北北海道を牛柄トラックで駆ける牛削蹄所。菅原道北削蹄所のオフィシャルサイトです。

牛の品種と一頭当たりの価格について


食文化は世界中で多様であり、その多様性の一つが畜産業界から提供される牛肉です。この美味な食材の背後には、品種ごとの肉質、重さなどが価格と大きく関係しています。畜産業界の奥深さを探りながら、牛の品種別に重さと一頭あたりの料金に焦点を当ててみました。

牛の品種ごとの特徴と価格:

畜産業界は、黒毛和種、交雑種、ホルスタイン種など、さまざまな品種の牛を育てています。これらの品種ごとに、肉質や育成条件、価格に大きな差異があります。

黒毛和種(和牛)
その美しい大理石模様の肉質と希少性により、最も高価な品種とされています。肥育牛(お肉になるまで育てている牛)の相場は150万円以上で、ブランド和牛では300万円~400万円にも達することもあります。一頭から取れる肉量は約300kgで、贅沢な食体験を約束します。

交雑種
オスの和牛とメスのホルスタインをかけ合わせて育てられる牛です。価格帯は80万円以上で、肉質は和牛に近く、食べやすい特徴を持ちます。レストランからスーパーまで幅広い需要を満たす存在です。

ホルスタイン種
主に乳牛として育てられ、乳を生産することが目的です。そのため、肉質はやや劣りますが、価格はお手頃で、一頭45万円以上です。また、メスのホルスタイン種は、乳牛としての価値も高く、80万円以上することも。

ブランド牛の魅力と価格:

さらに、ブランド牛として知られる神戸牛や松阪牛にも注目してみましょう。これらのブランド牛は、その極上の肉質と独自の飼育方法により、一頭当たり500万円以上の高価格がつくこともあります。神戸牛や松阪牛は、肥育期間や飼育環境に厳しい基準を設けられており、その希少性が高級食材としての価値を引き上げています。これらの牛肉は、極上の肉質と豊かな風味を楽しむために、高値で取引されています。

牛の重さと利用可能な部位:

一頭の牛の重さは700kgから1,000kg程度であり、その内訳はお肉として利用可能な部位は約300kg程度です。残りの部分は骨や皮、血液などが占めています。ここで気づくべきは、一頭買いと一頭から得られるお肉量の関係。一頭の重さに比べて利用できるお肉は限られていることがわかります。

結びつける畜産業の努力と価格:

価格だけではなく、畜産業界における努力と熱意も牛肉の価値を形作っています。高級な和牛の背後には、長年の育成技術の向上や飼育環境への投資、肉質向上への取り組みがあります。これにより、高品質なお肉が生み出され、その価格が反映されているのです。
牛の品種ごとの肉質や価格の違いは、消費者にとって選択肢の豊かさを提供しています。黒毛和種の贅沢な食味、交雑種の食べやすさ、ホルスタイン種の手ごろな価格、そしてブランド牛の極上の風味―それぞれの品種には、独自の魅力が詰まっています。牛肉の魅力を存分に楽しむためには、品種の特性を理解し、価格や肉質を考慮して選ぶことが大切です。

イラスト素材:vecteezy

2023-8-16 Category 牛コラム | Leave a Comment

Hokkaido Photo



弊社敷地内にて

2023-8-12 Category rimu, 風景フォト | Leave a Comment

Food Photo



北広島市エスコンフィールドにて

2023-8-9 Category 風景フォト | Leave a Comment

牛という動物の多様な顔――日本と世界の文化と宗教による牛へのアプローチ


牛という動物は、世界中の様々な文化や宗教において、その重要性や役割が異なるだけでなく、象徴する意味合いも多岐にわたります。牛は人々の生活に密着し、地域や信仰によって異なる扱いを受けてきました。
以下に様々な国における代表的牛へのアプローチの違いをまとめました。

インド――神聖なる存在としての牛

インドでは、ヒンドゥー教において、牛は母なる存在として尊重されてきました。インドの農業社会では、牛が耕作や農作業に活用され、豊かな収穫と繁栄をもたらすパートナーとして大切にされてきました。そのため、牛を神聖な存在として崇拝する文化が根付いています。
仏教の開祖であるお釈迦様の元の名前でもある「ゴータマ」という名前は、「最上の牛」という意味を持ち、それだけ牛の存在を重要視していたことが伺えます。
また牛の糞や尿、乳さえも聖なるものとされ、日常生活にも密着しています。

イスラム圏――ハラールな牛肉

イスラム教徒の中でも特に、イスラム圏では牛肉の扱いに厳格なルールがあります。牛肉は「ハラール」(許された)とされますが、特定の宗教的な処置を施された牛の肉のみが食べられます。コーランには「死肉、血、豚の肉」が禁じられたとの記述があり、それに従い牛肉を摂取する際にも特別な注意が払われます。牛肉の消費は一般的ですが、その取得と処理には宗教的な規定を満たす必要があります。

欧米――食肉としての牛

欧米の多くの国々では、牛は食肉として扱われることが一般的です。牛肉はステーキ、焼き肉、ローストビーフなど、様々な料理に使われ、食文化に根付いています。牛を食べることは宗教的に問題視されることはありませんが、イスラム教徒のコミュニティやヒンズー教徒の多い地域では、牛肉を提供するレストランや食品会社に配慮が求められることもあります。

日本――農耕の相棒としての牛

日本の文化においても、牛は古くから農耕の相棒として重要な存在でした。耕作や農作業に用いられ、人々の生活に密着していました。また、仏教や神道においても牛に対して特別な意味があります。仏教の物語「水牛と猿」においては、忍耐と受け流す力の大切さが説かれています。日本では牛を食べることは一般的で、牛肉料理は人気のある食べ物となっていますが、特にヒンズー教徒のコミュニティや文化的なイベントでは、配慮が求められることもあります。

さらに、世界的な視点で見ると、牛は農業や畜産業のみならず、環境への影響や持続可能な開発の観点からも注目されています。牛の畜産には温室効果ガスの排出が関連しており、持続可能な農業や環境保護の視点から、畜産業の改善や代替食品の開発にも取り組まれています。

牛の姿や扱いには、地域や文化、宗教の背後に深い意味があります。それぞれの文化や宗教に根ざした牛へのアプローチを理解し、尊重することは、異なる文化間の共感と相互理解を促進する上で重要な要素となります。牛を通じてさまざまな文化とのつながりを感じ、共存のための努力を重ねることで、より豊かな世界を築いていくことができるでしょう。

写真素材:フリーイラストクラシック

2023-8-9 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

Hokkaido Photo



砂川市にて

2023-8-6 Category rimu, 風景フォト | Leave a Comment

Hokkaido Photo



北広島市エスコンフィールドにて

2023-8-3 Category 風景フォト | Leave a Comment

牛の知能に迫る – 感情表現やコミュニケーションの一端を垣間見る


牛は私たちが想像する以上に知能の高い動物であり、感情を豊かに表現し、コミュニケーションを行っていることが最近の研究によって明らかになっています。これまでに牛の知能に関する興味深い実例が数多く報告されており、以下ではその一部を紹介します。


個別の声でコミュニケーションを行う牛

オーストラリアの牧場で行われた研究では、放し飼いにされている若いホルスタインの牛の群れを対象に、牛たちの声によるコミュニケーションを調査しました。結果として、牛たちは個々のユニークな声の特徴を持っており、それを異なる状況下でも使い分けていることが明らかになりました。
例えば、発情期や食事時などのポジティブな状況では喜びや満足を表現するような声を発し、一方で食事を与えられない、仲間から隔離されるなどのネガティブな状況では悲しみや不安を示す声を発することが観察されました。これらの声の特徴を使い分けることによって、牛たちは自分の感情や意図を仲間に伝えていると考えられています。(出典:学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」)

脱走行動を示す牛たち

牛は自分の環境や状況に不安を感じたり、ストレスを受けると脱走を試みることがあります。ドイツのソーセージ会社の畜舎から逃げ出した牛や、他の動物園や屠殺場から脱走した牛たちの報告があります。これらの脱走行動は、牛たちが自らの命を守る意欲や知恵を持っていることを示しています。
特に、ドイツのソーセージ会社の牛(イボンヌさん)は、ソーセージになることを恐れて10ヶ月も逃亡を続け、人間の手による保護が話題となりました。彼女の逃走行動は、牛たちが自らの運命を変える意思を持っている可能性を考えさせるものでした。(出典:YouTube – Clever Girl、Cow escapes sausage maker – pretends to be deer – Odd News | newslite.tv)

牛の友情と思いやり

牛たちは社会的な動物であり、群れを作って生活しています。彼らは同じ群れの仲間に対して思いやりを持ち、お互いを助け合うことがあります。例えば、若いホルスタインの牛が他の仲間の不安を静めるために寄り添ったり、逃げ出した仲間を探して救出したりする姿が報告されています。
また、牛の中でも特に個別の声でコミュニケーションを行うことが観察され、牛たちは異なる状況で声の特徴を使い分けており、それによって自分の感情や意図を仲間に伝えていると考えられています。これらの友情や思いやりの行動は、牛たちが社会性を持った知的な生き物であることを裏付けるものとされています。(出典:アトラス・オブスキュラ、シドニー大学のグリーン氏)

これらの実例から、牛が知能や感情を持ち、社会性を持った動物であることがわかります。彼らは個々の個性を持ち、喜怒哀楽を感じ、仲間との絆を大切にしています。農場や動物園などの環境では、牛たちが自然な行動を発揮できるような配慮が必要であり、彼らの福祉を向上させることが重要です。牛の知能と感情を理解し、共感することで、より良い共生社会を築くために努力することが大切です。

写真素材:著作者:kotkoa/出典:Freepik

2023-8-2 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

Hokkaido Photo



北広島市エスコンフィールドにて

2023-7-31 Category rimu, 風景フォト | Leave a Comment

Hokkaido Photo



北広島市エスコンフィールドにて

2023-7-27 Category 風景フォト | Leave a Comment

「地球温暖化の救世主? 海藻を餌にしてメタン削減を目指す牧畜業界の挑戦」


地球温暖化の問題が深刻化する中、私たちは地球環境を守るために新たなアプローチを模索しています。特に、牛が地球温暖化に与える影響が大きいことが認識され、その対策が急務となっています。牛は胃の中で特殊な微生物の働きによってメタンという温室効果ガスを生成し、これが大気中に放出されることから、農業部門におけるメタンの排出削減は環境保護において重要な課題となっているのです。

そんな中、環境に配慮した牧畜業界の取り組みが注目を集めています。その中でも特に興味深いのは、海藻を牛の餌に混ぜる取り組みです。海藻は数多くの種類がありますが、中でも特に紅藻カゲキノリ(Asparagopsis taxiformis)が研究の焦点となっています。

紅藻カゲキノリには特別な性質があり、牛の消化管内に入ると、そこで反芻動物の胃内細菌のメタン生成を抑える働きが確認されています。具体的には、カゲキノリに含まれる特定の成分がメタン生成に関与する微生物を減少させ、結果として牛が排出するメタン量を削減する効果があるのです。この成果により、牧畜業界における地球温暖化対策の一石を投じる可能性を秘めているのです。

実際に行われた研究では、紅藻カゲキノリを牛の餌に加えることで、メタン排出量を最大で80%も削減できるとの報告があります。この驚異的な削減効果は、環境問題への対策として非常に有望であるとされています。

さらに、海藻を牛の餌に取り入れることで、環境への負荷を軽減するだけでなく、肉の品質や味にも影響を及ぼさないという利点があります。これにより、消費者にとっても環境に配慮した選択肢として受け入れられやすくなるでしょう。

ただし、この取り組みにはまだ課題も残っています。海藻を実際に牛の餌として与える際の実現性や、大規模な生産体制の構築など、さまざまな側面からの検討が必要です。また、牧畜産業が抱える他の環境問題や動物倫理の問題も解決しなければなりません。

海藻を餌にする取り組みは有望なアプローチであり、環境負荷を軽減する上で重要な役割を果たす可能性が高いとされています。ただし、これだけで牧畜産業の問題が完全に解決するわけではなく、引き続き多角的なアプローチが求められることも忘れてはなりません。海藻を餌にした牛肉が将来的に一般的になるかどうかは、さらなる研究と取り組みの成果次第と言えるでしょう。地球温暖化という深刻な課題に向き合う中で、私たちは環境に優しいイノベーションを進めることの重要性を改めて感じるところです。

写真素材:公益法人黒潮生物研究所

2023-7-25 Category 牛コラム | Leave a Comment

Food Photo 7/24


弊社敷地内にて

2023-7-24 Category rimu, 風景フォト | Leave a Comment

Pet Photo 07/21



事務所にて

2023-7-21 Category rimu, 風景フォト | Leave a Comment

誰かに話したくなるお肉の豆知識


明治時代から私たちの生活に徐々に浸透していった食肉文化。現代では日々の食卓ですっかりおなじみとなった肉について、あなたはどれくらい知っていますか?今回は知ると誰かに話したくなる豆知識を牛肉、豚肉、鶏肉に分けて紹介します。

豆知識①
「国産牛」イコール「和牛」は間違い
国産牛と和牛、この2つの言葉の意味には明確な違いがあります。国産牛は、品種や生まれた土地に関係なく、生まれてから出荷までの間、最も長く日本で飼育された牛のことを指します。一方の和牛は、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種と、これら4品種の間での交雑により生まれた牛のことを指します。そして、日本で出回っている和牛の約98パーセントは黒毛和種です。但馬牛、神戸ビーフ、特選松阪牛、米沢牛などの有名ブランド牛もこの黒毛和種という品種なのです。

豆知識②
「こま切れ」と「切り落とし」の違い
さまざまな料理に使えて便利な「こま切れ」と「切り落とし」ですが、その違いはご存じでしょうか?一般的に「こま切れ」とは、肉を整形する際に出るさまざまな部位の切れ端を集めた商品を指します。そのため、厚さや大きさもバラバラにカットされており、主に焼きそばや野菜炒めなどの具材として使用されます。
一方、「切り落とし」は特定の部位の肉をスライスした際に出る切れ端の商品を指します。厚さは均一ですが、大きさはバラバラにカットされており、主にすき焼きやしゃぶしゃぶなどに使われます。

豆知識③
ステーキの焼き加減の由来は「ゆで卵」
ステーキを注文する際、焼き加減に「レア(rare)」「ミディアム(medium)」「ウェルダン(well-done)」などの呼び方があります。その中の、レアとウェルダンという言葉は、卵のゆで加減を表現した言葉に由来するそうです。レアという言葉は、半熟卵を意味する英語の古語から生まれました。ウェルダンは、硬ゆで卵を指す「well(正しく)done(調理された)」が由来だとか。卵と同じく、肉も加熱時間が長くなるほど、固くなります。それでは、厚さ2センチメートルのヒレ肉での焼き加減を紹介します。

レア
(英)rare
内部温度55度から65度以下
片面を強火で30秒焼き、弱火にして1分焼く。返して同様に焼く。表面は焼けているが、中心部は生で、肉汁が多い。

ミディアムレア
(英)medium rare
内部温度約65度
片面を強火で30秒焼き、弱火にしたら1分30秒焼く。返して同様に焼く。レアより火は通っているが、中心部はまだ生の状態。切ると赤い肉汁がうっすらとにじみ出る。

ミディアム
(英)medium
内部温度65度から70度
片面を強火で30秒焼き、弱火にしたら2分焼く。返して同様に焼く。中心部にちょうど良い状態に火が通り、薄いピンク色。肉汁は少ししか出ない。

ウェルダン
(英)well-done
内部温度70度から80度
片面を強火で30秒焼き、弱火にしたら2分30秒ほど焼く。返して同様に焼く。肉汁はほとんど出ない。それよりしっかり焼けば、ベリーウェルダン。


文献引用:農林水産省
写真素材:onikuimage

2023-7-18 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

Food Photo 7/18



札幌市 麵屋 幸咲にて

2023-7-18 Category rimu, 風景フォト | Leave a Comment

~道北護蹄会~第5回通常総会、第17回道北護蹄会フットケアミーティングが開催されました。

2023-5-24 Category サイト更新情報 | コメントは受け付けていません。

~道北護蹄会~第17回フットケアミーティング開催日時が決定致しました。

Hokkaido Photo 3/20



枝幸にて

2023-3-20 Category rimu, 風景フォト | コメントは受け付けていません。

乳牛にも原戸籍と住民票がある??


乳牛の住民票?「個体識別番号」
 先日、筆者の野暮用で、「住民票」と「戸籍謄本」が必要となり、役所へ行きました。かなり以前、あるバラエティトーク番組を見ていた時に、現在でも歌手や相撲評論家としてご活躍されているマルチタレント・デーモン閣下がご出演しており、『吾輩も、世の仮の姿(つまりノーメーク状態、素の姿)になって、役所へ行き、住民票を取りに行くこともあるよ。でないと、生活できないもの!』と発言し、周囲の爆笑を誘っている場面がありました。閣下のような紀元前生まれ?を自称している大人物や、筆者やこの記事をお読み下さっている皆様も、(彼が言うように)、この世の中を生きている以上は、必ず1度は役所へ赴き、費用を支払い、住民票などをもらう行為は不可欠であります。

 乳牛の世界では、住民票や戸籍謄本と言うべき代物があるのか?勿論ございます。我々人間が管理している以上、食物を提供してくれる牛などの家畜動物にも管理システムがございます。に別記事で「乳牛の血統登録」について紹介させて頂きましたが、血統登録事業によって記録される登録証明書は、乳牛の血筋が記されていますので、人間の世界で比喩すると、「原戸籍」と「戸籍謄本」になると思います。
 乳牛の住民票に相当するのが、『個体識別番号』となります。人間と違うのは、人は、其々の姓名で住民登録されていますが、乳牛の場合、文字通り、其々の個体番号によって、牛個体の生年月日、母牛番号・飼養者氏名・所在地などがデータ登録されます。
 「番号で管理する」という意味では、我々住民票を有する日本国民が、2015(平成27)年10月から通知され始めた12桁の数字から成る「個人番号(通称:マイナンバー)制度」と酷似していると言えるかもしれません。因みに乳牛の個体番号は10桁の数字で構成されています。

個体番号を管理する機関と耳標
 日本国内で飼養されている全ての生体牛(乳牛・肉牛)は、国産牛・輸入牛問わず、10桁から成る個体識別番号が振り分けられ、その個体番号によって国内の飼養牛の来歴・経歴は、農林水産省から業務委託されている独立社団法人・家畜改良センター(所在地:福島県)によって管理されます

 先述の如く、国内で、誕生・飼養されている乳用・肉用の牛は、全て10桁の個体識別番号によって、各々の生産者と家畜改良センターに管理されますが、その番号は、牛の両耳に装着する『耳標(じひょう・別名:耳タグ)』に記入されており、この標識を生産者が、分娩や購入などで入手した新規牛個体の耳に取り付けます。
 生産者が手元で、飼養している牛に耳標を装着する事は、家畜改良センターより義務付けられていますが、生産者自身も、様々な管理面で、外見では判別が困難な牛たちを、両耳に付いている其々の個体番号(耳標)を一目で識別できる利点を持っています。
生産者は、入手した新規牛個体に「耳標」を取り付ける義務を果たすと共に、更に家畜改良センターには『届出』もしなくてはなりません。即ち、分娩で仔牛が誕生したなら『出生報告』、他所から牛個体の購入や導入した場合は『転入報告(逆の場合は転出)』、飼養していた牛が運悪く死亡した場合は『死亡報告』、といった上記の発生状況に応じて報告をする事も義務付けられています。
 我々も役所に子供が誕生した場合は「出生届」、引っ越しした場合は「転出入」など、様々な届出を役所で行いますが、牛の場合も同様で、牛の家畜役所の責務は家畜改良センターが担っています。

 因みに、生産者が万一、自分が飼養している牛の耳標装着や「出生などの届出」の義務を怠った場合は、日頃の管理にも大きな支障を来し、未届出の牛が産出した牛乳や肉の出荷販売は許されません。また耳標は、牛の両耳に装着されるのが義務付けされていますので、未装着や片耳のみ装着状態では、他所への運搬(出荷)も禁止されています。

引用文献:酪農と歴史のお話し

2023-3-6 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

乳牛の生活とその社会


乳牛社会のリーダー乳牛
 乳牛は舎内で拘留して飼育されている「つなぎ飼い方式」しても「フリーストール形式(搾乳と飼料給餌時以外は、放牧場や舎内で放し飼いされいる方式)」でも、知り合いの乳牛達が集まって団体を構成しています。この様に複数の乳牛が集まれば『乳牛社会』を構成し、その中では、乳牛社会を束ねるリーダー乳牛が必ず登場し、他の乳牛達の引率などを行います。中には世話好きなリーダーが存在します。
 牛群(乳牛団体)が放牧地へ移動する際・新しい放牧地周辺を一周する時、そして長距離を移動する場合はリーダー乳牛が先導を行って、これに後続する順番も殆ど決まっています。特に、集団内で先頭牛と末尾牛では乱れる事は(事故などが無い限り)少ないです。この関係を『先導・後続関係』と言われています。
 その先導役選出方法ですが、殆ど同様な「先導・後続関係」社会を持つ人間界では、話し合い(査定)・選出・選挙によって決定されますが、乳牛世界の場合はどうでしょうか?白状すれば、牛でもない我々人間の傍目から見れば完全に判りかねますが、リーダー牛は経験豊富でメンバーの信頼が厚い牛が選定されているようです。やはりどの社会でも、優秀で周囲の人望が厚い者が選ばれるのが理のようです(勿論中には、例外もありますが)。
 また先のフリーストール飼育方式の場合、搾乳時に入る作業場・搾乳室への乳牛の入場順番もほぼ一定しています。親しい乳牛同士は続いて入場するし、逆に不仲の乳牛同士がいたりすると、互いに入場を邪魔したりするケースもあります。
 因みに、先述の乳牛社会内にある『先導・後続関係』というのは、飽くまでもメンバー内で経験豊富で信頼感が厚い、いわば『人望型』の乳牛がリーダーとなります。決して闘争が強く、無理矢理に他の乳牛を従わせる様な暴力的乳牛が、乳牛社会のリーダーになる絶対条件ではないようです。この闘争関係の強弱は、また違う関係となります。
 面白いものです。人間社会でも古今東西、国々を制覇する程の絶対権力を持った、有能であり、覇道的強勢力(人物)が、絶対的リーダーになった例は少なく、逆に周囲の信頼感が厚い王道的弱勢力の方が最終的に社会を統率するリーダーとなる方が多く見受けられます。周囲に暴力的天才リーダー織田信長の末路と周囲に温和的中庸リーダー徳川家康の終着点が最も良い例ではないでしょうか。
 本題から少し逸れてしまいましたが、乳牛世界にも類以した現象があるというのが、何とも感嘆させられる思いであります。

乳牛間の闘争行動と親和行動
 人間社会にも強い人間・弱い人間がおり、社会規模や年齢を問わず、少なからぬ闘争・喧嘩が日常的に起こっている事があると思いますが、それは乳牛社会でも同様です。牛群には闘争の強い乳牛と弱い乳牛がいまして、順位が決まっています。これを『優劣順位』と言います。
 『優劣順位』は、乳牛が若齢期の頃にはありませんが、互いに年齢を重ね、放牧場などで闘争を重ねる事によって乳牛間の優劣が徐関係々が強固に形成されていきます。乳牛の頭数が少ない小社会だと、強い乳牛~弱い乳牛順に並べてゆくと直線的になりますが、逆に頭数多い大社会だと「A乳牛はB乳牛・C乳牛に強いが、D乳牛には弱い。しかしそのDはB・Cの両乳牛に対しては弱い」という複雑な闘争関係が成立するという「群雄割拠状態」になるケースが多くあります。
 闘争行動には、頭突き・押し退けなど直接攻撃するものと、威嚇(咆哮など)や回避など間接攻撃があります。異なる牛群を混成する時・新しい乳牛を牛群の中に入れると、群内で頭突きなどの直接攻撃が多くありますが、数日後には威嚇などの間接攻撃に変わっていきます。
 直接・間接関わらず、牛群内で闘争行動が発生しやすい原因として、「飼槽規模が頭数に比べると小さい」「牛床の数が不足する」の2点が主に列挙されています。

 闘争行動の反対が『親和行動』になりますが、よく知られている親和行動には舐め行為(グルーミング)があります。この行為を行う乳牛・行わない乳牛は区々ですが、特に優劣順位が近い乳牛間で、互いに舐め合い親睦を深める事が多いようです。順位が近い者同士で親睦を深め、牛群内で余計な摩擦を起こさない様にしているようです。

引用文献:酪農と歴史のお話し
写真素材:LooseDrawing

2023-2-6 Category コラム, 牛コラム | Leave a Comment

Hokkaido Photo 1/25



豊富町にて

2023-1-25 Category rimu, 風景フォト | Leave a Comment

2024 菅原道北削蹄所|北北海道を幅広くエリアカバーする牛削蹄所です . | Blue Weed by Blog Oh! Blog