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とある獣医師の独り言33

11月です。今月は第二回フットケアミーティングがあります。講師をお願いした皆様方、お忙しい中快くお引き受けいただきましてありがとうございます。本番までもう少しです。頑張ってください。また、このコラムを読んでいただいている方で興味のある方は、是非参加してみてください。蹄に関して様々な話が聞けると思います。詳しくは道北護蹄会のバナーをクリックしてみてください。よろしくお願いいたします。

では、本題です。先月は人のたんぱく質代謝につてお話ししました。今月は牛のたんぱく質の代謝についてです。たんぱく質の代表格といえば当然お肉です。しかし皆さんもご存じのとおり、牛は草食動物であり、肉を食べません。では畑の肉と言われる大豆に代表される豆類をたくさん食べるのかというと、確かにマメ科の牧草は牛にとって重要ではありますが、牛が必要とするだけのたんぱく質を補えるだけの豆は食べません。では、どこからあの大きな体を作り上げるたんぱく質を得ているのでしょうか?今月はそこのところをお話ししていきます。


乳牛の胃袋


ルーメン微生物

何度もお話ししていますが、牛にはルーメンという食道が変形し袋状になった独特の器官を持ち、その中に大量の微生物を養っています。結論から言うと、その微生物こそが牛のタンパク源になっているのです。ルーメン微生物には大きく三つの役割に分類できます。一つはたんぱく質をアンモニアまで分解する微生物。もう一つはデンプンをプロピオン酸に分解する微生物。三つめはセンイ(以前は繊維としていましたが、最近はカタカナ表記が多くなってきたのでそれに習います)を分解する微生物です。これらが相互に作用することによりルーメン環境を整え、さらなる微生物の増殖を生み、牛にとっての貴重なタンパク源となるのです。ですからルーメンの環境が悪化する、たとえばルーメンアシドーシスの場合には牛はタンパク不足に陥るのです。
ルーメンで増殖し四胃に流れる微生物の量はたんぱく質に換算すると一日5㎏にもなり、これは牛が一日に必要なタンパクのおよそ半分と言われています。では残りの半分はどうするのか?それはルーメンでは分解されないたんぱく、いわゆるバイパスたんぱくとして給与されます。これら微生物由来のたんぱく質(微生物態たんぱくと言います)とバイパスたんぱくは、前回お話しした人のタンパク消化と同様に胃と小腸でペプシンやトリプシンなどの酵素の影響を受けアミノ酸まで分解され、小腸から吸収され全身で使われるわけです。
牛は糖代謝もたんぱくの代謝も完全にルーメンに依存しているということです。
今月は以上です来月からは、ルーメンアシドーシスについてお話しします。

今月の写真は畜産ZOO鑑から拝借しました。

by とある獣医師

One Response to “とある獣医師の独り言33”

  1. イクトラ

    何時も拝見させて頂いております。
    牛にとってルーメンが大切な一つの臓器!
    大切に考えていきたいと思います。

    今回は講習会参加できませんが、次の機会楽しみにしています。



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