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とある獣医師の独り言52

今年も早いもので一年を折り返しました。一番牧草の収穫もそろそろひと段落というところでしょうか。私の地域では天候はまずまずでしたが、春先の気温が低かったため草が伸びず、収量が少ないと聞きました。これからの気温の上昇と晴天に期待したいところです。
先月まではお産や削蹄が起こす蹄底潰瘍のお話しでしたが、今月からはいよいよルーメンアシドーシス(SARA)と蹄底潰瘍の話に入りたいと思います。SARAと蹄底潰瘍に関係する物として細菌が作り出す物質のエンドトキシン、体内から出されるホルモンの一種であるヒスタミン、ルーメン内の細菌の一種ストレプトコッカスボビスが上げられます。それぞれについて説明していきます。


◎エンドトキシン(LPSと言われることもあります)
 
グラム陰性の細菌の構成成分の一つで、細菌が死亡(エンド)することによって体内に排出される毒素(トキシン)です。専門用語で何のことだかわからないと思いますが、酪農家の方だと大腸菌の乳房炎の症状を思い出していただけると分かりやすいかもしれません。あの症状を起こさせる原因がエンドトキシンです。また、数年前に話題になったユッケやレバ刺しで食中毒をおこした腸管出血性大腸菌O-157もこの毒素による症状です。
牛はルーメンに大量に大腸菌を養っています。乳酸を分解しプロピオン酸を作る菌の多く大腸菌の仲間です。しかし、大腸菌は酸に弱いためSARAになると徐々に死滅していきます。この時にエンドトキシンができてしまうのです。ルーメンでできてしまったエンドトキシンは腸から吸収され、血液に乗り全身へと送られてしまいます。
エンドトキシンの最大の特徴は体の様々な場所で血液を固まらせ、血栓を作ることです。血栓ができた場所は血が流れなくなり、血管が破裂します。(余談ですが大腸菌の乳房炎で目が真っ赤に充血するのはこのためです。)血液が途絶え栄養がもらえなくなった臓器や組織はダメージを受けていきます。エンドトキシンの量によりますが食欲不振や起立不能など様々な症状を引き起こします。
もちろん蹄も例外ではありません。エンドトキシンは四肢の末端である蹄真皮にも到着しそこで血栓を形成し血管を破たんさせ、蹄に炎症を起こします。それが蹄葉炎の発症です。蹄葉炎は角質の生成を妨げるため、蹄の角質の欠損を起こします。その欠損が蹄底に起きれば蹄底潰瘍へとなるのです。エンドトキシンは恐ろしいですね。

今月は以上です。

今回の図は大阪府立公衆衛生研究所ホームページから拝借しました。

by とある獣医師

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