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とある獣医師独り言29

7月ですね。今年は雨ばっかりで寒いですね。先日,護蹄研究会で東京に行ってきたのですが、東京は蒸し暑く30℃を超えていましたが、家に帰ってきたらなんと3℃でした。なんぼ涼しいのが売りの北海道とは言え、寒すぎです。このまま夏にならないんじゃないかとちょっと不安になってしまいます。早く暖かくなってほしいですね。
今月からは5月に開催されたフットケアミーティングの中でお話しした、ルーメンアシドーシス(牛の消化について考える)を最近の知見や新しい写真などを加えて紹介していこうと思います。


図 1牛の胃の外観

まずは牛の消化器官についてお話しします。図1は牛の胃を右側から見た図です。


図 2第二胃の内側

皆さんももうご存じだと思いますが、牛には一胃から四胃までの四つの胃があります。右側に頭左側にお尻が来る形になります。消化酵素や胃酸が出て、我々人間の胃に相当するのが四胃です。二胃と三胃、特に三胃は未だに役割が解明されていない部分も有りますが、二胃にはハチの巣状の襞(ひだ)(図2)


図 3第三胃の内側

三胃には何枚にも重なった襞(ひだ)(図3)があるため、すりつぶすのが主な役割と考えられています。その形状から焼き肉では二胃はハチノス、三胃はセンマイ呼ばれています。(ちなみに一胃はミノ、四胃はギアラです。)
一胃はルーメンとも呼ばれ、牛の胃の中では一番体積が大きく、大きな牛では200リットルにもなると言われています。一般家庭のお風呂と同じ大きさだと考えると以下に大きいかが分かるかと思います。一胃の中にはルーメンマットと言われる線維質の塊がありその下にルーメン液(ジュース)があります。ルーメン液にルーメンマットが浮いているイメージです。このルーメンマットが非常に大事で、牛の反芻を起こさせるのに重要な物理刺激を与えるとともに、ルーメン微生物の隠れ家ともなり牛の体の特性上なくてはならないものになっています。
また、ルーメン液1ccにはおよそ50種類一億個の細菌と、200種類200万匹も原虫が住んでいます。原虫とはアメーバーやゾウリムシの類の事で、細菌よりは大きく、一般に良く動き回る事が特徴です。
ルーメンマットやこれら細菌や原虫が牛の消化にどのように係わっていくのかを次回以降にお話ししていこうと思います。今月もお付き合いありがとうございました。

図1は広島大学ホームページより 図2,3は肉のいろはのホームページより引用させていただきました。

byとある獣医師

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