昨年10月、ニュージーランド(NZ)のアーダーン首相(当時)は、温室効果ガス(GHG)であるメタンの排出量を削減するための政策の一環として、2025年までに家畜が出すGHGの量に応じて農家に課税する方針を発表した。この方針について、アーダーン首相は、NZの生産者が農業排出ガスの削減をこれまでにない世界初の仕組みで挑戦することを意味し、さらに、NZの最大の輸出品(年間464億ドル相当)に世界的な競争力を与えるとともに、2030年のメタンガス削減目標の達成に向けた取り組みを軌道に乗せ、排出量の削減の取り組みにおいてNZの生産者は世界で一番になるだけでなく、世界のために最善を尽くすことが出来、NZ経済にとっても良いものであると述べた。このニュースは生産者からの批判の声とともに世界中で大きく報道されたが、方針の発表後6週間に渡って行われた国民からの意見聴取を踏まえて、方針の修正が12月に発表されると、関係者からは概ね好感を持って受け止められた。今年1月、アーダーン首相の突然の辞意によって新たに首相となったヒプキンス氏は、インフレ対策などを最優先課題として「政策の優先順位を見直す」としている。ただ政府は、農業排出ガスへの課金導入について、実施方法についてはまだ決定していないが、2025年に予定通り実施する方向であることを報道が伝えている。
引用記事:Jミルク