北北海道を牛柄トラックで駆ける牛削蹄所。菅原道北削蹄所のオフィシャルサイトです。

牛関連の慣用句・ことわざ

人類が地上に誕生し、彼らが狩猟生活を経て、牛や馬・羊などの動物を家畜化に成功して以来、牛や馬は人類と共に生きてきました。更に時代が下り、人々は一つの土地に定住する事を覚え、互いに集って村や街を造り、更には社会・国・文化、そして文明を創り上げてきました。この様に、どんなに人類の文明が発達しても牛や馬などの家畜動物は、いつでも食料・衣料・労力といった物量面でも、我々人間が生きてゆくために大きな力となってくれていますが、それだけではなく、我々が生きる上で、時には素敵な指針、あるいは心の支えとなる慣用句や諺(ことわざ)といった『精神の拠り所』面でも、牛と馬は何らかの形で登場し、我々の大きな力になってくれています。この心の拠り所もまた人が生きてゆく上では、とても大切な物であり、古今東西、家畜動物は物心両面で我々を支えてくれているのであります。

今記事では、我々に『心の拠り所』の1つとして、古代より様々な力を与えてくれている『慣用句・諺』、しかも『牛・馬から誕生した慣用句・諺』の一部を紹介させて頂きたいと思います。ある種の雑学や語源録の様な記事になる公算も大きいので、ご興味のある方は是非、お読み下さいませ。先ずは「牛から生まれた慣用句・諺」から紹介させて頂きます。

①牛に引かれて善光寺参り(慣用句)
自分の意思や考えからではなく他人の誘いで、思いがけない良い結果になったり、良き方面に導かれたりする意味。

日本では、牛に纏わるこの慣用句は一番知られているのではないでしょうか。解説させて頂くと、この慣用句の出典は不明ですが、江戸時代中期の国内旅行ブーム期の人気スポットの1つであった善光寺参りが有名になっていた折に、広まった慣用句だと言われています。
 
信濃国(現・長野県)にある善光寺近くの小県(真田氏の本拠地で有名)という土地に住みながら、全く信仰心が無い老婆が、ある日家の外に干していた布を、どこからか現れた牛1頭(実は観音菩薩様の化身、現在の布引観音)が、その角に布を引掛けて走り去ってしまいました。これを見て怒った老婆は、牛を必死に追っかけて行きますが、牛の逃げ足がとても速く、捕まえる事はできません。そうする内に、遂には善光寺の金堂前まで来てしまい、その直後、仏様の教えを受け、これを契機に老婆は深い菩提の心(信仰心)を持つようになったというのが、この慣用句の意味になっています。因みに、牛が持ち逃げした布は、老婆の近くの家の観音堂で後日見つかったそうです。これが現在、長野県小諸市にある布引観音になります。

生きていると親しい友人や目上の方々から、自分の興味の無いスポーツや美術鑑賞など文化行事の付き合いに誘われる事が多くあると思いますが、それでも自ら進んで、誘いを受け行ってみては如何でしょうか。それで新たな趣味や考え方に出会えるかもしれません。それは取りも直さず、自分の器の幅が少し大きくなった。という事を示している結果ですから。

②牛も千里、馬も千里(諺)
早くても遅くても、また上手でも下手でも、行き着く結果は同じだから慌てるな。という意味になります。

類以の四字熟語では『大器晩成』に当たりますかね。とにかくにも、筆者の平凡人には何とも励みになる諺であります!

③ 角を矯(た)めて牛を殺す(諺)
小さな欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまう意味になります。

牛の曲がっている角をまっすぐに直そうとして、却って牛を死なせてしまい、肝心な根本を駄目にしてしまう事から上記の意味になっています。欠点は少ない事に越した事はないかもしれませんが、考えてみればその欠点が自分の長所になる場合があるかもしれません。だからと言って欠点を過度に尊重したり、増長するのは、やはり良くありません。自分の欠点を程良く愛でる事が出来る余裕の心を持ちたいものであります。また他人の小さな欠点に対しても一々目くじらを立てて論わず、笑って見過ごしてあげたり、優しく諭せる様な広い心を持ってゆきたいものであります。

④牛耳る(慣用句)
団体や組織を支配し、思いのままに動かす意味になります。
 
この慣用句も皆様、よくニュースなどでお聞きになられたり、小説などで読んだ事があると思います。本来は「牛耳を執る」と言われていたのが、短縮され『牛耳る』となりました。出典は、中国の歴史書「春秋左氏伝」内の魯国王の哀公17年の故事に因んでいます。即ちその故事とは中国春秋戦国時代に、諸侯が同盟を結ぶ際に、盟主が牛の耳を裂いて、皆がその血をすすり合って、組織に忠誠を誓い合いましたが、その儀式を執り行う盟主を『牛耳を執る』というようになり、それが転じて、組織を思いのままに動かす意味に転じました。(参照:語源由来辞典)
因みに何故牛の耳なのかと言うと、古代中国では、牛は神事や儀式に奉げる大事な生贄であったので、同盟の儀式でも牛が利用されていたと考えられます。

⑤鶏口となるも牛後となるなかれ(諺)
大きな組織の末端で働くよりは、小さな組織の長として働いた方が良い。という意味でつかわれます。類義の諺で「鯛の尾よりも鰯の頭」があります。

これは牛が悪い例に使われている諺ですが、この諺内では牛も立派なキャストですので、紹介させて頂きました。出典は、中国史上最高の歴史書・史記の蘇秦伝からになります。蘇秦という人物は現代風に例えるならば、名外交官であり、後に六国の宰相になった傑物ですが、その蘇秦がある国王に外交方針を助言した際に、「鶏口となるも・・・」という諺を使っています

確かに大企業に働いているのも本当に良い事であるとも思いますが、その分、入社や勤務(競争)や(社員が多いが故に)人間関係も大変だと思います。零細企業で働く方で、将来が不安を抱いている方は、この諺を思い浮かべて日々のお勤めをされては如何でしょうか。将来、何か展望が開けてくるかもしれません。

以上、今回は牛から誕生した慣用句・諺の一部を紹介させて頂きました。この拙稿をお読みになり、古くから伝っている人類の宝庫の1つ「慣用句や故事成語(諺)」に少しでもご興味をお持ち頂ければ嬉しく思います。

引用文献:酪農と歴史のお話し

2021-5-3 Category コラム, 牛コラム | コメントは受け付けていません。

牛にも鍼灸治療がある!

鍼灸治療とは?

「漢方医学」と聞いて、(漢方医学の素人の)筆者が真っ先に思い浮かべるのが、「漢方薬」ですが、その次を挙げるのなら、今記事の表題である「鍼灸(しんきゅう)治療」でしょうか。鍼灸治療は、古代中国(紀元前春秋期)には既に誕生しており、以来、中国や日本を含めるアジア諸国内では、生薬を用いる「生薬医療」と双璧を成す、漢方医学となってきました。

 この読み方が難しい療法を見る度に、筆者は、池波正太郎氏の代表作の1つである「仕掛人・藤枝梅安」を思い浮かべてしまうのですが、本作の主人公である梅安は、裏社会では凄腕の仕掛人(暗殺者)として暗躍していますが、彼の本業(表社会の顔)は、優れた鍼灸(漢方)医であり、病気で苦しむ人々を鍼治療で救っている描写がよく出てきます。



 特殊の鍼を使って、人体に多数存在する経穴(ツボ)に刺し、刺激する事によって体調を整え、またある時は、経穴上にある皮膚に灸を据える事によって、体内の血行を良くなり、人間が本来持っている治癒力を高めるのが「鍼灸治療」の本質です。

 先述の如く、紀元前の古代中国で誕生したこの治療法は、日本でも室町期から発展し始め、現在でも様々な紆余曲折を経て、「鍼灸業」として小規模ながら生き続けており、治療の一助になっています。そして、この治療法は、牛の飼育世界でも無縁では無く、昔より生薬治療と並んで、牛馬の治療に役立ってきており、現在の乳牛治療の一環として、鍼灸治療(特に灸)を取り入れている獣医師もいます。(筆者の旧職場担当の獣医さんが灸治療の推薦者でした)

 これよりは、牛の古典書「牛書」に載っている、牛に対しての鍼灸治療を探ってゆきたいと思います。

牛の鍼灸治療

現在でも犬などのペット動物を中心とする獣医業界でも鍼灸治療(動物鍼灸学)を採用している話題を、時折見聞きしますが、古文書『牛書』に掲載されている牛の病気や怪我に対する治療法にも、生薬を投与する漢方薬療法が主だっていますが、中には鍼と灸を利用した物理的療法も紹介されています。

 第2番『熱越(高熱)』の冒頭には、『悪い血が内臓に入ると牛は死亡するので、針を用いてゆっくり瀉血(しゃけつ)する。(原文:ハジメニ針シテ血少ツ々スク。ワノ血ザウエヲチコロス)』と、生薬投与する前に、先ず鍼(針)治療を行うことを教えているのを皮切りに、第11番の『早越(腰や脛が萎える神経系疾患)』・第15番の『肝の腫れ(内臓付近の腫れ)』に対しても、鍼での瀉血治療を最初に薦めています。次の16番にも『風ばれ・火ばれ(怪我による共に膿腫れ)』様な外傷に対しても、鍼で膿水を抜き取る処方も記されています。また病気を診断する方法として、第7番『立の診断』内で、時々しゃっくりをする牛の鼻の下を鍼で軽く穿刺して、牛の発熱具合を診るという、何とも面妖な紹介もされています。
 以上は、牛書内に掲載されている鍼を使っての牛の疾患の治療(診断)でした。当時は、牛に対しても鍼治療が頻繁に行われていた事が、本書から読み取れます。刺す箇所(ツボ)さえ心得ていれば、牛でも鍼1本でお手軽に治療できるという事でしょうが、その反面、鍼を打つ箇所や深浅を間違うと、治療ミスで、牛に慢性的後遺症など大変事なるというリスクもあります。その事を、第14番『針違い(針血開)』にも十二分に注意せよと強調されています(原文:針立チガイ、ノチハナガクワズラフモノナリ)。



 鍼治療は、確かに効果的な医療の1つだと思いますが、やはり動物(人間)に鍼を刺すという危険な治療法ですので、牛書が言う通り、中途半端な知識や技術の持ち主が実施したら健康に関わる大問題になります。そこで難しい知識を要する鍼治療に対して、現在の乳牛の治療に行われているのが、『灸治療』です。筆者も乳牛に対して鍼治療は行った事はありませんが、灸(温灸)治療は担当獣医師から教示してもらい、実施したことが多々あります。灸を据える箇所を知り、乾燥した艾(もぐさ)と火種があれば、治療可能ですので、手頃と言えば手頃な方法です。

 『牛書』にも勿論、灸治療の項がありまして、第17番『胃帰り』という胃病(食欲不振・反芻障害)の際には、『百会(ひゃくえ、別名:百経)に灸を据え治療をしたら、牛の食欲は戻る』と書いてあります。人間の場合、百会という経穴(ツボ)は脳天にありますが、牛と馬の場合は、脊梁(背骨)の尻から少し前の高い所に位置しており、ここを灸で温めると、体内の血行が良くなり、内臓の働きも活性化されるという事です。



 先述のように、筆者も第17番「胃帰り」の様な胃病(食欲不振・ケトン病)や産後の体調不良になった乳牛に対して、灸治療を行った事がありますが、やはり百会には必ずお灸を据えていましたが、他の経穴である、脊梁の中心・両尻の窪み部分・3番目と4番目の肋骨の間にも、病状に応じて灸を据えていました。

 筆者が乳牛に施した灸治療は、艾を直接、牛の経穴上に置くという、いわゆる『透熱灸』ではなく、牛の皮膚と艾の間に、味噌を分厚く塗り、灸を行うという『隔物灸(温灸の一種)』のみでした。そうする事によって、牛に熱過ぎる不快感や火傷を与えることなく、灸治療を行えます。(ただ終盤になると、さすがに熱く感じるようで、尻尾を振り廻して、百会や尻のお灸を落そうとしたりしますが)
 
 上記の様な体調不良の乳牛に対しても、灸治療を平均1日2回を数日行うと、やはり食欲が戻ってまいります。決して気休めではないみたいです。

引用文献:酪農と歴史のお話し

2021-4-23 Category コラム, 牛コラム | コメントは受け付けていません。

乳からチーズへ ~作る技術と美味しさの秘密~

■はじめに
チーズは人類史上最も古い加工食品の一つと言われています。では、乳からチーズへの変化や熟成による味の変化はどのようにして起きるのでしょうか。これらの科学的なメカニズムが分かってきたのは、実はそれほど昔のことではありません。本稿ではチーズを作る技術、そしてチーズの美味しさについて解説しながら、チーズの奥深さについて知ってもらおうと思います。

■1.生活の中のチーズを知ろう
チーズは「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に大別されます。ナチュラルチーズは乳から作られ、プロセスチーズはナチュラルチーズから作られます。2019年度における我が国のチーズ総消費量は約36万t、ナチュラルチーズとプロセスチーズの割合は大体6:4です。一般的にチーズを食べる歴史がまだ浅い地域は、プロセスチーズの割合が高い傾向にあります。フランスやドイツなど多くのヨーロッパ諸国ではプロセスチーズの割合は1割以下であり、消費されているチーズの主体はナチュラルチーズです。

我が国ではこの20年間で飲用乳の一人あたりの消費量は0.8倍程度まで減少していますが、発酵乳とチーズの消費量はいずれも約1.5倍に増加しています(表1)。ただし、国内の発酵乳生産量は増加していますが、チーズ消費量の増加は主に輸入チーズ量の増加によるもので、国産のナチュラルチーズ生産量はこの10年ほど4.5~5万t/年で大きな変動はありません。ちなみに、生乳処理量から計算すると我が国で作られるナチュラルチーズの98%以上は北海道で作られています。

■2.液体を固体にする技術とは
プロセスチーズは固体のナチュラルチーズから作るので、それらを一度溶解させる操作が重要となります。一方、乳から作るナチュラルチーズの基本操作は乳を固める技術であり、それには大きく分けて「酸で凝固させる方法」と「酵素で凝固させる方法」があります。

酸で固める乳製品にはチーズとヨーグルトがあります。一般的には乳酸菌を加えて生育させ、生じる乳酸によって酸性化が進み、カゼインミセル(乳の主要タンパク質であるカゼインは集合体“ミセル”を形成して乳中に存在している)の等電点凝集を起こさせるのが酸凝固の原理です(図1)。ヨーグルトは酸で凝固したものをそのまま利用して食品にしますが、チーズはさらに、固体と液体を分離する操作があります。この固液分離がヨーグルトとチーズの大きな違いとなります。一般的に酸凝固チーズは軟らかく、熟成をさせないフレッシュタイプが主体で、クリームチーズやカッテージチーズがその代表となります。

一方、凝乳酵素と呼ばれる酵素の作用で乳を固める方法があります。世界で作られるナチュラルチーズの70~80%はこの酵素凝固タイプと言われており、熟成を必要とするチーズはこの方法で製造されます。これまでに最もよく用いられた凝乳酵素は生後数カ月までの子牛の第四胃の抽出物である、通称“レンネット”と呼ばれるものです。この抽出物中に含まれるタンパク質分解酵素であるキモシンが、カゼインミセルを構成しているκ-カゼインを部分分解することで、カゼインミセルが凝集します。この酵素によるカゼインミセルの凝集体はミセル同士がカルシウムを介した結合を持つことから、酸凝集物よりもより強固につながっており、出来上がったチーズも酸凝固タイプより硬いものが多くなります(図1)。

■3.チーズの風味はどのように決まるのか
チーズの特徴は原料乳と製造方法で決まります。原料乳の特徴とは動物種(ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウなど)や系統(ウシだとホルスタイン、ブラウンスイス、ジャージーなど)の違いと、それらの乳成分の違いになります。製造方法には成分濃度の調整や殺菌の有無、凝乳方法や用いる微生物の違い、そして凝乳物(カード)の処理と熟成に関する条件などが含まれます。この組み合わせを考えるとナチュラルチーズが1,000種類以上にもおよぶと言われることも理解できるかと思います。

チーズの特徴の中でも風味の形成はさまざまな反応の積み重ねによって成り立っています。その中でも風味形成の主役を担っているのが「微生物」と「酵素」です。まず、微生物から見ていきましょう。発酵製品の製造のために使われる微生物を“スターター”と呼ぶことがあります。“発酵を開始させるもの”ということで、チーズ製造においてもなくてはならないもので、その種類としてはほとんどすべてのチーズに使われると言ってもよい乳酸菌と、一部のチーズに使われる乳酸菌以外の細菌類、そしてカビと酵母があります。

乳酸菌は文字通り乳酸を産生する細菌です。フレッシュチーズの酸味と匂いは乳酸菌が産生する乳酸と揮発性の芳香成分によるものです。原料乳自体の特徴を別にすると、酸凝固タイプのフレッシュチーズの風味は使用する乳酸菌で決まると言ってよいでしょう。

一口に乳酸菌と言っても分類上(名称が異なるもの)は数百種類存在していますが、実際に乳製品に使われているのはビフィズス菌を含めても20種類程度でそれほど多くはありません。しかしながら、熟成を伴うチーズの風味形成は非常に複雑です。その理由の一つは、チーズ製造においては複数の乳酸菌を使用することが挙げられます。また、名称が異なる乳酸菌はもとより、同じ名称の乳酸菌でも風味成分の生成能力が異なるものが多数存在しています。さらに、原料乳自体にも乳酸菌が含まれており、殺菌後もその一部は残存していることが分かっています。つまり、性質が分かっているスターター乳酸菌以外に、製造者も把握できていない乳酸菌(“非スターター性乳酸菌”と呼ばれている)がチーズの中に存在していて、両者ともども風味形成に関係している可能性が示唆されています。これに、カビや酵母を使えば風味形成過程はより複雑になりますし、カビや酵母も製造者が使用するものだけでなく、製造施設内に棲すみ付いているものがチーズ表面で生育することもあります。そうなると微生物による風味形成過程はますます複雑になるわけです。

熟成に関与する酵素にも、製造者が加える凝乳酵素以外に原料乳そのものに含まれる酵素と微生物が持っている酵素があります。酵素は加熱殺菌によってその機能は消失しますが、その程度は酵素により異なり熟成中のチーズでも働く場合があります。微生物による代謝反応は酵素反応の結果とも言えるのですが、酵素の種類によっては微生物が死滅した後に細胞内からチーズ中にしみ出して働く場合があります。タンパク質の分解を例にしてみます。チーズ中のタンパク質は分解されてペプチドとなり、さらに構成単位であるアミノ酸まで変化します。アミノ酸の一つであるグルタミン酸はうま味成分として知られており、この分解過程はチーズのうま味形成において非常に重要な変化です。一般的にチーズの乳酸菌数は熟成中徐々に減少しますが、うま味形成が進むのは死滅した微生物からしみ出た酵素が働いているからです。

チーズは作り手が制御できる工程と微生物任せで制御が難しい工程の組み合わせで成り立っています。世界各地で同じ製法(同じ名称)のチーズが作られていますが、製造施設が異なれば風味が異なるのは当たり前ですし、同じ施設で同じように作っても微妙に風味が異なることはよくあることです。図2はチーズの風味形成過程で起きる成分変化を簡単にまとめたものです。芳香成分の中には微生物や酵素反応で生じた一次生成物同士が反応して新たな物質に変化する場合もあり、結果的に様々な物質が生じることになります。

原料の生乳自体、生物が生産するものですし、そこにさまざまな代謝能力を有する微生物と酵素が働いて風味が形成されるわけです。まさに自然の恵に人間の知恵と技術が融合してできる多様性こそがチーズの魅力と言えるのではないでしょうか。


引用文献:酪農ジャーナル電子版酪農PLUS

2021-4-9 Category コラム | コメントは受け付けていません。

Hokkaido Photo 3/2



昨年片山削蹄所との一枚

2021-3-2 Category 風景フォト | コメントは受け付けていません。

免疫機能を活性化する

牛乳・乳製品には免疫に関与する栄養素が豊富
2020年3月、イギリス栄養士会は、食事によって免疫システムをブースト(上乗せ)することはできないとする声明を発表し、その上で免疫能の正常な機能に関与する栄養素はたくさんあり、免疫機能をサポートするバランスよい食事の維持を推奨しました。日本栄養士会も同様に、いろいろな食品から免疫に関与するすべての成分を摂取するのが、科学的根拠に基づく方法とする声明を発表しました。免疫細胞の新陳代謝に必要なたんぱく質をはじめ、牛乳・乳製品はそれらの栄養素を網羅的に含み、免疫調節活性のチカラになります。

免疫の司令塔の腸内環境を整える乳酸菌
乳酸菌を含むヨーグルトは、免疫細胞の6~7割が密集する腸内環境を整えることで知られています。乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスによる、免疫活性や感染症予防のエビデンス(科学的根拠)はまだ十分に蓄積されていませんが、日本の感染症診療ガイドラインでプロバイオティクスを利用した製剤の有用性について言及されるなど、医学的にも少しずつ評価が高まっています。

ラクトフェリンに炎症制御機能
ヒトの母乳に多く含まれ、牛乳のホエーたんぱく質にも含まれるラクトフェリン。腸内細菌学会ホームページでは、その生理機能としてビフィズス菌増殖作用、抗菌作用、免疫調節作用などが紹介されています。最近の日本の研究で、ラクトフェリンが感染症などに伴う炎症を制御する仕組みも解明されました。

引用文献:ミルクランド北海道

2021-3-2 Category コラム, 牛コラム | コメントは受け付けていません。

ホルスタイン共進会とは?

1.共進会とは

「共進会」とは物の優劣を競う会のことを指します。そのためホルスタイン共進会とはホルスタイン種の優劣を競う大会ということになります。ホルスタイン共進会は、乳用牛の資質の向上と改良増殖を行い、酪農の安定的発展を目的に実施されているものです。つまり泌乳量が多く、長命連産が可能な牛を選抜し、その血統を受け継ぐ牛を生産することで酪農経営の安定に寄与することを目的として実施されています。

なお、共進会で優劣をつける際には、一般社団法人日本ホルスタイン登録協会が定めた「ホルスタイン種雌牛審査標準」という審査基準に基づき牛の容姿や骨格、乳房のバランスなど様々な項目に対して審査が行われます。

また、審査は月齢別、経産・未経産の別に分けて実施され、審査員が一人で行います。



2.共進会用語の解説

共進会では専門的な用語が用いられますので、以下にその解説を行います。

グランドチャンピオン…各部別のチャンピオンの中で最も優れた牛のこと(総合優勝)

リザーブグランドチャンピオン…各部別のチャンピオンの中で2番目に優れた牛のこと(総合準優勝)

チャンピオン…各部別に1位の牛のこと

リザーブ…各部別に2位の牛のこと

ベストアダー…最も優れた乳器の牛に送られる賞

ベストプロダクション…SCM換算乳量でトップのもの

ベストエーリア…地区別対抗戦で最も優れた地区に送られる賞

プレミアエキジビター…共進会で最も良い成績を収めた出品者に送られる賞

ベストリードマン…牛を引くのが最も上手な若者に送られる賞

ジュニア…未経産牛のこと

インターミディエイト…2歳、3歳の経産牛のこと

シニア…4歳以上の経産牛のこと

Jサイア…国内後代検定のこと

引用文献:酪農ジャーナル電子版酪農PLUS

by Rimu

2021-2-18 Category コラム, 牛コラム | コメントは受け付けていません。

Saff Photo 2/18



6号車スタッフ

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乳牛の基本情報 ~歯~

牛は産まれてから2週間ほどで乳歯が生え揃い、生後5~6カ月ごろから4歳ごろまで段階的に永久歯に生え変わります。

歯は切歯、犬歯、前臼歯および後臼歯の4種類に分けられ、乳歯から生え変わった永久歯は総数が32本になります。乳歯の時には後臼歯がなく、総数は20本です(下記の牛の歯式を参照してください)。永久歯の本数は人と同じですが、歯列は大きく異なります。



牛の歯式*

切歯 犬歯 前臼歯 後臼歯
上顎 0 0 3 3
下顎 4 0 3 3


人の歯式*

切歯 犬歯 小臼歯 大臼歯
上顎 2 1 2 3
下顎 2 1 2 3


*歯は左右対称に生えるので、歯式は片側の歯の本数を示します。



反芻動物の上顎には切歯と犬歯がなく、その部分には歯肉が硬くなった歯床板があります。下顎の切歯と上顎の歯床板はそれぞれ包丁とまな板の役割をしており、舌で巻き取った草を歯床板に当てて切歯で切り、口腔内に取り込みます。実際には、ヤギやヒツジはこのように採食をしますが、牛の場合は舌を使って引きちぎってしまうことがほとんどです。そのため、ヤギやヒツジが食べた後の草は揃った高さになりますが、牛が食べた後の草は高さが不揃いでギザギザになります。

下顎には本来犬歯が1本ありますが、肉食動物や雑食動物の様に鋭く尖った形ではなく、切歯に隣接して並び、切歯に近い形をしています。また、肉を切り裂いたりする犬歯本来の役割を持っていないことから、切歯の中の1本として扱われるのが一般的です。

臼歯は上顎と下顎で噛み合う形状になっており、繊維質の多い牧草など硬い飼料をすりつぶすのに適しています。

犬歯と第1臼歯の間には歯がない部分があり、槽間縁そうかんえんといいます。そこから口腔の検査を行うことができます。


引用文献、写真引用: 酪農ジャーナル電子版酪農PLUS

2021-2-7 Category コラム, 牛コラム | コメントは受け付けていません。

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4号車スタッフ

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1号車5号車スタッフ

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日本の黒毛和種の歴史は一頭の但馬牛から始まった


全国の黒毛和種は、一頭の「但馬牛」から始まっているということをご存知でしたか?
平成24年「全国和牛登録協会」の調査で、日本の黒毛和種の99.9%が香美町小代(おじろ)区で産まれた「田尻号(たじりごう)」という一頭の牛から受け継がれていったものであると証明されました。
そもそも、但馬牛(たじまぎゅう)って知ってますか?
但馬牛と聞くと、「松坂牛、神戸牛、近江牛、佐賀牛、飛騨牛とかの素牛だよね?」とか「詳しく知らないけど、日本の和牛の原点だよね?」と答えられる方が多いと思います。
これらの回答も正解なのですが、「但馬牛をもっと詳しく知ってもらいたい!」と思い筆を走らせてみることにします。

但馬牛とは
但馬牛は、兵庫県産の黒毛和種のことで、兵庫県が指定する雄牛(県内に12頭)のみを歴代に亘り交配し誕生した牛で、県内で肥育された食用牛が「但馬牛」と呼ばれるものとなります。
その中から、一定以上の条件をクリア(霜降り度合いや歩留まりなど)した但馬牛のことを「神戸牛」とか「神戸ビーフ」と呼んでいます。つまり、神戸牛は但馬牛の中の一つのブランド(最高級)ということになります。
神戸牛となるには、霜降りという脂分の数値等が基準となっているので、赤身肉の美味しさにも着目されてきた昨今、神戸牛が但馬牛の中の最高牛肉という単純なものではなくなっているのも事実ですが、神戸牛のおかげもあって但馬牛の知名度も上がっています。

和牛の歴史、そして品種改良
ここからは、和牛の歴史を紐解きながら説明していきます。
江戸時代までの日本では、牛は食用としてではなく、農耕用として飼育されていました。それはここ香美町でも同じで、一軒に数頭の牛を飼い、一つの労働力として家族同様に育てられ、共に暮らしてきました。
時が経ち、明治初期、日本は文明開化とともに牛肉を食べる食文化が広まりました。それと同時に小柄な日本の牛を外国の牛のように体格の良い牛にしようと、品種改良(外国種の雄との交配)が盛んに行われていったのです。
ところが、これが大失敗。気性が荒く、働かず、病気も多い、そしてなにより肉質がよくないという残念な結果となってしまい、但馬牛も含む和牛の純粋種が絶滅の危機に直面してしまいました。

田尻号が「和牛の偉大なる父」と言われる所以
終戦後、元の和牛を取り戻そうと全国で本格的な取組みが始まりました。が、時すでに遅し。国内には純血の黒毛和種が残っていなかったのです。
和牛復活を諦めかけていた時、奇跡的に香美町小代区の山深い里(熱田地区)に外国種や他の血統との交配を逃れた純血の但馬牛が4頭残っていることが分かったのです。そこは、標高が700mもある高地で、他の村とも遠く離れていたこともあり、雑種化を逃れることが出来たのです。これが、一度は消えてしまったかに思われた黒毛和種を復活させる大きな要因となりました。まさに「小代の地理的要因が生んだ奇跡」と言えるでしょう。
そして、残った4頭の内の1頭の子孫として生まれたのが「和牛の偉大なる父」と言われる「田尻号(雄牛)」です。田尻号は、肉質のよい強い遺伝子をもった種牛で、当時はまだ凍結精液などなかった自然交配の時代、なんと生涯で約1500頭もの子孫を残しました。この田尻号のDNAが、今の黒毛和種の99.9%のルーツとなっているのです。
「奇跡の4頭」と呼ばれるこの牛たち。そして「田尻号」。この牛たちがいなかったら、現在世界中に広がる「和牛」は存在していなかったでしょう。

引用文献、写真引用: World One

2021-1-28 Category 牛コラム | コメントは受け付けていません。

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3号車スタッフ

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牛乳をよく飲む人には……

牛乳の機能性

最近の研究で分かった!

牛乳をよく飲む人にはサルコペニア認知症が少ない

牛乳を毎日コップ1杯以上飲む人は、まったく飲まない人に比べ、総エネルギー、カルシウム、体重1キロあたりのたんぱく質摂取量が多く、筋肉や骨に必要な栄養素が充足できている傾向が認められました。

筋肉が減弱し、転倒や介護の原因となるサルコペニアの保有率も、牛乳をあまり飲まない人を【1】とした場合、よく飲む人は【0.42】まで低下した。

別の疫学研究では、牛乳・乳製品の摂取量が多い人は、アルツハイマー型認知症・血管性認知症の発症率が最大3~4割低下することも報告されています。

これらの根拠に基づき、健康長寿を目ざす食習慣においても、毎日コップ1杯~2杯の牛乳摂取が進められています。

引用文献:ミルクランド北海道

2021-1-17 Category コラム, 牛コラム | コメントは受け付けていません。

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2号車スタッフ

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牛乳の製造工場・『乳房』

今更ですが皆様が日々飲食する牛乳は乳牛から供出されています。乳牛を牛乳製造工場に例えるならば、その最重要中心機関が『乳房』です。今回は乳房について掘り下げて紹介してゆきたいと思います。
 乳牛の乳房と乳頭が4つあり、同じ乳房であっても各々独立しております。乳房内で牛乳が造られ貯められ、乳頭から牛乳が出る仕組みです。何度も申し上げておりますが、牛乳は『乳牛の血液』です。大量の血液は心臓が噴出ポンプ役を担って、各々の乳房内部へ運ばれて、血中内から牛乳の原料となるカルシウム・脂肪等が抽出され牛乳へと造られます。その働きを行う根幹が『乳腺細胞』という箇所です。乳腺細胞に、心臓からの血液(アミノ酸・ブトウ糖など)・全身から体脂肪(脂肪酸)・第一胃からはVFA(揮発性脂肪酸)が集積されて、牛乳に変換されるという仕組みになっております。先に乳牛を牛乳製造工場、乳房を最重要中心機関として例えましたが、乳腺細胞は牛乳製造工場を動かす『根幹モーター』と言えるでしょう。

 乳牛の乳房が大きいのは誰の眼から見ても明らかですが、決して大きい乳房=沢山牛乳が出るという訳ではありません。乳房が大きいにも関わらず、いざ搾乳をしてみると、予想を下回る少乳量である乳牛が多々おります。この原因の1つに、牛乳製造工場(乳牛)の根幹モータである乳腺細胞の未発達等の問題があります。母牛の遺伝影響もありますが、特に初産等の出産経験が少ない乳牛によく見られます。他の問題では、乳房が異様に大きいのが仇となり、乳房と乳頭の形がバランスが悪くなり、ミルカーでの搾乳が上手く行えず、結果乳房炎になってしまうケースもあります。またこれは多くの出産している高齢乳牛にある問題ですが、乳房と後肢を繋いでいる筋肉が退化し乳房が下へ垂れ下がってしまう事によって、ミルカー搾乳が上手く行かず、乳房炎になり易くなる事もあります。

引用文献:酪農と歴史のお話し

2021-1-2 Category コラム, 牛コラム | コメントは受け付けていません。

新年の御挨拶



あけましておめでとうございます。


本年もより一層の心をこめて牛の健康促進の為、誠心誠意『牛の喜ぶ』削蹄を一牛一牛努める所存でございます。


昨年中のご愛顧に心よりお礼申し上げますとともに、本年度もより一層のご支援を賜りますよう、スタッフ一同心よりお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。


㈱菅原道北削蹄所 菅原 洋充

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