蹄葉の炎症を意味しますが、実際は蹄真皮全体の炎症を指すことが多くため蹄真皮炎と理解した方が分かりやすいかもしれません。一般に蹄葉炎になると以下のいずれかまたはいくつかが合併した変化が起こります。

◎蹄鞘の過剰形成

蹄真皮に炎症が起きると最初は血液が多量に流れ込みます。このことにより蹄鞘(蹄壁および蹄底)に過剰な成長が起こります。その結果としてやわらかい角質が形成されます。

◎白線部におけるやわらかい角質

上記の過剰形成は白線で最も起こりやすいため白線の結合がもろくなり、その結果白線部に異物の混入が起こり白線病の要因となります。

◎蹄底の角質の黄色化および出血

蹄葉炎は血管に障害を起こすため血液の中の血漿(けっしょう)が血管外に浸み出すため蹄底が黄色く変色すると言われています。さらに血管の障害が重度であれば血漿だけでなく血液そのものが浸み出し蹄血斑と呼ばれる蹄底における出血が起こります。(写真1、2参照)


写真 1 蹄底出血
蹄底潰瘍の好発部位(A)と白線(B)に出血が見られる。




写真2 蹄底出血
蹄尖と白線に出血が見られる。右の蹄には蹄血斑と黄色化が見られる。




◎蹄壁の裂蹄およびハードシップラインの形成

炎症がさらに進むと蹄真皮が腫れることにより血液の停滞(うっ血)がおこり、一時的な蹄の形成の停止が起こります。写真3は分娩直後に大腸菌性の乳房炎を起こし大腸菌の毒素により蹄の形成が完全にストップしたため完全な裂蹄が形成された例です。


写真 3



ここまで重篤でなくても、慢性的なルーメンアシドーシスにさらされると、ルーメン内の微生物が死滅することにより産生される毒素により蹄の形成が阻害され、写真4にみられるハードシップラインと呼ばれる水平な溝が出来上がります。


写真 4



また写真5のような粉末状の角質が詰まった蹄底のくぼみも蹄葉炎と関連していると言われています。


写真 5




◎蹄踵で歩くことと蹄の過剰形成による蹄尖の上方への回転と変形

以前にも述べたように蹄葉炎は蹄尖部で痛みが強いため蹄踵に体重をかけるため蹄は変形し、さらに不完全な蹄が過剰生成するため最終的に写真6のような異常な蹄の形になります。ここまでで蹄が変形してしまうと削蹄で簡単には元に戻すことは非常に困難となります。こうなる前に飼料の見直しによるルーメンアシドーシスの改善と正しい削蹄による負重の改善が必要となります。

写真 6



次回からは様々な蹄病の発生原因と治療方法についてお話していきたいと思います。
(写真はすべて牛のフットケアガイドから引用させていただきました。)

by とある獣医師

2 Responses to “とある獣医師の独り言8”

  1. 黒ジャケの男

    とある獣医師さん、こんにちは。

    蹄底の写真わかりやすいですね!

    出来れば、蹄葉炎やPDD等、蹄病と呼ばれている写真を

    うpして頂けるとありがたいです。

    毎回、コラムチェックしてます。次回も期待してまーす!



  2. とある獣医師

    黒ジャケの男さんいつもありがとうございます。

    そうですね来月からは蹄病を写真付きで治療方も含めて話して行けたらと思ってます(^-^)v


    来月を楽しみにしてて下さい



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