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とある獣医師の独り言48

三月になりました。日差しも日に日に暖かくなり、少しずつではありますが春を感じるような天気になってきましたね。この時期はなぜかテンションが上がります。道北地方は例年より雪が少なく、比較的楽な冬となっています。あと一か月、何とか荒れることもなく過ごせることを祈っております。もう少しで待ち遠しい春がやってきます。それでは本題です。

先月は蹄の内部の構造こそが蹄底潰瘍誘発の原因であるというところまでお話ししましたが、その続きです。蹄底潰瘍とは少し話はそれますが、今月は褥瘡の話から始めます。

今月は褥瘡の話から始めます。皆さんは褥瘡(じょくそう)という言葉はご存知でしょうか?褥瘡は人の場合は床ずれとも言われ、ロコモティブシンドロームなどで寝たきりになった人などによく見られる症状です。インターネットで“褥瘡”で検索すると目を覆いたくなるような写真が多数出てきます。それら褥瘡の写真を一見すると傷があるため何かの細菌感染の影響に思われるかも知れませんが、細菌は直接関係ありません。褥瘡の発生はかかとやひじ、お尻の尾骶骨(びていこつ)など骨が尖っていて、かつ中の筋肉や脂肪が薄い部分で多く見られます。脂肪や筋肉が薄く骨が尖っているような場所は、長期間にわたって体重がかかり組織が圧迫されると、血液の流れが悪くなりやすい傾向があります。血液が途絶え、栄養が得られなくなった筋肉や皮膚は壊死(えし)を起こします。壊死を起こした部分は脱落することで褥瘡の発生となるのです(図1)。


図1 床ずれの模式図


写真1 飛節の褥瘡


写真2 大腿部の褥瘡

ですから褥瘡は圧迫による血行障害によって起こる、組織の無菌的壊死と言えます。余談ですが、笑点で長く司会を務めていた歌丸師匠が体調不良で入院しているときに褥瘡に苦しんだそうですが、彼は異常に痩せているため筋肉や脂肪が少なく、普通の人よりも褥瘡になり易かったのだと思います。痩せすぎというのも考え物ですね。
話を牛に戻しますが、もちろん牛にも褥瘡はあります。写真1は飛節の写真2は大腿部の褥瘡です。これらの牛は蹄が悪く寝てばかりいたため飛節や股関節に褥瘡ができてしまいました。牛の場合も回りよりも骨が飛び出ているような飛節や股関節の周囲部によく見られます。
なぜ、ここで褥瘡の話をしたかというと、蹄底潰瘍は褥瘡と発生の仕方が非常に酷似しているからです。蹄底潰瘍は細菌感染による蹄病だと勘違いしている人が良くいます。私も恥ずかしながら、つい数年前まで勘違いしていたうちの一人です。診療中に蹄底潰瘍を見つけた際に、『何か尖った石でも踏んだんだね。』と言う畜主さんに、『そうですね。』と答えていました。確かに何かを踏むことによって蹄に炎症や化膿ができる蹄病もあります。しかし、それは化膿性蹄皮炎(かのうせいていひえん)という別の蹄病です。蹄底潰瘍は血行障害によって起こる蹄真皮の壊死による蹄病です。その血行障害がなぜ起こるのかについてはまた来月お話しします。

byとある獣医師

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