北北海道を牛柄トラックで駆ける牛削蹄所。菅原道北削蹄所のオフィシャルサイトです。

とある獣医師の独り言30

8月ですね。ここ宗谷もようやく熱くなってきてビールも美味しい時期になりました。牛にとってはこの暑さは堪えるでしょう。いくら暑くても人間以外の動物は冷たい水を好みません。特に牛はルーメンの細菌たちがびっくりしてしまうので禁物です。キンキンに冷えたビールを飲める人間に生まれて幸せを感じてしまう今日この頃です。
さて本題です。人間でも牛でも同じですが、活動のエネルギーはブドウ糖です。筋肉を動かすのも、頭で物事を考えるのもブドウ糖が必要です。そのブドウ糖がたくさん結合してできた物が炭水化物です。米やパン、パスタなどがそれにあたります。これら炭水化物を胃や腸でバラバラにして、最終的にブドウ糖にまで分解して腸で吸収することが、炭水化物の消化吸収です。一方で体を作っているのはアミノ酸です。筋肉や骨、血液など体の部品を作っているのはアミノ酸です。このアミノ酸がたくさん結合してできた物がタンパク質です。肉や魚、大豆などの豆類などがそうです。これらタンパク質をバラバラにして腸からアミノ酸として吸収することが、タンパク質の消化吸収になります。これを車で例えると、エンジンやボディーを作っているのがタンパク質、ガソリンが炭水化物と考えると分かりやすいかも知れません。とにかく、われわれ動物が生きていくためには、炭水化物とタンパク質は絶対必要不可欠な食べ物と言えます。今月からは牛の炭水化物とタンパク質の消化吸収に前胃がどのように関与し、人間の消化吸収とはどこが違うのかについてお話ししていこうと思います。


循環器病情報サービスのホームページより引用

まずは人の炭水化物の消化吸収です。基本的に人の消化の主体は体から出す酵素アミラーゼになります。酵素とは炭水化物やタンパク質の結合を分解するのに手助けをするタンパク質の一種です。口から入った炭水化物はまずは口の中で噛む事によってある程度ばらばらになります。そこで口の中の唾液に含まれる消化酵素アミラーゼによってさらに分解されます。ご飯を口の中で良く噛むと甘くなるのは、炭水化物が分解されて、糖に変わっていくためです。その後、胃に入り唾液のアミラーゼは胃酸によって活力を失いますが、胃を経て十二指腸に流れると、今度はすい臓からのアミラーゼによってブドウ糖にまで分解され、小腸の絨毛と言う襞(ひだ)から吸収され、血液に乗り全身へと運ばれていきます。運ばれたブドウ糖は全身の筋肉や脳でエネルギーとして使われ、残りは筋肉や肝臓でグリコーゲンとして蓄えられます。グリコーゲンはエネルギーとしては使いやすいのですが、あまり多くは貯蓄できないため、より貯蓄しやすい脂肪に変換され皮下や内臓に溜まります。これがいわゆる中性脂肪です。現代のような日本になる前は、一日三食はおろか一食すら危うい毎日を過ごしていたため、この余りを中性脂肪として蓄積するシステムは生き残るために非常に有意義なものでした。しかし、現在では体を動かすことなく簡単に三食食べられてしまうため、中性脂肪は利用されることなくどんどんと蓄積され、メタボリックシンドロームとなってしまうわけです。
今月はこのくらいにしておきます。来月は牛の炭水化物の消化についてお話ししていきます。
今月もお付き合いありがとうございました。

byとある獣医師

2015-8-9 | Leave a Comment

とある獣医師独り言29

7月ですね。今年は雨ばっかりで寒いですね。先日,護蹄研究会で東京に行ってきたのですが、東京は蒸し暑く30℃を超えていましたが、家に帰ってきたらなんと3℃でした。なんぼ涼しいのが売りの北海道とは言え、寒すぎです。このまま夏にならないんじゃないかとちょっと不安になってしまいます。早く暖かくなってほしいですね。
今月からは5月に開催されたフットケアミーティングの中でお話しした、ルーメンアシドーシス(牛の消化について考える)を最近の知見や新しい写真などを加えて紹介していこうと思います。


図 1牛の胃の外観

まずは牛の消化器官についてお話しします。図1は牛の胃を右側から見た図です。


図 2第二胃の内側

皆さんももうご存じだと思いますが、牛には一胃から四胃までの四つの胃があります。右側に頭左側にお尻が来る形になります。消化酵素や胃酸が出て、我々人間の胃に相当するのが四胃です。二胃と三胃、特に三胃は未だに役割が解明されていない部分も有りますが、二胃にはハチの巣状の襞(ひだ)(図2)


図 3第三胃の内側

三胃には何枚にも重なった襞(ひだ)(図3)があるため、すりつぶすのが主な役割と考えられています。その形状から焼き肉では二胃はハチノス、三胃はセンマイ呼ばれています。(ちなみに一胃はミノ、四胃はギアラです。)
一胃はルーメンとも呼ばれ、牛の胃の中では一番体積が大きく、大きな牛では200リットルにもなると言われています。一般家庭のお風呂と同じ大きさだと考えると以下に大きいかが分かるかと思います。一胃の中にはルーメンマットと言われる線維質の塊がありその下にルーメン液(ジュース)があります。ルーメン液にルーメンマットが浮いているイメージです。このルーメンマットが非常に大事で、牛の反芻を起こさせるのに重要な物理刺激を与えるとともに、ルーメン微生物の隠れ家ともなり牛の体の特性上なくてはならないものになっています。
また、ルーメン液1ccにはおよそ50種類一億個の細菌と、200種類200万匹も原虫が住んでいます。原虫とはアメーバーやゾウリムシの類の事で、細菌よりは大きく、一般に良く動き回る事が特徴です。
ルーメンマットやこれら細菌や原虫が牛の消化にどのように係わっていくのかを次回以降にお話ししていこうと思います。今月もお付き合いありがとうございました。

図1は広島大学ホームページより 図2,3は肉のいろはのホームページより引用させていただきました。

byとある獣医師

2015-7-30 | Leave a Comment

~熱中症~

いきなり夏がやってきました。テレビでは、今年も熱中症による死者がニュースになっています。
牛の熱中症について調べてみました。毎年熱中症で牛だけでなく、豚や鳥などの家畜が死亡しているようです。
乳牛は暑さに弱く、熱中症になると採食量が低下し乳量の低下、繁殖能力の低下、免疫力の低下などをまねきます。
家畜としての乳牛は、熱中症になると乳量の低下、死亡などにより経済的に大きな損出となります。
今年の夏は、あまり暑くなりすぎませんように。

bySAGA

2015-7-27 | Leave a Comment

「北の蹄 第52号」発行になりました

北海道牛削蹄師会の会誌「北の蹄 52号」が発行になりました。
内容は春に開催された北海道牛削蹄師会総会の様子、リレー通信削蹄への道コーナーでは当社倉口が掲載です!











by Rimu

2015-7-16 | Leave a Comment

第18回 護蹄研究会in東京

平成27年6月27日(土)~28日(日)
東京大学農学部で行われたシンポジウムに道北護蹄会木内会長と塚田副会長と参加してきました。

シンポジウムの内容は、
セミナー『馬の装蹄から考えるフットケア』
症例報告『牛の断蹄症例に対するラップ療法の応用』など
インフォメーション『蹄管理者の衛生』など
研究報告『大規模牛群におけるDDコントロール』などなど
充実した内容でした。
今後のミーティングで会員の皆様にお伝えできたらと思います。

広い構内!到着するまでの長い道のりだった、農学部1号館8番教室

研究会帰りの
安田講堂前より

赤門前の木内会長、塚田副会長

photo by sugaWara

2015-7-5 | Leave a Comment

道北護蹄会 会員募集中!!



只今、道北護蹄会 会員募集中です。
詳しくは、道北護蹄会 事務局まで。

2015-7-1 | Leave a Comment

~骨粗しょう症の知識~

牛乳で骨粗しょう症や老化を防ぐ

カルシウムは骨や歯を作るだけではなく、血液や神経、筋肉などが円滑に働く役割も持っています。
カルシウムが不足すると、こうした毎日の生理作用を補うために骨の中のカルシウムが使われます。
そのために骨がスの入ったようなスカスカの状態になり、もろくなる病気が骨粗しょう症です。
これを防ぐためには、若い頃から牛乳のようにカルシウムの吸収率のよいものをとり、カルシウムを貯金することが大切です。他にカルシウムは、脳卒中などを引き起こす動脈硬化を防ぐ役割があります。
動脈硬化は動脈の壁にコレステロールが沈着して血管を狭くします。
カルシウムが不足すると、コレステロールの沈着が促進されることが知られています。
また、高血圧を防ぐためには、たんぱく質を充分に摂取することが大切です。
良質のたんぱく質は血管を保護し、強く丈夫にするほか、たんぱく質のアミノ酸であるメチオニンが血圧を下げる働きをするといわれています。
吸収率の良いカルシウムと良質のたんぱく質をバランス良く含んだ牛乳は、高血圧や動脈硬化、骨粗しょう症を防ぎ、脳卒中や心疾患などの成人病を予防するために、大切な役割を果たしています。

byRIMU

2015-6-22 | Leave a Comment

とある獣医師の独り言28

6月ですね。今月の中過ぎにはここ宗谷でも草刈りが始まります。今年の天気はどうなんでしょうか。この時期の天気が今後一年間の乳量や病気の発生に大きく影響する訳ですから、何とか晴天が続いてくれる事を祈るばかりです。
前回はケトーシスとは何かについてお話ししました。今月はもう少しケトン体が産生される過程を詳しくお話ししていきます。

ケトン体はなぜできるのか
ケトン体は牛だけが作る物質ではありません。人間も作るし、肉食獣であるネコやイヌも地球上のほとんどすべての動物が作り出す物質です。動物が飢え死にしないように取る、自己防御手段の一つです。
太古の昔から動物は飢餓との戦いでした。人も現在のように一日三食ご飯が食べられるわけでもなく、牛も家畜になる前はサイレージや配合飼料が毎日お腹いっぱい食べられるわけではありませんでした。ですから、いつもより多く食べられた時に余ったタンパク質やブドウ糖を貯蔵に最も適した脂肪の形として内臓や皮下に溜めることを覚えました。油は筋肉や砂糖より燃えやすい事を考えると、いかに効率が良い貯蔵かがわかると思います。
一方、食べられない時には、肝臓で筋肉を分解してできたアミノ酸を変換してブドウ糖を作る糖新生を行い全身で利用するということを獲得しました。ですから、飢餓の時、動物は痩せてはいきますが、数日食べなくても生きていけるわけです。この過程で出来るのがケトン体です。
どのようにケトン体はできるのか?糖新生を行うにはエネルギーが必要です。このエネルギーを作り出すのが脂肪の分解です。体中から脂肪は肝臓に入り分解され脂肪酸になり、脂肪酸がさらに分解される時にできるアセチルCoA と言う副産物がケトーシスの原因物質ケトン体になるわけです。しかしケトン体は全くの悪ではありません。ケトン体は飢餓状態時の脳の唯一のエネルギー源として使用されるからです。 しかし飢餓状態が長引き、脂肪の分解が過剰になると、ケトン体は利用されずケトーシスと言われる病態に移っていくわけです。
では、なぜケトーシスになると食べないのでしょうか?ケトン体はアセト酢酸、βヒドロキシ酪酸と言うように酸が付いていることからもわかるように酸性物質です(ケトン体のうちのアセトンは別です)。ですから体のpHは酸性に傾き、アシドーシスになるわけです。これをケトアシドーシスと言います。アシドーシスになっては食欲が低下するのもわかりますよね。人もケトーシスになるそうですが、その典型は糖尿病だそうです。糖尿病では糖が吸収されないため、体は極度の飢餓状態になるため、人でもケトアシドーシスになるそうです。
今月はこのくらいにしておきます。
お付き合いありがとうございました。

2015-6-11 | Leave a Comment

第1回 道北護蹄会開催報告

平成27年5月23日(土)浜頓別会場 NOSAI中部支所 24日(日)名寄会場 駅前交流プラザよろーな 会議室で12:00~
第1回道北護蹄会フットケアミーティングが開催されました。


『アシドーシス 牛の消化について考える』
宗谷地区NOSAI中部支所 獣医師 塚田隆興 氏(道北護蹄会 副会長)


『日々の蹄治療 ~実例からの考察~』
(有)なかとんべつ動物病院 獣医師 木内彰 氏(道北護蹄会 会長)





多くの方ご参加ありがとうございました。

by RIMU

2015-6-4 | Leave a Comment

~世界の牛~

乳牛

ホルスタイン
英名】Holstein
【分布】世界中
【体高】オス160cm/ メス141cm
【体重】オス1,100kg/ メス650kg
【平均年間乳量】約7,300kg
【乳脂肪分】約3.9%
【備考】
・欧州では肉乳両方を目的として肥育されている
・アメリカ、カナダでは角張っており乳量が多い
・雄子牛は昭和40年代から牛肉生産のために肥育され、国産牛肉の2/3が肉牛として生産

ジャージー
【英名】Jersey
【分布】世界中
【体高】オス140cm/ メス130cm
【体重】オス700kg/ メス400kg
【平均年間乳量】5,700kg
【乳脂肪分】約5.0%
【備考】
・ホルスタイン程ではないが、世界中に広く分布
・デンマーク、ニュージーランド等では最重要品種

ブラウンスイス
【英名】Brown Swiss
【分布】スイス
【体高】オス145cm/ メス130cm
【体重】オス900kg/ メス550kg
【平均年間乳量】5,700kg
【乳脂肪分】約5.0%
【備考】
・寒さに強い牛
・年間乳量はジャージーと同じ

ガーンジー
【英名】Guernsey
【分布】イギリスのガーンジー諸島
【備考】
・乳脂肪分は一般的な乳牛よりも高く、1頭あたりの搾乳量が約半分と少ないのが特徴
・日本における飼養頭数は稀少
・性質の温和な乳牛
・バターやチーズ用によく合った乳質

エアシャー
【英名】Ayrshire
【分布】イギリス
【体高】オス145cm/ メス130cm
【体重】オス900kg/ メス550kg
【平均年間乳量】約4500kg
【乳脂肪分】約3.9%
【備考】
・貧しい草地と厳しい気候条件の原産地で育てられたため、体質は強健
・チーズ原料乳として最適
・耐寒性に優れ、粗放な飼養管理にもよく耐えるため、高緯度の地域で比較的多く飼われる

草原紅牛
【分布】中国

肉牛(国内)

見島牛
【分布】山口県
【体長】オス130cm/ メス113cm
【体重】オス488kg/ メス257kg
【備考】
・見島牛は外国種の影響を全く受けていない在来和牛の唯一の牛
・見島牛の雄とホルスタインの雌の交配による一代雑種 (F1) に見蘭牛がある

口之島牛
【分布】鹿児島県
【体重】オス約500Kg
【備考】
・日本で唯一の野生牛の品種
・トカラ牛の俗称を持っている
・鹿児島県鹿児島郡十島村、トカラ列島北端の口之島に棲息
・体格は非常に小さい

黒毛和種
英名】Japanese Black Cattle
【分布】日本
【体高】オス137cm/ メス130cm
【体重】オス940㎏/ メス560㎏
【備考】
我が国の肉専用種の約86%を占める

褐毛和種
【英名】Japanese Brown
【分布】日本
【体高】オス140cm/ メス133cm
【体重】オス950㎏/ メス600㎏
【備考】
・増体性に優れ、放牧適正が高い
・熊本県や高知県で飼養が多い

日本短角種
【英名】Japanese-Shorthorn
【分布】日本
【体高】オス137cm/ メス132cm
【体重】オス950㎏/ メス590kg前後
【備考】
・手間がかからず成長が早い品種
・主に東北地方で飼育

無角和種
【分布】日本
【体長】メス128cm
【体重】オス980㎏/ メス600㎏
【備考】
・主産地は山口県
・近年、無角和種の牛は少なくなっている

肉牛(海外)

アバディーンアンガス
【分布】イギリス
【体高】オス130cm/ メス120cm
【体重】オス800kg/ メス550kg
【備考】
・アバディーンアンガス種を略してアンガス種
と呼ぶ
・全飼養牛の約7%を占めている

ヘレフォード
【英名】Hereford
【分布】イギリス
【体高】オス137cm/ メス130cm
【体重】オス約1000㎏/ メス500-700㎏
【備考】
・世界3大肉用種と称される
・世界飼養頭数の20%余を占めている

シンメンタール
【分布】スイス西部のシンメンタール谷
【体高】オス155cm/ メス140cm
【体重】オス1150~1250kg/ メス750~800kg
【備考】
・乳肉兼用種
・スイスを中心にフランス、オーストリア、ドイツ、イタリア、チェコ、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどで飼育

マレーグレイ
【英名】Murray-Grey
【分布】オーストラリア
【体高】オス135cm/ メス125cm
【体重】オス800kg/ メス550kg
【備考】
ショートホーンとアバディーンアンガスの交配によって20世紀に入ってから作出された新しい肉用種

ブラーマン
【英名】Brahman
【分布】アメリカ南部
【体高】オス140cm/ メス130cm
【体重】オス800kg/ メス500kg
【備考】
・粗悪な飼料条件に耐えることが最大の特徴
・産肉能力が高い

ドラウト
【英名】Drought-Master
【分布】オーストラリア北部
【体高】オス1.4m/ メス1.3m
【体重】オス800kg/ メス550kg
【備考】
・疫病性が高い
・耐暑性、耐粗飼料性に富む

ブランガス
【英名】brangus 
【分布】アメリカ
【備考】
アメリカ南部の州にある、農務省の試験場や民間牧場において作出したもの

韓牛
【学名】Bos taurus coreanae
【備考】
・朝鮮牛を韓牛という
・モンゴル、中央アジアなどで家畜化されていた牛が源流との説

シャロレー
英名】Charolai
【分布】フランスシャロレー地方
【体高】オス142cm/ メス132cm
【体重】オス1140kg/ メス735kg
【備考】
・フランスで最古の肉牛
・日本での飼養頭数は少ない

ウシの仲間

水牛
【学名】Bubalus arnee
【英名】Water buffalo
【分布】南アジア
【体長】240-300cm
【肩高】150-190cm
【尾長】60-100
【体重】700-1,200kg
【備考】
・インド、タイ、ネパール、バングラデシュ、ミャンマーに自然分布
・有史以前はアフリカ大陸北部から黄河周辺にかけて分布

アジアスイギュウ
学名】Bubalus arnee
【英名】Indian Water Buffalo
【分布】インド/ネパール/バングラディッシュ
【体長】240-300cm
【尾長】60-100cm
【体重】700-1200kg
【備考】
・ウシのなかでもっとも大きい
・人間の生活を支える大切な家畜として世界中で活躍
・純粋な野生のアジアスイギュウがますます少なくなっている
・異名『インドスイギュウ』

アフリカスイギュウ
【学名】Syncerus caffer
【英名】African buffalo
【分布】アフリカ
【体長】200-300cm
【肩高】140-180cm
【体重】オス600-900kg/ メス400-600kg
【備考】
・基亜種はサバンナ、亜種アカスイギュウは森林に生息
・100頭以上の群れを形成して生活し、多いときには1000-2000頭にもなる大規模な群れを形成

ヤク
【学名】Bos grunniens
【英名】Yak
【分布】インド北西部/中華人民共和国/パキスタン北東部
【体長】オス280-325cm/ メス200-220cm
【肩高】オス170-200cm/ メス150-160cm
【尾長】オス80-100cm/ メス60-75cm
【角長】92cm
【体重】オス800-1,000kg/ メス325-360kg
【備考】
・鳴き声は低いうなり声だがウシの様に「モー」とは鳴かない
・標高4,000-6,000メートルにある草原、ツンドラ、岩場などに生息
・日本ではヤクの尾毛は兜や槍につける装飾品として武士階級に愛好された

アメリカンバイソン
【学名】Bison bison
【英名】American bison
【分布】アメリカ合衆国/カナダ
【体長】240-380cm
【肩高】200cm
【角長】50cm
【体重】500-1100kg
【備考】
・基亜種は草原に、亜種シンリンバイソンは森林に生息
・オス同士で糞尿の上を転げ回り臭いをまとわりつかせて威嚇したり、突進して角を突き合わせる等して激しく争う

ヨーロッパバイソン
【学名】Bison bonasus 
【英名】Wisent,European bison
【分布】ポーランド
【体長】オス250-350cm/ メス220-280cm
【肩高】オス150-200cm/ メス140-170cm
【尾長】オス50-110cm/ メス45-100cm
【体重】オス650-1,350kg/ メス430-700kg
【備考】
・以前はヨーロッパ西部からレナ川以西まで分布
・開けた森林やステップに生息
・オスは単独で生活するが、若いメスのみで群れを形成

ステップ・バイソン
【学名】Bison priscus
【英名】Steppe Bison
【分布】ヨーロッパ/中央アジア/ベーリング地峡/北米
【体高】2m
【角長】50cm程度
【備考】
・草原地帯で発見
・ラスコーなどの洞窟壁画に、ステップバイソンが描かれている

瘤牛
【学名】Bos primigenius indicus
【英名】Zebu,Humped cattle,Indicus cattle
【和名】ゴブウシ
【分布】熱帯地方を中心
【体長】110cm
【備考】
・耐暑性があり、熱帯性の病気や害虫に対する抵抗力が強い
・ゼビュー(ゼブー)、ゼビューウシとも呼ばれる
・熱帯地方を中心に、南アジア、アフリカ、マダガスカル、フィリピン、インドネシア、インドシナ半島、近東で飼育
・近年では北アメリカや南アメリカにも導入

オグロヌー
【学名】Wildebeest
【英名】Gnu
【分布】ケニア以南のアフリカ中南部
【体長】180-240cm
【肩高】125-145cm
【体重】150-270kg
【備考】
ケニア、タンザニア、南アフリカ等のサバンナや半砂漠地帯に散在

オーロックス
【学名】Bos primigenius
【英名】Aurochs、Urus
【体長】約250-310cm
【角長】80cm
【体重】約600- 1000kg
【備考】
・およそ200万年前にインド周辺で進化したと考えられている
・第四紀初頭のうちに中東に分布を広げ、ヨーロッパに到達
・1万1000年前までには、ヨーロッパ・アジア・北アフリカなどの広い範囲に分布
・1627年に死亡が確認され、オーロックスは絶滅

ガウル
【学名】Bos gaurus Smith
【英名】Gaur
【分布】南アジア/東南アジア
【体長】240-330cm
【肩高】160-220cm
【尾長】70-105cm
【体重】580-1,000kg
【備考】
・インド/カンボジア/タイ/中華人民共和国(雲南省)/ネパール/ミャンマーに分布
・標高1800メートル周辺にある森林に生息
・8-11頭ほどの群れを形成し生活する

サラオ
【学名】PseudooryxnghetinhensisDung,GiaoChinh,Touc, Arctander & MacKinnon
【英名】Saola Vu Quang ox
【分布】ベトナム西部/ラオス東部
【体長】150-200cm
【肩高】80-90cm
【尾長】13cm
【角長】32-52cm
【体重】90kg
【備考】
・別名ベトナムレイヨウ
・名前は生息地で「細長い角」の意味
・山地の斜面にある森林に生息。夏季は標高2,000メートル前後の場所に生息するが、冬季になると標高の低い場所へ移動

コープレイ
【学名】Bos sauveli Urbain
【英名】Grey ox Kouprey
【分布】カンボジア
【肩高】200cm
【体重】900kg
【備考】
・1937年にカンボジアで初めて発見
・カンボジア北部、ラオス南部、ベトナム西部、タイ東部の森林に分布していた。しかし2007年ではカンボジアに約 250 頭が生息するのみと推測され、絶滅が危惧される

バンテン
【学名】Bos javanicus d’Alton
【英名】Banteng
【分布】東南アジア
【体長】180-225cm
【肩高】130-190cm
【尾長】65-70cm
【体重】400-900kg
【備考】
・インドネシア(ジャワ島、ボルネオ島)/カンボジア/タイ/マレーシア/ミャンマー/ラオスに分布
・オーストラリア北部にも移入
・夜行性

ケープバッファロー
【学名】Syncerus caffer caffer
【英名】Cape Buffalo 
【分布】東アフリカや南部アフリカ及び西アフリカ
【体長】240-340cm
【肩高】135-170cm
【尾長】75-110cm
【角長】50-150cm
【体重】425-870kg
【備考】
・サバンナや水辺近くの疎林に生息
・人間との事故も発生しており困った存在

オジロヌー
【学名】Connochaetes gnou
【英名】Black wildebeest,White-tailed gnu
【分布】スワジランド/ナミビア/南アフリカ共和国/レソト
【体長】170-220cm
【肩高】90-120cm
【尾長】80-100cm
【体重】160-180kg
【角長】53-74cm
【備考】
・草原に生息
・季節的な長距離移動は行わない


長くなりましたが…
以上です。
世界にはさまざまなウシさん達がいるんですね♪♪

最後まで見て頂きありがとうございます。

by RIMU

2015-5-26 | Leave a Comment

熱中症対策に運動と牛乳を!

5月だというのに、まだまだ肌寒く感じる北海道ですが、この夏、冷房に頼らずに熱中症を防ぐには、今の時期から軽い運動をして、その直後に牛乳を飲むことが効果的だという熱中症の予防指針が、医師などで作る学会によっての報告を拝見しました。
この報告は医師、スポーツ分野などの専門家で作る「日本生気象学会」がまとめたもので、夏の暑さにどのように備え、対応すべきかをまとめているものでした。
暑さに備える工夫として、5月、6月から、汗ばむ程度の運動を一日30分行い、その直後に牛乳など糖質とたんぱく質を含む食品を摂取するよう呼びかけています。
それを、週に4日以上、1か月行うと、血液量が増えるために汗をかきやすくなって、暑さに強い体を作ることができるとしています。
「暑さに強い体になれば、エアコンを使うことも少なくなり、暑いということをあまり感じなくなる。涼しい今の時期から、運動と乳製品で暑さに強い体を作ってほしい」と日本生気象学会は話しています。
是非、今から運動と牛乳を!!

photo by sugaWara

2015-5-18 | Leave a Comment

とある獣医師の独り言27

ゴールデンウイークです。異常に暖かいですね。ここ宗谷でももう桜が咲きました。宗谷に来て今年で18回目の春を迎えますがこの時期に桜が咲いたのは異常な早さです。どうせならもう少し夏も暑くなればビールがおいしいんですけどね。

今月からはケトーシスについてお話ししていこうと思います。
さて皆さんケトーシスとは何でしょうか?当たり前のことですが、ケトン体が体内に過剰になる事をケトーシスと言います。普段酪農をなさっている農家の皆さんはもちろん酪農関係者の皆さんもケトーシスやケトン症と言う言葉を一度は耳にした事はあると思います。また、分娩後に泌乳が増えてエネルギー不足におちいるとケトーシスになると言う事を分かっている方もいっぱいいらっしゃると思います。しかし、そもそもケトン体とは何でしょうか?どこから出てくるのでしょうか?さらに、ケトーシスになるとなぜ食べなくなるのでしょうか?『何を今更、そんな事分かってる』と言う方もいるかと思いますがそう言わず、ぜひお付き合いください。

ケトーシスとは何か
先ほども言いましたがケトン体が体に多量に循環する状態の事を言います。ではケトン体とは何でしょうか?それはβ(ベーター)-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸(アセトアセテート)、アセトンの3つの総称です。ではどのような経路で体内に出てくるのでしょうか?
 牛は人間と同じくブドウ糖をエネルギー源とします。(ブドウ糖の吸収の仕組みは人とは違いますが、体を維持するのに使うエネルギー源は人と同じブドウ糖です。)しかし牛は分娩とともに莫大な量の泌乳をするため、採食で得られるエネルギーよりも多くのブドウ糖を必要とします。そこで足りないブドウ糖を筋肉などに蓄えているタンパク質を分解してまかないます。これを糖新生と言います。その糖新生に必要なエネルギー源として利用されるのが体脂肪です。具体的には体脂肪を分解し脂肪酸を作りこの脂肪酸をβかしてアセチルCoA(コーエー)を取り出し、TCAサイクルを回して…などと書いていくと何の事だかわかんなくなると思いますので、簡単に言ってしまえば、糖新生の際の体脂肪利用の副産物がケトン体です。
ケトン体として始めにできるのがβ-ヒドロキシ酪酸です。往診に来た獣医さんが乳汁やおしっこでケトン体を量っているのはこのβ-ヒドロキシ酪酸です。それが肝臓のミトコンドリアで分解されるとアセト酢酸ができます。アセト酢酸は不安定な物質なのですぐにアセトンに変わります。このアセトンは揮発性が高くは呼気や皮膚から体の外に出ていきます。よく農家さんからの往診依頼でケトン臭がすると言われますがその原因はアセトンです。アセトン臭は柿やリンゴの熟した匂いとか甘酸っぱいにおいとか言われることが多いと思います。
余談ですが最近は糖質制限ダイエットが流行っていますが、頑張りすぎると人もケトン臭がするようになるそうです。医学の方ではケトン臭の事を飢餓臭とも言われるそうです。ダイエットはほどほどにしないと体臭がケトン臭くなりますよ。
 

今月は以上です。今月から独り言のコラムを少し短めにしてみました。このほうが読みやすいかなと思いまして…。決してネタ切れが怖い訳ではないですよ(笑)。
来月もお付き合いをよろしくお願いします。

byとある獣医師

2015-5-9 | Leave a Comment

平成27年度 北海道牛削蹄師会 通常総会開催

平成27年4月24日(金) 札幌の京王プラザホテルにて行われました。
総会前の削蹄研修会では、『今、現場で何が起こっているのか』と題しまして、
酪農学園大学 獣医学群 教授 小岩政照様より講演がありました。
総会終了後の祝賀会結びの挨拶は、今年も!!なんと当社の松原駿くん!!
去年と同様緊張していましたが、素晴らしい挨拶で締めて頂きました。











by RIMU

2015-4-30 | Leave a Comment

削蹄通信Vol.9号発行しました!



お待たせしました。
年2回発行の当社削蹄通信Vol.9を発行しました。

今回も牛の情報から当社の紹介まで充実の内容です。
順次畜主様、関係機関へお渡しとなりますのでよろしくお願いします!

by RIMU

2015-4-18 | Leave a Comment

facebook始動開始!!

当社のfacebookが完成致しました!!
随時、更新中です!!



by RIMU

2015-4-16 | Leave a Comment

とある獣医師の独り言26

まず始めに先月のコラムに間違えがありました。
コラムの31行目の、『・・・好中球やキラーT細胞を増やすように支持を出した場合が液性免疫です。・・・』の液性免疫は細胞性免疫の間違えです。申し訳ありません。

新年度が始まりました。もう冬も終わりですかね。今年も昨年に続き雪が少なく春が早いような気がします。この宗谷地方でも草地の雪が完全に溶け、心なしか草が緑色をなしてきたような気がします。早く暖かくなってほしいですね。
さて先月に引き続き乾乳期の栄養と出生子牛の関係で今回は初乳です。

乾乳期の栄養と出生子牛の関係
③初乳
初乳には様々な子牛の生育に必要な物質が含まれています。

◎移行抗体
初乳摂取の一番の大きな役割は移行抗体の獲得です。では移行抗体とは何でしょうか?抗体とは先月お話ししたように細菌やウイルス(抗原)が体に侵入した時に、マクロファージとT細胞がB細胞に作らせる免疫物質です。抗原が二度目の侵入した時に、抗体は抗原に目印として付着します。そうすると白血球が抗原を発見しやすくするなり捕食しやすくなるわけです。やみくもに捕食するよりも効率が良いと言う事ですね。この抗体が胎盤を介して子牛に移行すれば子牛は出生直後から感染に対して強く生まれてくるはずです。しかし牛の胎盤は人とは異なり抗体を含めた分子量の大きなタンパク質は通る事が出来ない構造になっています。そのため牛は初乳に抗体を入れて子牛に摂取させるような仕組みを取りました。ですから新生子牛は初乳を摂取することによってはじめて免疫力を獲得することができるわけです。ただしタンパク質は通常は分解されて吸収されますが、抗体は分解されては意味がありません。そこで新生子牛の小腸の細胞は呑込み作用(ピノサイトーシス)と言われる作用で抗体を丸呑みして吸収し、血液などに乗せて全身に届けます。ただしこの吸収作用は出生後6時間までがピークで24時間以降はほぼ無くなると言われています。この作用によって得られた抗体は子牛が自分で抗体を産生できるようになる2週間までの間、液性免疫の主体を担います。初乳に十分な量の抗体が入っていなかったり、何らかの理由によって十分な量の初乳を飲めなかった場合には免疫移行不全となり、死亡率が2倍以上になるとも報告されています。

◎白血球      
初乳にはマクロファージ、リンパ球などの母牛由来の白血球も含まれており、これも抗体同様子牛の消化管で消化されることなく血液中に入り、初期の細胞性免疫を増強する役割を持っています。また、マクロファージは腸管の粘液を刺激して液性免疫を活性化させる役割を持っています。

◎非特異的抗菌物質 
初乳にはラクトフェリンやリゾチームなどの広く抗菌作用を示す物質を含んでいます。ラクトフェリンは鉄を吸収することで細菌・ウイルスの発育を阻害し、腸内細菌のバランスを整える働きがあります。リゾチームは涙にも含まれる抗菌物質で細菌の細胞壁を融解することにより抗菌作用を示します。
 
その他にも出生後の子牛のタンパク源になるアルブミン、エネルギー源である脂肪・乳糖、またビタミンやミネラルも常乳の数倍から数十倍も含まれています。さらにはT細胞を活性化させる細胞間伝達物質の一つであるサイトカインや腸内細菌の栄養源であるオリゴ糖も含まれており、良質な初乳を適切な量を適切な時間に摂取することが感染に強い子牛を作る上で一番大事だと思います。 
初乳は分娩の一カ月前より乳腺で作られ始めると言われています。ですから乾乳期の母牛の栄養障害はこの面からみてもマイナスであることは間違えありません。


3回にわたり乾乳期の栄養と出生子牛の関係をお話ししてきました。
人の世界では『胎児期に低栄養状態であることが成人期に心血管障害のリスク因子になる』とする『バーカーの仮設』と言うのが最近支持されているようです。これは胎児の時期に栄養状態が悪いと成人になった時にいわゆる成人病になるリスクが高くなるというものです。これは人にのみ当てはまるわけではなく牛にも当てはまる可能性は高いと最近注目されてきています。乾乳期に母牛の栄養が不足すると、胎児の成長に悪影響を及ぼし、胎児の胸腺の形成不全による子牛虚弱症候群を引き起こし、出生してからも初乳の質の低下などから免疫移行不全となり虚弱な子牛が出来上がると言うわけです。この子牛は成牛になっても泌乳能力の低い牛や受胎率の悪い牛となり経営の為に長くは生きられないと言う事です。
どうですか?母牛の一年間の泌乳に係るのみならず、二年後の牧場の未来を担う胎児の為にも乾乳期の栄養管理をもう一度考えてみませんか?

今月もありがとうございました。

byとある獣医師

2015-4-7 | 1 Comment

鯨偶蹄目の仲間

以前に鯨偶蹄目についてお話ししましたが、どのような仲間がいるのでしょう?
調べてみますと、ラクダ亜目ラクダ科のラクダ、リャマ。
イノシシ亜目イノシシ科のブタ、イノシシ。
鯨反芻亜目ウシ亜目真反芻小目:シカ科のシカ、トナカイ。
キリン科のキリン、オカピ。ウシ科のウシ、アンテロープ、ヤギ、ヒツジ。
鯨凹歯下目または鯨河馬形類:カバ下目カバ科のカバ、コビトカバ。クジラ目ヒゲクジラ亜目のシロナガスクジラ。クジラ目ハクジラ亜目のマッコウクジラ、イルカ。
外見から納得できる仲間もいますが、遺伝子を調べると上記の動物達はみんな鯨偶蹄目という分類になるようです。

写真素材:GATAG|フリー画像・写真素材集 1.0

bySAGA

2015-3-31 | Leave a Comment

~和牛の等級~

■日本食肉格付協会が定めている取引の格付け

日本における食肉規格格付事業は、昭和36年代に公布された畜産物の価格安定等に関する法律の施行とともに実施され、その後、全国的な展開をみてきました。

当時は社団法人日本食肉協議会がこの事業を実施しておりましたが、食肉需給規模が年々拡大し、流通形態も大量かつ広域的な流通へと進展し、経済性の高い肉畜生産及び流通の指標としての規格格付の重要性と、より一層の公共性が要求されるようになりました。

このような状況に対処して食肉規格格付事業を専門的に行う機関として、昭和50年2月1日に当時の畜産振興事業団(現在、農畜産業振興事業団)、都道府県及び全国組織を会員として、日本食肉協議会の格付事業部門を分離継承して社団法人日本食肉格付協会が設立され、今日に至っております。

歩留まり等級(例 A-5 B-4等のアルファベット部分)
高 A-B-C 低

A 部分肉歩留が標準より良いもの
B 部分肉歩留が標準のもの
C 部分肉歩留が標準より劣るもの
アルファベットの部分は歩留り等級を3段階(A,B,C)で表しています。
生体から皮、骨、内臓などを取り去った肉を枝肉(エダニク)といいます。 このとき生体から取れる枝肉の割合が大きいほど等級が高くなります。 つまり同じ体重の牛でもたくさんの肉が取れる方が良いということです。

肉質等級(例 A-5 B-4等の数字部分)
高 5-4-3-2-1 低
数字の部分は、「脂肪交雑」「肉の色沢」「肉のしまりとキメ」「脂肪の色沢と質」の4項目5段階(1,2,3,4,5)の肉質の等級を決めています。 そして4項目の総合的な判定から最終的に肉質等級が決定します。

「脂肪交雑」
等級 B.M.S.
5 かなり良いもの No.8~No.12
4 やや良いもの No.5~No.7
3 標準のもの No.3~No.4
2 標準に準ずるもの No.2
1 劣るもの No.1
霜降の度合いを表しています。 BMS(ビーフ・マーブリング・スタンダード)という判定基準があり、これによって評価されます。

「肉の色沢」
等級 光沢
5 かなり良いもの
4 やや良いもの
3 標準のもの
2 標準に準ずるもの
1 劣るもの 等級5~2以外のもの
肉の色と光沢を判断します。 「脂肪交雑」と同様に、肉の色にはBCS(ビーフ・カラー・スタンダード)という判定基準が設けられています。 一般的に鮮鮭色が良いとされています。また光沢については見た目で評価されています。

「肉のしまりときめ」
等級 きめ
5 かなり良いもの
4 やや良いもの
3 標準のもの
2 標準に準ずるもの
1 劣るもの 粗いもの
見た目で評価されます。 肉のきめが細かいと柔らかい食感を得ることが出来ます。

「脂肪の色沢と質」
等級 光沢
5 かなり良いもの
4 やや良いもの
3 標準のもの
2 標準に準ずるもの
1 劣るもの 等級5~2以外のもの
色が白またはクリーム色を基準に判定され、さらに光沢と質を考慮して評価されます。

●肉質等級の決定
肉質等級は、脂肪交雑・肉の色沢・肉の締まり及びきめ・脂肪の色沢と質の4項目のうち、最も低い等級に格付けされます。
(例)
脂肪交雑 5
肉の色沢 5
肉の締まり及びきめ 4
脂肪の色沢 5
▼▼▼▼▼▼
肉質等級4になります。

●実際の表示


実際の表示では2つの等級を組み合わせてA-5、B-3というように表示しています。歩留まり等級が3段階、肉質等級が5段階ですから牛肉の等級は全部で15段階あることになります。
 最高ランクである「A-5」に評価される牛肉はほぼすべてが和牛です。 といっても育てられた和牛のほとんどが「A-5」と評価されるわけではありません。 ごく少数の選び抜かれた牛だけが最高のランクとなるのです。 割合でいくと和牛の約15%でしかありません。
 また交雑種が「A-5」、「B-5」になることもありますが非常にまれなケースです。 一般的に和牛はAクラスに、その他の牛はBクラスに評価されることが多いです。 つまり和牛は1頭から多くの肉を得ることができ、肉用牛として最適な牛であると言うことが出来ます。


参考文献:焼肉大好き.コム

by EITARO (sato)

2015-3-21 | Leave a Comment

ブランド牛

ブランド牛とは、牛肉の銘柄は、産地、血統、品種、枝肉の格付け、飼育法・期間などにより、一定の基準を満たしたものに付けられています。基準は各銘柄によって違うみたいです。

ブランド牛をご紹介します。
北海道
はやきた和牛、知床牛、北勝牛、十勝和牛、みついし牛、ふらの大地和牛、ふらの和牛、かみふらの和牛、北海道和牛、北見和牛、びらとり和牛、生田原高原和牛、白老牛、音更町すずらん和牛、北海道オホーツクあばしり和牛、とうや湖和牛、流氷牛、つべつ和牛、十勝ナイタイ和牛

青森県
あおもり倉石牛、あおもり十和田湖和牛

岩手県
前沢牛、いわて牛、いわて奥州牛、江刺牛、岩手しわ牛、岩手とうわ牛、いわてきたかみ牛、いわて南牛

秋田県
秋田牛、三梨牛、秋田由利牛、秋田錦牛、羽後牛

宮城県
仙台牛、若柳牛、石越牛、はさま牛、三陸金華和牛

山形県
米沢牛、尾花沢牛、山形牛

福島県
福島牛

茨城県
筑波和牛、つくば山麓 飯村牛、常陸牛、紫峰牛、紬牛、花園牛

栃木県
とちぎ和牛、とちぎ高原和牛、おやま和牛、那須和牛、かぬま和牛、さくら和牛

群馬県
上州和牛

埼玉県
武州和牛、深谷牛

千葉県
かずさ和牛、みやざわ和牛、しあわせ満天牛、美都牛

東京都
秋川牛、東京黒毛和牛

神奈川県
横濱ビーフ、市場発横浜牛、葉山牛

山梨県
甲州牛、甲州産和牛

長野県
阿智黒毛和牛、北信州美雪和牛、りんごで育った信州牛

新潟県
にいがた和牛

富山県
とやま和牛

石川県
能登牛

福井県
若狭牛

静岡県
遠州夢咲牛、特選和牛静岡そだち

愛知県
みかわ牛、安城和牛、鳳来牛

岐阜県
飛騨牛

三重県
松阪牛、みえ黒毛和牛、鈴鹿山麓和牛、伊賀牛

滋賀県
近江牛

京都府
京都肉、京の肉、亀岡牛

奈良県
大和牛

和歌山県
熊野牛

兵庫県
神戸ビーフ(神戸牛、神戸肉)、但馬牛、三田肉/三田牛、丹波篠山牛、神戸ワインビーフ、淡路ビーフ、加古川和牛、黒田庄和牛、湯村温泉但馬ビーフ、本場但馬牛/本場経産但馬牛

鳥取県
鳥取和牛、東伯和牛

島根県
潮凪牛、いずも和牛、石見和牛肉、島生まれ島育ち 隠岐牛

岡山県
おかやま和牛肉、千屋牛

広島県
広島牛

香川県
讃岐牛、オリーブ牛

徳島県
阿波牛

愛媛県
いしづち牛

福岡県
小倉牛、筑穂牛

佐賀県
佐賀牛、佐賀産和牛

大分県
The・おおいた豊後牛

熊本県
くまもと黒毛和牛

宮崎県
宮崎牛

鹿児島県
鹿児島黒牛

沖縄県
石垣牛、おきなわ和牛、もとぶ牛

ブランド牛と言っても、こんなにも数多くのブランド牛がいるんですね。

参考文献:日本の銘柄牛
byRIMU

2015-3-13 | Leave a Comment

とある獣医師の独り言25

春のような日々が続いていますがまだ3月ですね。今年は2月が暖かくさらに雪も降らないため非常に楽な冬を送らせてもらっているのはありがたいのですが、去年から氷上のチカ釣りを始めたんですが氷が薄すぎて乗ることができません。この道北で川に氷が張らないなんてやっぱり温暖化が進行しているだと実感しています。

先月に引き続き乾乳期の栄養管理と出生子牛の関係で今回は胸腺についてお話ししていきます。

乾乳期の栄養と出生子牛の関係
②胸腺の発達
胸腺の話をする前に少し免疫についてお話ししようと思います。免疫は専門用語が非常に多く理解し辛いので、ここではかいつまんでかなり簡単な話にしていきたいと思います。
まず牛や人間を含めた脊椎動物にはウイルスや細菌などの異物が侵入した場合にそれを排除しようとする働きがあります。また、ガン化した自分の細胞や老化した細胞も除去しなくてはいけません。この防御作用が『免疫』です。免疫は自分の細胞かそうでないのかを見分けなくてはいけません。
小学校の時に習った理科を思い出して下さい。血液には赤血球と白血球があって赤血球は全身に酸素を運ぶ役割を、白血球は侵入してきた異物を退治する役割があると習ったはずです。免疫に関与するのは勿論白血球の方です。代表的な白血球は次のようなものがあげられます。

1)好中球・単球(マクロファージ)・好酸球
これらはひたすら異物を食べて処理します。
この中でマクロファージのみが後述するT細胞に異物の侵入を教える重要な役割を持っています。
2)NK(ナチュラルキラー)細胞
体内のウイルスに感染した細胞や癌細胞を破壊する役割があります。
3)B細胞
過去に侵入してきた異物(抗原と言います)の再度の侵入に対して抗体を作ることで対抗しようとします。B細胞はマクロファージとT細胞の指示で抗体を作るように動きます。
4)T細胞
T細胞はさらに次のようにわかれます。
ヘルパーT細胞:抗体を作るB細胞を活性化します。余談ですがHIVウイルスはこれを破壊するウイルスです。
キラーT細胞:ウイルスに感染した細胞やガン細胞を破壊します。
サプレッサー(調節)T細胞:亢進した免疫を制御します。

また免疫は細胞性免疫と液性免疫(体液性免疫)に分けられます。簡単に言えば両者の違いは抗体を介するか、白血球がひたすら食べるかの違いです。始めに異物はマクロファージに食べられます。ここでマクロファージは抗原の存在をヘルパーT細胞に伝達します。ここまでは液性も細胞性も一緒ですが、ヘルパーT細胞がB細胞に抗体を作るように支持を出すのが液性免疫、ヘルパーT細胞が好中球やキラーT細胞を増やすように支持を出した場合が液性免疫です。横道にそれますが臓器移植で拒絶反応が出るのは細胞性免疫でキラーT細胞が移植臓器を異物と認識するからだと言われています。

話は胸腺に戻しますが、胸腺はこのTリンパ球を作り出している場所です。(ちなみにTリンパ球のTはThymus(胸腺)の頭文字です。ついでにB細胞のBはBone marrow(骨髄)です。)胸腺の役割は最近まで良く分かっていませんでしたが、抗体産生に非常に重要なTリンパ球を育てられる唯一の臓器だと言う事がわかってきました。
子牛虚弱症候群(WCS)と言われる出生後すぐに下痢や肺炎を発症し、出生後6週間以内に高い死亡率を示す病気がありますが、このWCSの牛は胸腺が健康な牛に比べ非常に発達が悪かったという報告が有ります。胸腺の発達が悪い場合Tリンパ球が作られないため、細菌やウイルスに侵入された場合に抗体を産生することができず、その結果として細胞性免疫に頼らざるを得ず、最終的に死亡するケースが多いとされています。胸腺が発達しなかった原因はウイルス感染、ビタミン不足などさまざま言われていますがが、まだ解明には至っていません。しかし妊娠後期に何らかの原因で母牛の栄養状態が悪化した場合にこの症状が多発したという報告が有ります。母牛のタンパク摂取不足が子牛の胸腺の形成不全を招く恐れがあるというわけです。この観点からも乾乳期の飼養管理の重要性が伺えます。
このWSCについて、胸腺の大きさや触診の仕方については少し古いですが農業共済新聞の2008年10月29日版で小岩先生が記事を書かれていますので是非参考にしてください。(ネットで胸腺 子牛でも検索できます。)

来月は乾乳期の栄養と出生子牛の関係の③初乳についておはなしします。今月もありがとうございました。

2015-3-4 | Leave a Comment

2024 菅原道北削蹄所|北北海道を幅広くエリアカバーする牛削蹄所です . | Blue Weed by Blog Oh! Blog